[Number717] ナンバーノンフィクション – 嫌われた審判。

ずるい、と思った。


主審を務めると試合が荒れるとして、悪名高かった日本のSR、家元政明氏。
サポーターから審判へ文句が出るのは常とはいえ、大きな試合毎に、
「また家本か!」という話題でWEBが満ちるってのはさすがに無い状況。
特に今年春のスーパーカップ?Jリーグの試合割り当て見送りあたりでは、
彼に対する相当なバッシングが続いていた。
かくいう僕も、特定の審判で試合が荒れることにうんざりしているのだけど。


Number 717号のナンバーノンフィクション『嫌われた審判。』は、
その家本氏に焦点を当てて、大きな問題になった今年3月のスーパーカップ、
そこから現在までの彼の状況をつぶさに記録したもの。
(筆者は、二宮寿朗氏)


特に何の意識もせずに何となく読み始めたのだけど、
半分ほど読んだときに、冒頭のようなことを思った。これはずるい。
スーパーカップ以前、直後、そして現在を順序立てて客観的に並べて、
一般的に目に触れることのない審判の取り組みや努力と、
現在彼が何を考えどんなレフェリングをしているかをここまできちんと書かれたら、

と思わざるを得ないもの。
うーん、審判ってすげぇ。


僕は、もちろん審判のことはよくわからないので、
細かい査定的な見方は出来ないのだけど、
僕が家本氏を批判した理由はもの凄く明確で、試合が荒れたから、だ。

それって審判の責任なの?と聞かれた場合、
例えば遺恨試合とか1試合であれば違うと思う。
でも彼が笛を持つと決まって荒れるというのは、技術とかそんなことではなくて、
人間的なものや選手の信頼度という点でゲームを管理できてないということなわけで。

それは、いくら90分間疲労を見せずに走り続けられたとしても、
ポジショニングが良かったとしても、戦況を予見する能力があったとしても、
ダメな審判ってことになるんじゃないだろうか。



2ヶ月間のJリーグの割り当て見送りの間に彼がしたことは、
トレーニングのやり直しとトレーナーの治療の手伝い、それからコーチングだそうだ。
当事者の証言からは、彼がそうした活動を通して何か変わったということがわかる。
何か、というのは…

やっぱり、心の部分なんだろうなと。
そう語ることが出来る家本氏は、うーん確かに以前とちょっと違うかも。

審判委員会の松崎氏のコメント、
むー。

なんて凄い言葉なんだ。
家本氏の過去と現在をここまで簡潔に表せる言葉はないような。
そうかそうか。


一度付けられたレッテルをはがすのは簡単ではないけれども、
審判に対する印象ってのは大体が、私情と風聞なわけで。つまり自分次第。

一度、彼に対する印象をゼロに戻して見てみたいと思う。

B001LIOOSYSports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2008年 12/11号 [雑誌]
文藝春秋 2008-11-27
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追記

そういえば定期購読にしたおかげで、
Numberが毎週水曜日に、家に届くようになりました。
便利すぎー。