「東方求聞史紀」以来の公式設定資料。


まー考えてみればシューティングゲームの「弾幕を出すだけの障害物」(ZUNさん談/あとがき)に詳細な設定がありしかもそれが出版されるというのは少々異常なことではあるのだけれど、それだけ個性があり「色んなバックボーンがある」(ZUNさん談/あとがき)ということなんでしょう。僕らはゲームに同梱されたテキストファイルや、ゲーム中のわずかなセリフを頼りにキャラクターの個性を想像し妄想していくだけですけれど、その当たり外れの差こそあれ、僕らが妄想しているような奥行きが各キャラクターに生まれているという事実がとっても嬉しかったり。東方Projectは作品を重ねるごとにキャラクターの数が増え、そのキャラクター数が新参者にとっての最初のハードルだったりするのですが(少なくとも僕はそれで敬遠してた)、それでも1人知り2人知り、お気に入りのキャラクターが出来ると世界観がぶわっと見えてくるこの感じは、キャラクターそれぞれが絡み合っていること、そして多分どこかに「幻想郷」があることの証明かなあなんて思いながら読みました。


以下、ネタバレ含みます。




ネタバレ注意であっても詳しくは控えたいと思いますが(予約してない組にはまだ買えていない人もいるみたいなので)、やっぱり個人的にビビッときたのは…やっぱり星蓮船組ですね。絵師さん作家さんあたりでも話題になってたのは一輪さんと雲山のなれそめ。一輪さん元々人間だったんかい!っていう驚きあり、前から思ってたけどやっぱりな雲山の男気っぽさあり。これは……話広がるなぁ。いいねぇ。


小傘のエピソードも微笑ましかったかな。

無視すると落ち込む。問題があるとすれば落ち込んだ姿の方が鬱陶しいので、わざと驚いた振りをして相手を喜ばせた方が良い。

なんという……萌える(笑)子どもたちに人気ってのも何かもうね。


あともちろん星ちゃんとナズー。毘沙門天と聞くと寅丸星と変換されるくらい星ちゃんが好きなんですけど、まぁでも二次創作を見ていると錯覚してしまいがちな距離感、つまり人間に近いんじゃ無いかって言う誤解を良い意味で裏切ってくれる感じが逆に安心出来たり。そして…「余り体術を得意としない。彼女の強さの八割はこのレーザー宝塔」「長い鉾を持っているが(中略)杖代わりに使っている」ということは宝塔を無くした星ちゃんは……どじっこですなぁ(笑)可愛すぎる。


個人的に一番ヒットだったのは、「鳥獣伎楽」。

何かというと、ミスティア(G)、幽谷響子(Vo)で構成されるパンクロックバンド。後の方に文々。新聞の切り抜きが掲載されているのだけどそこの絵がなまら格好いい。なにこれ見てええええっていうレベルで。まぁ実際に見たら騒音で大変なんだろうけど、響子ちゃんの何とも言えない緩いコメントと合わせて良い味出し過ぎ。みすちーがボーカルじゃ無いってのも方向性として新しいし。

多分そのうち誰か超格好いい「鳥獣伎楽」を描いてくれるはず。お願い描いてください。1ニコのトップバナーにしたいくらい。


その他、こいしの座敷わらし的な設定とか、神霊廟組の様々な関係だとか。とっても楽しい。東方が好きな人はねえ…これは買った方が良いと思いますよ。うん。全編にわたってにやにや出来ること請け合い。



最後に、東方Project設定資料の楽しみ方を。

「公式資料集」と銘打たれてはいるけれど、ここに書かれていることがすべて「公式設定」だと考えるのは少し残念な解釈です。ここで書かれているのは唯一無比の「公式設定」では無くて…公式設定に対する阿求のリアクションです。なんだろう「三国志演義」とまでは言いませんけど、「魏書」レベルの信憑性というか何というか。東方Projectを好きな人は一般的に妖怪側の視点で幻想郷を見ると思うのだけど、阿求はその立場上徹頭徹尾人間側の視点で幻想郷を描いていて、旧地獄の妖怪や鬼に対する悪いイメージとか、妖怪に対する根強い不信感とか、解るけど偏ってるなぁと言う印象。

そういう味付けを加味しながら、人間・阿求との関係性はそんな感じだったとしても、僕らが取りがちな妖怪側の視点として、妖怪と妖怪、鬼、神様との関係性はどうなんだろう?というところを阿求の先入観分差し引いて想像するところがとっても楽しいのですよね。そのへん「これが正しい設定なんです!」みたいなのではなく、遊びを残してくれているのがZUNさんらしいというか。東方ってのはそういうのがいいですよね。



まぁなんだ、最後に思うこととしては、秋姉妹が消えてしまわないように信仰を守っていきたいという感じですね。「紅葉」という大仕事がある静葉様は良いとしても、過当競争に晒されていて秋に出来る作物にしか御利益をもたらせず、それでも自分が手を入れて面倒を見れる範囲の信仰で満足している穣子様が不憫で不憫で…しかも秋以外は鬱になりがちというのが涙を誘います。いや、うん。秋は大好きですよ。毎年美味しい食べ物をありがとうございます。そろそろ小さな社だけでも建ててあげて欲しいなぁ…