私にとっては、組織集団の尊重の際たるものは、学生時代のクラブでした。
大学時代のクラブ(バスケット)では、先輩に「飲め!」と言われて、断ることなどできませんでした。(まあ、そんなに無茶な先輩もおられませんでしたが)
ただ、勝って優勝カップなどを頂いた夜には、お決まりの酒盛りです!
そのカップで飲み、飲んでる間に上から注がれ続けるなんて・・・今だったら、傷害罪が適用されるような祝勝会など、日常のことでございました。
チーム球技の場合は、
たとえ最善ではなかったとしても、みんなが同じ方向に進む方が、各人がばらばらに策を持つよりは、効果的という経験的事実もありましたので、
私も素直に、「ああ、こういうことも訓練なんだわあ」なんて、当然のように受け入れていたわけです。
また、そんな風土には、一体感があったりして、みんなが同じものを目指している状況が、結構好きでもありました。
でも、そんな組織集団の尊重って、個の尊重とは、相反するものでしょうか?
企業組織の利や、集団の目的は、個の幸せとは、相反するものではないはずです。
『私の大学時代のクラブ』というのは、馬術部のこと、です。有り体に言うと、乗馬。
これを聴いた知人の第一声は必ず、金持ちないしはそれに類する単語なわけですが、
そんなのが通用するのは一部私立まで。日大とか。明治とか。早稲田とか。
実際の所は、泥と砂と藁とその他もろもろにまみれる生活です。
馬子にも衣装と言いますが、そもそも馬子は衣装を着ない。そんな感じ。
学生の本業がある中で、朝早くに集合(通常6時、夏季は5時半)して、
授業前まで練習し、その後空いた時間に各自割り振られた作業を行う。
基本的には、1頭と1人による個人競技なんだけど、
その個人が練習するためには、その準備のために多くの労力が必要で、
結果として、競技に臨むにあたっては集団でなければならない。
そういうわけで、活動への取り組み方は常に、個でありかつ集団だったわけです。
そのどちらが欠けても、成績は残せない。
自分が競技者であるときは、個でなくてはいけないし、
仲間が競技者であるときには、集団でなくてはいけない。
もちろん人によって、個人主義に意識が偏った人や、
集団を意識しすぎるが故に重圧を感じすぎてしまう人もいたけれども、
例えそうであっても、必要とされるときには、それに合わせた意識でいないと、
個としても集団としても良いパフォーマンスは残せないわけで。
結局の所、大事なことは、個であれ集団であれ、向かうベクトルが合っていること、だと思うのね。
イチローは、
と言っているけれども、それは、自分勝手ではなくて、
そのことが集団のためになる、と信じているから。
言い換えれば、目的としての個ではなくて、手段としての個。
周りから見れば、集団のために尽くしていることであっても、
それを実行している本人にとっては、自分が達成したい目標を達成するために、
自分に課したことなのかもしれない。
それは、意識の上では個、であると言えると思う。
目的さえ共有できていれば、
それを達成するためにとる手段は各自に任せる、と言うのがプロではないかと思うし、
任されたときに、その目的に合わせた手段を選択できるというのもプロではないかと思う。
そういう意味で、手段を取り出して、そのメリット・デメリットを言いつのったところで、
それは問題に対する本質的解決にはならないんだよね。
手段を選択する意識の方に解決すべき事柄があって、
果たしてその選択は、目的を的確に見ているか?という面での、優劣ではないかと。
四年間同じクラブで活動していれば、そのときの最上回生によっては、
この連携が上手く回らないときがあったり、
逆に上手く回って実力以上の成績を残したり、
いろいろなパターンがあった。
考えてみれば、人間の意識なんて簡単に変化していくから、
それぞれの立場に合わせたレベルで、目的を確認しながら進んでいたチームの方が、
1人が強引に引っ張っていくような時よりも、結果は出せていたような気がする。
やはり、メンバーそれぞれに、手段選択の判断力を付けさせなければいけないのではないか?
そういえば僕が最上回だったときのチームは、先輩にも後輩にも、
個性が強すぎてバラバラだとか、仲が悪いとか言われていたけど、
本当のところ、仲が悪いわけでも何でもなく、個々が個々を見ていただけで、
全員が何をすべきかを納得し、そちらに向いたときのチームの力は、
申し訳ないけれども、上回生のチームよりもずっと上だったと思っている。
一般的には、自分勝手な人間に集団意識を植え付けるのは難しいと思いがちだけど、
本当に難しいのは、集団に盲目的に従う人間に自分でやらせることの方じゃないかとも思う。
【個】や【集団】を、手段として認識できる人間の集合であれば、
多少、個性的だろうが、結果を上手く生む方法はある気がする。
…ま、今、上に立つ立場ではないから気楽に何でも言えるんだけどさ。
でも、なんとなく。