世界報道写真展 2011(@立命館大学国際平和ミュージアム)



今年も、世界報道写真展に行ってきました。
2007年に初めて行ったようだから、今年で5回目。

『世界報道写真展 2008』 at 立命館大学国際平和ミュージアム – nplll
世界報道写真展 2010(@立命館大学国際平和ミュージアム) – nplll

よくもまぁ、衣笠くんだりまで行くなぁと思うわけですが、やっぱり行くと感じることがたくさんあるので行くわけです。
料金も500円と格安だしね。


今年の個人的第1位は、Martin Roemersさんによる一連の組写真。

Martin Roemers / Metropolis
Martin Roemers Photographer

インドを舞台に、流れゆく町並みを写しています。
インドという国のせいもあるのでしょうが、とても躍動感のあるエネルギーに満ちた写真でとても好きです。
写真展にはそのうちの2枚が展示されていたのですが、とても楽しくて10分くらいずっと眺めていました。



ただ……もちろん、世界報道写真展はそういう明るい写真ばかりではありません。
というよりも…写真が伝える社会の姿は、明るさよりも暗さの方がずっと多くなっています。
パキスタンの洪水、ハイチの地震、カラチでの抗争、タイでの暴動、エイズ、性暴力……

3月に起きた東日本大震災では死者・行方不明者合わせて2万人余り、多くのひとが被害を受けました。
個人的にもとてもショックでしたが、ハイチの地震の様子を伝える写真は…身近なニュースではないにもかかわらず、
東日本大震災と同じくらいショックでした。

死者31万6千人。見渡す限り家が崩れている中で、崩れた家に何か使えるものがないかと群がる人、人、人。
病院の裏口で無造作に投げ捨てられていく、遺体。泣き叫ぶ女性。カオスと化した首都から次々に脱出していく人たち。
テキストで知識とするだけでは感じない衝撃を写真を通して感じました。
もちろん…現実にその場に立つよりは他人事感は強いと思います。でも、それは僕には出来ません。
だからせめて、写真で。


日本国内の報道では、そのような凄惨な光景は報道しないのが決まりになっているようですが、
それを知らないことが果たしていいのかどうなのか…僕にはよくわかりません。

きっと来年の世界報道写真展には、国内で報道されなかった東北で撮影された多くの写真が展示されることでしょう。
ハイチのように、センセーショナルな印象はないかも知れません。
でもそれを考えるだけで、今少し胸に来るものがあります。New York Timesで見た写真を思い出して。



世界報道写真展を見終えて、立命館大学国際平和ミュージアムを出て最初に思うことは、「日本は平和だなぁ」「平和であるというのは素晴らしい」。なんだよその他人事感…と自分でも嫌になってしまいますが、でも、率直な感想です。僕が住んでいる場所は、写真の彼らが住んでいる場所とは違う。良いとか悪いとかではなく、それは動かしようのない事実であり、同時に、たまたまです。たまたま、僕は運良く、この国に生を受けた、ただそれだけのことなんです。

まぁ…あんまりそういうことを、大袈裟に、しつこく書いても鬱陶しいだけなんですけど、人に言って聞かせなくても良いから、少なくとも自分の中ではそういうことを大事にしていきたいと、毎年確認しているのでした。



京都では今月16日まで開催していますので、お近くの方は是非。

世界報道写真展2011 開催概要


もう行ったよーという方は、是非World Press Photoで他の写真も見てみてください。
展示されなかった組写真もたくさんありますよ。

World Press Photo