放射線汚染された汚泥を肥料に使うなんて政府は何を考えてるんだ!だから政府のやることは信用できない!みたいな感情的な記事をいくつか見かけたのだけど、その後きちんとフォローアップできてる人を見かけないので調べてみました。結果として農林水産省の主張を取り上げることになっていますが、別に僕は専門家ではないので科学的に正しいかどうかは何とも判断しようがありません。ただ、納得性はあると考えて取り上げています。

なお「例え科学的に正しいのだとしても怖いから拒絶したい」という精神状態の方を優先させる人がたくさんいることを、特段に非難するつもりもありません。それは拒絶の十分な理由になると思いますし、堂々と拒絶したらよいと思います。それはもう仕方がないです。ただ拒絶するのと同時に、「自分がヒステリックになっていること」を認めること、「恐怖感を取り除いた現実はどうなっているのか」を見てみることはすべきでしょう。パニックに陥らないためにもね。

これまでの経緯

  • 6/24 農林水産省:放射性物質を含む下水やし尿などの汚泥を肥料の原料として利用する場合、放射性セシウム濃度は1キロ当たり200ベクレル以下とするように基準を定める

ブログ等で見かけた主張

  • これによって全国に放射性セシウムがばらまかれて日本の作物が全て汚染される
  • 1キロあたり200ベクレルは飲料水や牛乳の暫定基準値と同じ基準
  • そもそもその基準が信用できないからこれも信用できない


この流れを見る限り、原発事故以降の政府に対する不信感が色濃く出てるなという感じがします。というか……取り上げてる人がみんなコピペなんですけど、どこの誰だかわからない人が書いた記事は鵜呑みにして信じるのに、農水省の発表記事は読まないんでしょうかねぇ…凄く不思議です。「これは感情論ではなく論理的に見ておかしいだろ!」と糾弾したいのであれば、双方の言い分を付き合わせるのが筋ってもんじゃないんですかね?

汚泥を利用した肥料に関する農水省の補足はこちらにあります。「汚泥 肥料」で検索すれば一発で出ます。

農林水産省/汚泥肥料に関する基礎知識

「肥料とは何か」「汚泥とは何か」から始まり細かく解説があります。そう長いものでもないので、危機感をお持ちの皆さんは是非目を通してみてください。忙しい人のために今回の件に関連する部分(汚泥の説明とQ3まで)を抜粋しますと、ポイントはこんな感じ。

なぜ肥料として利用できる汚泥の放射性セシウム濃度が200ベクレル/kg以下となったのか

  • 原発事故以前の農地土壌の放射性セシウム濃度 → 平均20ベクレル/kg、最大140ベクレル/kg
  • 放射性セシウムを人為的に減らすのではなく自然減少しかしないと仮定し、さらに放射性セシウムが全て半減期の長いセシウム137だとしても、汚泥中の放射性セシウム濃度が200ベクレル/kgであれば、40年間汚泥肥料を追加し続けても土壌中の放射性セシウムの濃度が100ベクレル/kgを超えない → 事故前の水準を保つことが出来る
  • しかも実際には汚泥は2週間毎に更新され、放射性セシウム濃度が徐々に落ち着くはずなので、実際には計算値よりもっと低い値に収まることが予想できる

非常にわかりやすい、と個人的には思いました。

食の安全基準とか、そういうまだ誰も検証していないような案件は一切絡んできません。飲料水や牛乳の暫定基準値を持ち出してる人が見当違いなのもわかると思います。要は…事故以前に正常とされていた範囲を逸脱しないように、基準を定めたのが200ベクレル/kgだった、という話ですよね。今まで食べていたものが今までと同じように育つわけですが…これに対して「日本全国の作物がみんな汚染される!」と騒ぐのはちょっとヒステリックだと思いませんか?

上でも書いたとおり怖がる心情は理解できますし、恐怖心を克服するのに必要なのは論理だとか正論だとかではないこともわかっていますが、不確かで誤った情報を書き散らして騒ぐのは止めて、静かに心を整えるべきだと思います。



なお、Q4以降の食料の安全性の基準については…正直よくわからないので言及したくありません。この場合大事なのは、どうなる予定かだけではなく、実際に取れた作物に対する検査だと思うので、吸収率がどうとか説明されてもあんまりピンと来ないというか。そこの部分については、引き続き、政府、行政に透明性・納得性のある取り組みを求めていくべきだと思います。