B001HKAHEGSports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2008年 10/30号 [雑誌]
文藝春秋 2008-10-16

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先日無事購入できたNumber714「野茂英雄のすべて。」を読みました。
(今、画像貼るためにAmazon位ったら中古で3000円超えてたw)

※文中、敬称略です。何となくまだ現役な気がして…
野茂英雄の果たした役割と足跡を、本人の日本のインタビューを交えつつ、
関係者のコメントを丹念に取って作られた1冊。
相変わらず、Numberはきっちり作ってくるなぁ。凄い。


例えば、野茂英雄とマスメディアの関係については、
最初期の頃はメジャーへの挑戦について応援する姿勢だったマスメディアが、
水面下で交渉があったのではないかという憶測から(実際には無かった)野茂を悪者として叩き、
その後メジャーで活躍すると手のひらを返したように絶賛した、とか。

まぁその辺の手の平返しは、その選手の競技成績に関する部分では日常茶飯事なのだけど、
てか競技成績に関する部分でそれがなかったらジャーナリズムにならないんだけど、
それとは関係のない部分で不必要な中傷があったかもしれないなぁと思う。
僕自身、当時どんな感じで見ていたか思い出せないから、
一概にマスコミが悪いとは批判できない(僕も違和感を持っていた気がする)んだけど、
野茂が傷ついただろうなと言うのは想像できます。

プロ野球時代からあんまり愛想良く喋る方が無く冷淡に映っていたのと、
代理人という言葉の響きが良くなかったこと、またその代理人が団野村氏で
いかにもうさんくさそうな感じだった(失礼ですが)ことなども関係してるんだけど。


思い出すのは…そうそう、野茂が活躍してた頃って僕は名古屋で浪人してて、
寮に入って名駅の河合塾に通ってたんだけど、実際問題あんまり真面目に授業には出て無くて、
ただ教官室の前にあったテレビが衛星放送を映してて、
野茂の登板試合の模様が見れたんでそのために行ってました。
授業始まって誰もいなくなってもテレビ見てる俺とかどーよって感じでしたがw

しかしこうしてまとめられるとより一層、
彼の果たした役割というのは大きかったんだなぁと思うなぁ。
それまで文字通り地続きじゃなかった日本のプロ野球とメジャーリーグが、
彼を基点にして繋がっていったわけだからなー…



コラムそれぞれを読んで感じたことは2つ。

1つは、鈴木啓示が凄く可哀想だなぁと。

野茂が海を渡る決意をした原因についてはどうしても触れざるを得ないのだけど、
どの人も総括としては、当時近鉄の監督だった鈴木啓示と反りが合わなくて、
さらに「複数年契約+代理人」という交渉が近鉄との間でまとまらなくて
結果、日本を離れることになった…という書き方をしてます。きっかけは鈴木啓示だったと。

まぁ…しょうがないかなって感じですけどね。。
アクが強すぎる人ですからね…
でも、冊子後半の関係者の証言の中で、鈴木啓示本人が、

「よかれと思ってやったんや」

と語ってるのが何とも寂しげで凄く可哀想になってきてしまった。
そうかー…間違ってはいないとは思いながらも、
上手く行かなかったなという思いは強いんだなぁと。
ちょうどあの頃反動的に、強い練習を繰り返すのはタブーみたいな感じだったから
余計にトレーニング法なんかについては不満があったかもしれないな。


もう1つは野茂の活躍に対する日本国民の感情的な動きというか。

彼が日本人のプライドを代表したというのは色んな人が書いてるんだけど、
中でもロバート・ホワイティングさんが書かれていた文章が一番辛辣で、かつ、
アメリカと日本の状況の差を色んな分野を横断させながら書いてあって印象的だった。

ロバート・ホワイティングさんは日本在住のアメリカ人で、
スポーツを中心として日米の文化について書かれているジャーナリスト。
一番有名なのは日本のアンダーワールドを描いた「東京アンダーワールド」だけど、
プロ野球を描いた「和をもって日本となす」もなかなかの良作という話。

何か読んでみようかなぁ。


404247103X東京アンダーワールド (角川文庫)
Robert Whiting 松井 みどり
角川書店 2002-04

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404791181X和をもって日本となす
玉木 正之
角川書店 1990-04

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野茂は今後も、野茂ベースボールクラブを中心に、
野球に携わっていくらしい。
日本の野球を変えてくれという思いと、
今のあまりにダメなプロ野球には関わらないでくれ(プロ野球だけが野球ではないし…)
両方があるんだよな…


それでもやっぱり、彼の活動を基点にして、何かが変わればいいなと思う。