最低賃金を全国一律に 自民有志が議連発足へ – 産経ニュース
自民党の有志議員らが、地域格差が生じている最低賃金額を全国一律にすることを目指す議員連盟を近く立ち上げることが14日、関係者への取材で分かった。先の臨時国会で成立した改正出入国管理法をめぐる議論では、地方と大都市圏で最低賃金額の差が大きければ外国人労働者が都市部に集中するとの懸念が出た。議連は地方の賃金水準を東京の水準に合わせるよう議論を進める方針だ。
(中略)
最低賃金全ての働く人に適用される賃金の下限額。昭和34年に当時の岸信介政権が導入した。毎年度、中央最低賃金審議会が引き上げの目安額をまとめ、その後各都道府県の地方審議会が地域の実情に応じて改定額を示す。最低賃金を下回る金額しか支払わなかった企業には罰則がある。安倍晋三首相は平成27年、将来的に全国平均1千円程度に引き上げることを表明している。
バイトを掛け持ちしてダブルワークしている身としては、時給というのは自分の生活を左右するかなり大きな数字なわけですが、一方で時給に囚われる過ぎるとそれが社会人としてどういうレベルの話なのか?というのを見失いがちです。具体的に言うと、アルバイトとして考えた場合に「時給1,200円」というのは結構な高額であるイメージがありますが、もしそれで生活しようとするととてもじゃないけどやってられません。そういう時給というのはお小遣い稼ぎのような短期バイトを対象にしたもので、生活の基盤になる賃金だとは今まで誰も考えてこなかったからです。いやほんとは昔からある問題なんだけど、誰もが見て見ぬ振りをしていたというか。金が欲しければ正社員になりなよってみんな思ってたというか。そういう意識は理解出来なくも無いけど、でも、その金額でフリーターを募集して週5日とか6日とか縛ろうとするのは理解出来ないです。その人を雇ってどうしたいんですかね。
短期バイト的な視点からフリーター的な視点に考え方をシフトするためには、月の標準労働時間を設定し社会保険と源泉徴収を差し引いて、手取額を算出するとイメージしやすくなります。ここでは一般的なサラリーマンの、残業無しの労働時間を「1日7時間週5日勤務」と規定し、「7×5×4.2=147」から月150時間を月の標準労働時間として採用しています。
時給1,000円の世界
総支給額は、1,000円×150時間 = 150,000円です。それに対する社会保険は8,692円、厚生年金は13,725円なので、差引127,583円。
さらにそれに対して源泉徴収2,150円が差し引かれ、
詳しい計算方法は省略しますがそこから住民税を計算すると年額で101,538円、月額だと8,461円。
差引手取額は116,972円になります。
月11万円強の収入で家賃を払って生活費を出して……というのが時給1,000円の世界です。
時給1,500円の世界
総支給額は、1,500円×150時間 = 225,000円です。それに対する社会保険は12,749円、厚生年金は20,130円なので、差引192,121円。
さらにそれに対して源泉徴収4,480円が差し引かれ、
住民税を計算すると年額で176,187円、月額だと14,682円。
差引手取額は172,959円になります。
月17万円強の収入で生活するのが、時給1,500円の世界です。
最低賃金を上げるより正しく仕事内容を評価して欲しい
最低賃金が上がることに反対ではありませんが、どんな仕事でも一律給料アップというのはなんか違う気もします。1人で生活するのに月17万円の収入じゃ貧しくてやってられないですが、大学生が小遣い稼ぎのアルバイトとして働くなら十分すぎる額じゃないでしょうか(多くの大学生は扶養控除の枠があるので月11万円くらいが限度だし)。その辺の条件を無視して一括して給料を上げるから、現場で違和感があるんだと思うんですよね。時給800円程度の利益しか生まないようなルーチンをやってもらってたのに、今月から900円払うことになるみたいなのは、企業にとって利益にならないって言う。一方で安定してシフトに入りある程度の期間働くことが保証されている人に対しては、より利益に直結するような仕事を任せることになります。コンビニだったら商品の発注の数字入れるようになるとかね。でもそういう場合でも時給ってのは大して変わらないわけです。せいぜい時給で100円とか200円とか。そこには長くいて欲しいという意志は見られないわけですけど、一方で辞められたら困る人材ではあります。教育コストも掛かってるので。だったらもうちょっとなんとか待遇考えたら良いのに……と思いますが、でも「アルバイト」という身分の範囲ではそれ以上の待遇はまあないです。時給1,500円で「高給だね」って言われる世界ですからね。手取り17万円のやつに高給だねってどういう皮肉なんだと思いますが、アルバイトの時給について語るとき、月給に換算して考える視点が抜け落ちているので、気付かないんですよね。
もちろん自分がしている仕事にどれだけの価値があるのか?という問題はあります。コンビニの発注を行うにしても、ぶっちゃけ教えればすぐに出来るようなことなので、それだけで時給2,000円の価値はありませんよね。ただそれにプラスした何か、読みが的確で売上が上がったとか、売り場を作る発注が出来るとか、そういうことがあるのならその人間には高い給与を支払うべきですし、加えて他のバイトのマネージメントをするとか店舗内の企画を立てて上に上げられるとかあったらそれはもうね、それなりの待遇にしてあげないといけません。ただその時、最低賃金が高額で全てのアルバイトに支払う給与が既に上がっていたらそうする余力が無くなるんじゃないかという気もするんですよ。それがフェアなんだろうかと。
全員同じが最もフェアという考え方もあるのかも知れないけれど(共産主義的?)、個人の資質や努力が正当に評価されることが最もフェアだと僕は思います。だからといって何十億ももらった上にマネーロンダリングまでする必要があるのかと言われると、よくわかりませんが……せめて、ほとんど同じ給与で全く負荷の違う仕事を与えるようなマネージメントはしてはダメだと思いますし、仮に1,500円払ったところで「ちょっと貧しい」ぐらいにまでしかならないんだから、その辺よく考えたら良いよと思うんですよね。
もし最低賃金が1,500円になったら
大した仕事しなくても時給1,500円もらえるわけですけど、それってなんか働くのバカバカしくなりそうですね。現場の状況を踏まえつつ前段の話を踏襲するなら「最低賃金1,500円」とは「最低でも1,500円もらえる」ということではなくて、どんなに仕事が出来ても責任を負ってもそれ以上は払えませんよという状態だと思うんですよね。アルバイト始め非正規雇用の給与の流動性が全くなくなるんじゃないかなあ。隣でずっと寝てるおっさんがいたとして、そのおっさんの分もバリバリ働いてる若者がいたとして、その2人ともが時給1,500円てことが普通に起きうる。それって良いことなんだろうか。まあその当たり、この当たりの本を読みながら考えたいと思います。どうなのかなあ。