映画「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」

妻ふり



珍しく立て続けに映画館で映画を見た6月7月でしたが、その1つがこれでした。主演、安田顕、榮倉奈々。元ネタの方を知っているばかりか当時リアルタイムで面白がってた自分としては、それが実写映画化されてなんだかイタいような嬉しいような、昔懐かし「電車男」を見るような気分でしたが、実際見てみるとこれがねえ、良く出来てて。


正直、めっちゃ大変だったと思うんですよ。榮倉奈々さん。カットが変わるたびに、コスプレだ特殊メイクだってどれだけ時間掛かってんだって感じです。セット自体はほぼほぼマンションの一室だけといっても過言ではないのになあ。


そして相変わらず困った顔させたら天下一品の安田顕。歳を重ねて芸の幅も広がって、すっかり人気俳優になってしまいましたが、TVや映画で見掛けるたびに思うんですよねえ。

「安田顕は安田顕だなあ」

困ってる顔がね、似合いすぎるんですよ。僕は「亀岡拓次」もだいぶ好きでしたけど、あれもね、苦笑いとか困ってるとかなんかそういうのがすごいよくて。安田顕だなあ。


で、最後に、あの珍妙な設定がこんなほんわかしたラブストーリーに仕上がるんだっていう、なんかこう感心に似たものも感じました。すごい。夏目漱石が言ったと言われる比喩の指導を繰り返すのは、ちょっとまあうん、しつこいかなと思ったけど(それを使うことで、遠回しな感情表現を描くのを端折ったように僕には見えた)、でも僕はああいう雰囲気に満ちた状況も嫌いじゃない。なんでも言葉にすればいいわけじゃないし、わかろうとするな、感じろというのも大事なことだと思います。

言葉にした瞬間に色褪せて見えてしまう、大事なことってあると思うんだよ。


しみじみ、いい映画だったなと思いました。



個人的な話。

大学生の時に付き合っていた女の子が、なんとなく、この映画の榮倉奈々さんに雰囲気似ていて。なんだろう、独自の感性による独自の世界観。繊細だけど大胆な感じ。触れ方を間違えてはいけない感じ。もう20年近く前の話だけど、少しだけ感傷的な気持ちになりました。Swedenで元気にやってるかな。