【映画】 PEDAL

昨日は、京都クラブメトロにて行われた、
“メトロ大學 ドキュメンタリー 映画『ペダル』DVD発売記念上映会
?バイシクル・メッセンジャー・ライフ in NY?”

に行ってきた。

ゲストに、京都メッセンジャーKAZEの、
半田康之さんと兒玉卓也さんが来られてたんだけど、
仕事が終わってから大急ぎで駆けつけたので、
結局、ゲストトークは殆ど見られず。残念。

ほどなく、上映会に。








70分と短い映画なのだけど…んー…なんか凄い深い、
というか、異世界な感じのする映画だった。
上映会のあとで、マイクを向けられた女性が、
日本で感じていたメッセンジャーとの印象との違いを挙げていたけれども、
ニューヨークのメッセンジャーの仕事の、あまりのブルーカラーぶりに驚いた。
基本的に薄給で、人によっては週に100ドルくらいで、
(人によって違う、人によっては一日100ドルの人もいる)
泊まるところが無く、地下鉄のボイラー室のようなところで寝起きしている人間もいる。

ニューヨークの交通事情は、明らかに狂気の沙汰で、
その沙汰にさらに拍車を掛けるように、タクシーと、バスと、トラックの間を縫うように自転車が走る。
信号無視も、歩道走行も車輪が通れるところは全てお構いなし、
それも、ブレーキのない、ピストで。ホント、恐ろしい。

でもそんな恐怖をリスクと捉えるだけではなく、
自転車に乗れさえすれば稼ぎを確保できる、
稼がないと生きていけない、
そしてなによりも、自転車に乗ることが好きだという、
そう言う感情が満ちている。


上映後、お二人の話を聞いてるときに思ったのは、
このドキュメンタリに出てくるメッセンジャー達には、『生きてる感』があるなぁ、と。
今を、生きてるという実感。

あくまで僕のイメージでしかないけど、
日本のメッセンジャーには、将来を見ることが許されてる気がするんだよね。
日本のメッセンジャーの歴史が短いこともあってか、メッセンジャーそれぞれもまだ若いし、
メッセンジャー会社もそう多くない、
ある程度の期間現場で働いたのち、
独立して自分の会社を持つ、なんて言うことも考えやすいだろうし、
まだまだ発展中だから、俺たちがこれをメジャーにし、
市場を大きくし、仕事を沢山取ってくるようにするんだ、みたいなね。
ゲストのお二人もそうだけど、そう言う期待に満ちてる感じがした。

果たして、ニューヨークはどうなんだろう?
1880年代から、メッセンジャーという職業がある都市。
職業としての地位を確保できている一方で、
多くのメッセンジャーと、多くの会社があるという現実。
これ以上何かが変わることはなく、
毎日、そこにある仕事をこなし、収入を得る、それが仕事の全て。
将来を見据えることはないし、見ても特に何もない。
その代わり、今を、今のために、生きる。
スリルと弛緩の繰り返しが、ああぁ生きてるなぁ、という実感を生むのかなと。

卓也さんがおっしゃっていた、『美しい』という感想はよく分かる気がした。
熱くて、泥臭いけど、でも、美しいと思う。
命を燃やしている感じ(卓也さん)、
ある意味で…宵越しの金を持たない江戸っ子とか、
世間のルールより自らの生き方を優先させる傾奇者の発想に近い。
つまるところ、彼らは、快楽主義者。

だから、ブルーカラーではあるけれども、
日雇い労働者のような悲壮感や、希薄さがない。


もしかすると、あと何十年か経ち、
日本のメッセンジャー文化がもっと習熟していったら、
走ること以外の余計な部分(経営のことや将来のことなど)が、
もっとそぎ落とされていって、シンプルになっていくかもしれない。
そうしたら、彼らも、ニューヨークのメッセンジャーのようになるのかもしれない。

…よくわかんないけど。


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