「世界報道写真展 2019」(@立命館大学国際平和ミュージアム)に行ってきました。

あまり美術館や博物館、各種展示に足を運ばない我々にとって「世界報道写真展」(World Press Photo 2019)は数少ない毎年必ず行くことにしている写真展です。ブログを見返してみると2012年を最後に記事を書いていないみたいですが、その間行かなかったのは1回だけ(関西での開催が例年より早く、気付いたら終わってしまっていた)で、それ以外は毎年行っています。いつもそういったことに興味がないからこそ1つぐらいはそういう接点があった方が良いのではないかと言うことと、中立的で網羅的なこの報道写真展がとても気に入っているからです。もちろん見たあと暗い気持ちになる写真も数多くあるのですが……




今年一番印象に残ったのは




記事の最初に挙げた、今年の大賞と同じメキシコからアメリカへ入国するホンジュラスからの移民の人たちを捉えた写真。トランプ大統領就任後、移民の入国が停滞し移民たちは自分たちで柵を乗り越えはじめたそうです。


25 November, 2018

Central American migrants climb the border fence between Mexico and the United States, near El Chaparral border crossing, Tijuana, Baja California, Mexico.

Refugees who were part of a caravan that originated in Honduras in October, began arriving at the border in November to find a backlog of some 3,000 people waiting to be processed into the United States, and a potential delay of months. This led to rising tensions, and to people breaking away from the caravan to attempt their own entry.

Pedro Pardo SN | World Press Photo


違法なことかも知れないけれど子供のために必死に体をはる両親。ここに至るまで1日30km以上も歩くそうで……何とかならんのか。ならんのか。ただの不法入国者というわけでもないのに。。



そのほか、印象に残った写真は




やはり馬。美しい。

ただこれはカリフォルニアの山火事のさなか、繋がれている馬をとらえたもの。カリフォルニアが大きいのはわかるけれど、ここの山火事も毎年のことですよね。アメリカなんだし何か対策取れないのかとも思うんだけど、なんともならんのでしょうね。


10 November, 2018

Evacuated horses stand tied to a pole, as smoke from a wildfire billows above them, on Zuma Beach, in Malibu, California, USA, on 10 November.

The 2018 wildfire season in California was the deadliest and most destructive on record, burning an area of more than 676,000 hectares. While scientists pointed to the effects of climate change as a cause, US President Donald Trump blamed forest management.

Wally Skalij EN | World Press Photo







グアテマラの火山噴火で灰に埋まった家。

灰って上から降ってくるイメージがあって室内にこんなに降り積もらないだろうと思っていたんですけど、軽いし粒が小さいからどんどん入ってくるんでしょうね。昼食時に突然前触れなく火山が噴火し、多くの人たちが溶岩や火山性ガスに襲われたとのこと。現代になっても火山の活動はわからないんだなあ……


08 June, 2018

The living-room of an abandoned home in San Miguel Los Lotes, Guatemala, lies covered in ash after the eruption of Volcán de Fuego on 3 June.

Fuego, around 40 km southwest of the capital Guatemala City, is one of Latin America’s most active volcanoes, and has been erupting periodically since 2002. It is monitored by volcanologists, but this eruption came without warning. People living around the volcano, many at Sunday lunch, were surprised by the suddenness of the event, as Fuego spewed red-hot lava, ash, poisonous gases and flaming debris onto villages below. The eruption was one of the deadliest in Guatemala for over a century. Guatemala’s National Institute of Forensic Sciences reported the recovery of 318 bodies, over a third of them unidentified.

Daniele Volpe GN | World Press Photo







ギリースーツに身を包む女性。

紛争地域での活動ではなく、密猟者に対抗する女性監視員ということらしいんですが、どう見てもゲリラ戦にしか見えません……密猟者の方も武装しているのかも知れません。

確か去年も南太平洋だったかな、女性が藻の養殖に従事するようになって男性から経済的に独立できるようになり抑圧された社会が変わり始めた(しかしその後温暖化の影響で養殖できる水域の推進が深くなり、養殖事業も男性がやるようになったまた社会は元に戻ってしまった)という出来事がありましたが、女性が社会と接点を持つような職を得るというのは社会にとって大事なことなんでしょうね。そこに住む男性は忌々しく思っているかも知れないけれど。


20 June, 2018

Petronella Chigumbura (30), a member of an all-female anti-poaching unit called Akashinga, participates in stealth and concealment training in the Phundundu Wildlife Park, Zimbabwe.

Akashinga (‘The Brave Ones’) is a ranger force established as an alternative conservation model. It aims to work with, rather than against local populations, for the long-term benefits of their communities and the environment. Akashinga comprises women from disadvantaged backgrounds, empowering them, offering jobs, and helping local people to benefit directly from the preservation of wildlife. Other strategies—such as using fees from trophy hunting to fund conservation—have been criticized for imposing solutions from the outside and excluding the needs of local people.

Brent Stirton | World Press Photo



いま、起きていること

平和な日本に暮らしている僕たちが、今世界で起きていることをきちんと捉えるのはなかなか難しい。単に日本だけが平和というわけではなく、先進国と言われる国のほとんどではそうで、経済的に貧しい地域や紛争地域で起きていることはどこか遠く感じてしまうし、実際遠い。日本とすぐ目と鼻の先にある香港の出来事でさえ、中国大使館に抗議するデモが行われているなんて聞かないし、ウイグル自治区での中国の暴挙を糾弾する市民活動なんても聞いたことがない。政治家や政治活動家をはじめ、僕ら庶民だって自分の生活に関係することしか興味がないし知ることもない。もちろん本当は、もっと多くの海外メディアの報道に触れ色んなことを知るべきだと思うけれどなかなか継続することは難しい、ただこうして毎年「世界報道写真展」に来ることでそのことを再確認して、そうした意識を忘れないようにしています。出来てるかなあ。出来ていないかも知れないなあ。

でも、僕が意識できている出来ていないにかかわらず、世界では今でも様々なことが起きています。
そのことを想起することだけは、常に忘れないようにしていたい。そう思います。