馬券売り場は紙の匂いがする(「匂いの記憶」について)

瓶に入った香水

朝、出勤するときに乗ったマンションのエレベータで、ふわっと紙の香りがして、あ、これなんか競馬場の匂いだ(もう5年は行ってないけど)と思ったんですけど、よくよく考えたらそれ別に競馬場の匂いじゃなくて、なんならウィンズでも普通に香るやつで、要するに馬券売り場の匂いでした。

同人即売会の印刷の匂いも独特なものがありますが、馬券売り場の匂いも独特です。場内に充満する、競馬新聞の匂い、スポーツ新聞の匂い、マークシートの匂い、プリントされた馬券の匂い、そうした紙系のものの匂いは、同人即売会のそれと同じように、決して快適なものでは無いけれどふとしたときに懐かしく感じられるんですよね。


ちなみに「競馬場の匂い」をきちんと考えると、やっぱり土と芝の匂い。それからもちろん紙の匂い。あとなぜだか吉野家の牛丼の匂い。主に紅ショウガの匂い。お昼時はレース間が1時間あるけどお店はどこも混んでて、結局吉野家のテイクアウトを買ってそのへんでぱぱっと食うのが一番楽……みたいなことをしてたせいでしょうね。


「匂い」でいろいろ考えると、タバコにまつわる様々な匂いとか、特別好みの匂いというわけではなかったのになぜか忘れられなかった昔の彼女の香水の匂いとか、馬の匂いとか、濡れた海砂の匂いとか、人気のない林道の匂いとか、そう言うのと一緒にその当時の想い出が浮かんできます。「嗅覚」の記憶だけじゃなく他の感覚も一緒に呼び起こされる感じ。「匂いの記憶」ってすごい。