ストレスを抱えない努力を

プログラミングやコーディングやWebデザインに関するあれこれは今でも好きで、もし時間が十分取れるのであれば趣味的な活動にもっと時間を割きたいとさえ思っているのだけど、それがいざ仕事ということになると途端に巨大なストレス生産装置になるから不思議。働けば働くほど仕事が嫌いになる。飲食ではいくら会社がおかしくても、仕事を嫌いになるってことはなかったのでこれなんなんだろうなと考えてみるに、要するになんだろう「好きな仕事に介入される度合いの大きさ」によるんだろうと思う。



飲食の「現場主義」は性に合っている気がする

飲食の方は会社が如何にダメな会社であっても、現場でする作業に会社が介入してくることは滅多になかった。上から降りてくる指示は明確で、最低限何をすべきでどこから先は裁量に任せるというのがはっきりしているから、責任の所在もはっきりしていて叱責されることにも合理性がある。いったん現場の仕事になってしまえばあとはもう僕ら次第。わかりやすい。責任は重大だけれど、仕事をする上でそれが明確であることはとても大事。



以下、繰り返されるいつもの愚痴の段落

一方で、Webエンジニアの仕事はそうはいかない。よほど小さい制作会社でない限り現場にすべて丸投げなんてことはないし、誰かによる何らかの介入がある。介入自体は別に好きでも嫌いでもなく、上司(仮にA氏)が在職していた昨年末までは、彼に様々なダメ出しをしてもらうのは逆に楽しくもあった。それらを1つずつクリアしていくことで、よりモダンなスタイルに近づける気がしていたし、割合は小さかったけれど僕から彼に疑問を投げることもあってお互いにプロダクトをブラッシュアップさせている感覚があった。そうなると仕事は楽しい。

A氏が退職して彼のポジションは空席になり(僕はそこを埋めないことを契約条件にしていた)、様々な指示が直接僕のところに降りてくるようになった。今までは僕はA氏とだけやりとりをしていれば良かったけれど、彼はクライアント(この場合は社長)ともやりとりしていて、いわば僕も感じるべきストレスを彼に肩代わりしてもらっていた。職務内容を理解出来る人間が社内にいなくなり、ストレスが直接僕に降りかかるようになると、途端に仕事は楽しくなくなる。技術的裏付けのない提案や、Web的に見て非合理な思いつきをA氏が潰していたのがなくなり、僕が直接対応しなくてはならない。そして現場作業に対して不合理な介入が生じるようになる。

また開発体制に関してもA氏が作り上げてくれた比較的モダンな(社内理解がなかなか得られない中での上限いっぱいモダンな)開発体制を維持し、次に来ることになるエンジニア(予定は未定)に綺麗に渡したいと考えている僕と、それをなあなあにして崩そうとしてくる社長との間で軋轢が生じる。しっかり使って欲しい。適当にしないで欲しい。必要な情報はすべて記載して欲しい。「考えたらわかるよね」は「考えなければわからない」と言い換えて欲しい。考えなければわからないならログにならないし、1年後に見返したら絶対にわからない。まあ、ストレスだよね。



さてどうする?

居酒屋を退職して一時的にシフトインが増えたけれど、新しい仕事を決めてまたシフトインが減ることになった。その過程で、仕事への取り組み方を見直してなるべくストレスを背負わなくて済むような働き方を模索中。本来、僕がするといっていた働き方に戻して、社に対する僕の影響度合いを薄めていく。

具体的にいうと実作業に掛かるのは介入の可能性がすべて排除されてからとし、そこに至るまでの調整もすべてやってもらう。例えば、絵の全くない状態で開発をはじめて試作が出来てから「ここのデザインはこうして欲しい」「この順番はこうあってほしい」というリクエストに応えるのではなく、最初からデザインを細部まで確定してから投げてもらう。必要ならラフを描き、色指定、サイズ指定をしてもらう。何かを変えようとか維持しようとかそういう希望もすべて捨てて、開発体制のことも考えない。目の前の作業のことだけを考える。

全部お膳立てが整って「では先生お願いします」「うむ」みたいな感じにも見えるけれど、実際のところはクリエイティブな要素の全くない、とても退屈なコーディング作業であって、やり甲斐はあまりない。あまりないし、エンジニアの仕事として価値が高いかというと微妙だけれど、でもこれが一番ストレスにならない。



つまり期待を抱かない努力を

人間、期待を裏切られるのが一番ストレスになるわけだけど、もともと僕が抱くべきではなかった期待を勝手に抱き、それを裏切られたといってストレスを訴えるのはおかしいよな。自分にとってもフェアに言うならば僕が言うとおりにやるべきなんだけど、でもまあ僕にはそういう提案をすることは求められてないのでね。契約的にも待遇的にも会社からの信頼的にも。じゃあ、期待するだけ無駄だよな。一瞬頑張ろうかなと思っちゃった自分がダメなのだった。そんなん、いらんいらん。