夜中に目が覚めてしばらく眠れなかった間に、とても面白いエントリを読んだので。

チェルノブイリ原発事故と福島原発事故の比較に関して: 福島原発事故に関して

様々な場面でチェルノブイリとの比較が取り上げられていて、色々誤解もあるので、一応調べた限りでまとめてみる。



多くの資料にあたっていることもあり、少し長い。エントリの趣旨を簡単にまとめるなら、

福島原発事故の政府対応などへの批判として「チェルノブイリでさえ○○していたのに、福島ではしていない→怠慢だ!」という論理展開が良く行われているけれど、それが正当なのかどうか?という検証エントリ。

といった感じになるだろうか。先の論理展開は、福島原発事故がチェルノブイリでの事故と同等かより酷い場合に説得性を持つわけだけど、その辺が曖昧なので検証しようと。ちなみにコメント欄で脊髄反射している人がいるけれども、政府の対応が正しいかどうかとか、低線量長期被爆は人体に悪影響をもたらさないとかそういうことを言っているのではないので念のため。
エントリから気になった点をいくつか抜き出してみました。大体このようなことが、きちんと公表されている研究結果を参考に書かれています。

  1. 研究資料のデータは事故直後ではなく「5年後」のもの(半減期が2年のセシウム134の検出量に関係する)
  2. 「強制移住」は指示されたが実際には行われなかった(線量と被害者数の相関に関係する)
  3. 初期の被爆対策が極めて不十分であったため、高線量短期被爆と低線量長期被爆とを区別できていない
  4. チェルノブイリで作業に当たった原子炉建屋屋上の線量は70Sv/h以上(作業は2分間に制限)。福島原発で決死の作業が行われた地域は70mSV/h。
  5. チェルノブイリから2kmほどの枯れた森林地域(通称・レッドフォレスト)の放射線量は、事故10年後1997年の調査でセシウム137とストロンチウム90がそれぞれ20000kBq/m2以上。アメシウム241、プルトニウム239、240がそれぞれ400kBq/m2以上


これらの事から解ることは何だろう?それは「チェルノブイリの原発事故は、福島の原発事故と比べて比較にならないほど被害の大きな爆発事故だった」ということじゃないかな。汚染範囲やその濃度において。また急性放射線障害による人的被害において。福島原発事故が軽微だというつもりは全くないことは重ねて言っておきたいけど、少なくともチェルノブイリで起きたほどのことは日本では起きていない。

チェルノブイリの資料と同じくセシウム137のみの線量を算出し日本とチェルノブイリの被害を比較してみるとこんな感じになるらしい。日本の5年後の汚染度といっても差し支えないかも知れない。



確かに福島の原発事故はとても大きな被害を出した。こんなの繰り返しちゃ行けない。でも…チェルノブイリはそんなもんじゃない。もっとずっと悲惨。これを見て僕は、チェルノブイリを比較対象として安易に引き出すことの不適当さのようなものを感じました。なんでしょうね、チェルノブイリの被害を過少に見積もり過ぎじゃあないのかな。どう読んでも地獄絵図でしょう、これ。福島ではそこまでは起きてない。

個人的には「低線量長期被爆がどんな悪影響をもたらすか解らないから、大事に大事を取って基準を策定しよう」というのは間違っていないと思うし(安心は理屈ではまかなえない)、低線量長期被爆の研究が進むにつれて基準を改定していけばよいと思うのだけれども、それはそれとしてチェルノブイリを引き合いに出して対策を批判するのはちょっと煽りすぎだと思うのですよね。大事を取ることと、嘘は同じではないですよ。パニックになっている人にそれが解るかどうかは解らないけれど…


パニック状態になっている人に「パニックになるな」と言うことには何の意味もないことはよく解ってます。西日本ということもあるのでしょう、幸い僕の周辺の友人にはここまでパニックになっている人はいませんけれど、もしそういう友人がいたらば、緊急事態にはどういう人格が現れる人なのか、よく見ておくと良いと思います。