中国怪食紀行―我が輩は「冒険する舌」である中国怪食紀行―我が輩は「冒険する舌」である
小泉 武夫

日本経済新聞社 1997-09
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くさいはうまい」が興味深く面白かったので、他の作品もということで、これをチョイス。
このあと、「地球?」「アジア?」と続く3部作の1作目。


政治的な面においては微妙な印象もある中国だけど、
歴史…こと食の文化においては確かに圧倒的な存在感がありますな。
日本の食文化は、質を考えれば決して中国には負けていないと思うけど、
国土の広さや文化の多様さから来る多種多様な食材、香辛料、多くの料理技法を、
それぞれに組み合わせて作られる中華料理の多様性ったらないわけで。

本書ではいわゆる中華料理(北京とか四川とか)ではなくて、
もっと中国の庶民に属した、まさに中国の食文化と言っていい料理の数々が、
写真入りで紹介されています。
その懐の深さというか、工夫の多さを見ると中国ってすげーなーと素直に思いました。


例えば、白酒1つ取ってみても。

文中で小泉さんが書かれていますが、確かに世界の「お酒」というヤツは、
樽なり瓶なり何らかの容器に入れて発酵させるもんですが、白酒は違って、
土に掘った穴に煉瓦を敷き詰め、そこに菌を混ぜた材料(コウリャンなど)を入れて発酵させるそうで。
日本酒で言えば蔵に付くと言われる菌ですが、それがもっと直接的に
それぞれの「土」に付いていて、当然土地によって味わい(特に香り)が変わってくるそう。

当然、作られる土地によってそれが明確に変わってきて、
同じ作り方で作ってもそれぞれ全く香りが違うと。
しかも一番古い穴で明の時代から使い続けてるって言うんだから驚きです。桁が違う。
明って言ったら、14世紀後半から17世紀中頃までだから少なくとも350年は経ってます。

古い穴には当然、その年月が育んできた多種多様な菌が住んでるので、
その発酵の仕方も特殊で味わいも奥深くなるとか。
そんなの、今から作ろうったって出来ないもんなぁ。素直に凄い。


都市部の、僕らの印象にあるようなな「中国人」に比べると、
田舎の中国人はもっとおおらかで人なつっこく(相手が日本人なのに)、
そのあたりも自分が知ってる中国人とは随分と違うなぁと。
もちろん田舎であればこそだろうけど、なかなか印象的でした。



あ、ちなみにこの本は文庫版も出ていて、正価で言うとそっちの方が安いんだと思いますが、
(マーケットプレイスで買っても文庫版の方が安いですね)
掲載されている写真の魅力を考えると単行本で読んだ方が良いんじゃないかな、と思います。

書かれているネタの3割くらいは「くさいはうまい」など他の書籍とかぶってますが、
この本で掲載されている写真(例えば釜山のエイとか中国の犬食とか)はなかなか衝撃的ですよ。