【読書感想文】 西原 理恵子 / 生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント




話題になっていた西原さんの本をようやく読みました。

やあ、結構前に借りて寝る時には常に側にあったんですけどねえ……寝る前に項目を1つ読むと満足して眠くなってしまってなかなか読み進みませんでした。寝る前意外にも読めば普通に読み終わったんだろうとは思うんですけど、そこはそこで別の本を読んでいたので。おかげでなんだかとてもじっくりつきあえました。


全体の構成としては「募集して集まった人生に関する様々な相談に西原さんが答えていく」という体裁。イベントの質疑応答と同じような感じでバシバシ答えていく様が気持ちいいのですけど、西原さんがただの辛口コメンテーターと違うのは、回答の内容にすごい偏りがあるところなんですよね。「自分はどうやって生きるべきか」「なにをしたらいいのか」「女子と男子」みたいな話はかなりきつめに切っていく一方で、「子どものこと」「子どもの頃のこと」「友達のこと」「病気のこと」などに対してはとっても情緒的に答えている。強気な発言が続くのを見ていると、「サイバラリエコ」という「ガワ」をかぶっているんじゃないかと思ってしまうときが僕にはあるのですが、実際にはそんなことは無くて自分の中で「決まっていること」と「決まっていないこと」とが決まっているんだなあと思いましたです。なかなか人間ね、「この人はドライな人」「このひとはウェットな人」みたいに綺麗に割り切れないですよね。長いこと生きてんだもん。


そんな西原さんの回答の中で気になった回答をいくつか。


「中2から高2ぐらいの男子は全員キモイ!」

本文中では「中2病」「高2病」について調べてみるように、というアドバイスがあるけど、いやーうん、すみません。僕もだいぶきもかったと思います。自分が覚えている自分でさえ、きもいと思う部分がいっぱいあるからなあ……黒歴史というか何というか。まったく、よく解ってらっしゃる。やあ、女子って言う対岸から見てればよく解るか。そりゃそうだ。

ただまあなんというかね、今現時点で中2の男子が「中2病」の存在を知るのは良いことなのかどうなのか、という思いはありますね。確かにきもいんだけども、でもそこのところの「無駄な努力」みたいなのが後々何か別のエネルギーを生むきっかけになっているようなこともあると思うんですよね。大人になったらもう出来ないってことも多いしね。知ってなお「中2病」を突き進むような面白キモイ男子ばっかりだったらいいよね、と思います。


「正義感を貫く武器を身につけよう」

マナーについて若者に注意したらフルボッコにされた、正義はどこに行った!的なおっさんに。そうねえ。僕もこのおじさんと同じように、「正義はないのか」「注意すべきかしないべきか」みたいな話に帰着しちゃうんだけど、いや違うだろうと。「それは間違っている」ということと「注意しべきである」ということは動かないけれど、それを実行に移せるかどうかはまた別問題と言うね。正義はある、でもそれを発揮して良いかどうかは場合に依るんじゃないの、発揮したいんだったらそのための準備が必要と。

そうだなあ……「上手く行かなかった」時に「次、実現するためにどうするか」を考えるのが大事だなあ。うん。そうだ。


「10分の1をあげる作戦で」

友達に借金を無心された、どうしようという回答に対して、高須先生の言葉から。

お金を貸すと返ってこないことでイライラしてしまう。かといって貸さないというのも難しいし、はっきり断って何かあっても困るしというところでどうするか。言ってきた額の10分の1をあげてしまって、以降、関与しない。「10万円貸してくれ」といわれたら「それは貸せないが、1万円やるからそれで自分で何とかしてみろ」と。ああ。そうか。

あいにくと僕の財布には1万円をあげるほどの度量もないけれども、心にはそんな度量を持ちたいと思いました。お互いにそれがいいのだよな。自分が損しないようにばかり考えていたら上手く行かないことも多いよな。うん。



……様々に鱗を落としてくれる1冊でした。

面と向かって瑕疵を指摘されたら凹むいけど、西原さんだとなんか負けた気がして、そのあと元気出る。
そうねえ、いろいろな発想を持つことは大事だし、自分の見えてないことはたくさんあるなあ。