4101250227ラッシュライフ (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社 2005-04

by G-Tools
伊坂幸太郎が注目されるきっかけとなった第二作『ラッシュライフ』。

本屋大賞を受賞した『ゴールデンスランバー』と同じように、
音楽を意識したタイトルの下、時間軸を巧く操って語られるストーリー。
5組の登場人物が時間軸を前後に移動しながら、関連を作りながら語られていくさまは、
淡々としているのにスピード感がある…というか。

イメージとしてエッシャーのだまし絵が表紙にあしらってあるのだけど、
うん、本当にそんな感じ。
あの人がこう行動したのは、この人のこの行動がきっかけで、
この人がこう考えたのは、その人のこの行動がきっかけで…と、延々と続く連鎖。

メモを取って前後関係をきちんと把握しないと話の前後関係はクリアにならないけれど、
僕は敢えてメモを取るのは止めて、目の前に来た話を読んでいくようにしてみました。
てか、初見からメモなんか取るのはもったいなすぎる。
どうせのめり込んでしまって、よく分からなくなる/気にしなくなるのだから、
(作中の時間軸も、読んでいる自分の時間軸も)そのまま読んでしまえ、と。



“ミステリ”要素を多分に含んでいることもあって、
作品のストーリー自体は全く穏やかなものではないけれども。

豊田の犬に向ける視線の温かさ…優しさだけじゃなく強さや信じることやその他、
黒澤の人生における様々な価値観や古い友人に対する接し方。

なんだろうな…よくよく考えてみれば『ゴールデンスランバー』とも共通しているのだけど、
システムや権力、傲慢や妬みなどに対して冷淡な態度を取る一方で、
そういうものを作っている人間そのものに対しては愛情を感じる。
あー黒澤みたいな、シニカルでありつつウィットもある人は好きだなぁ。
自分もそう言う人間になりたいと思うし(泥棒じゃなくてね)。


時間軸が前後していることなど、構成の仕方が気になる人には向かないと思うので、
その面白さに反して誰にでもオススメできるような本ではないかなと思うけど、
伊坂幸太郎の人間観察や心証の描写の原点があるような気もする。
構成や素材含めて僕は好きな小説ですね。元々SFとミステリ好きってのもあるだろうけど。



…てか、続きが気になるなぁ…無いけど。

ただ後書きを読む限り、伊坂幸太郎の一部の小説は、
いわゆる『スターシステム』的な書かれ方がされていて、
この小説の登場人物や舞台が、後の小説でも出てくるらしい。

と言うことは間接的には、続きが読めるということなのかな?

他の作品も既に購入済なので、ぼちぼちと読んでいきたいと思います。




■ おまけ

時間軸をまとめている人が、やはりいました(笑)
あくまで“読後のお楽しみ”ということでこちらをどうぞ。

『ラッシュライフ』 解体。(ネタバレ記事です。読了後にお読み下さい!!)|ひらひら

なるほどこうなっていたのか…ん?黒澤さん?