で、なにができるの?

その昔、メトロで、若い男、若い女をたくさん引き連れた、 女性(おばさん)に出会う機会があった。 女性はどうやら美容室の経営者で、 若い男女はそこの従業員のようだったが、 彼女が強い権力を持ち、容姿や性格を含めて全て、 彼女の好みで統一しているのは明らかだった。 どうして彼女と会話をすることになったかは記憶が曖昧だが、 彼女は僕を見て、僕をそばに呼び、話を始めた。 僕は少し酔っぱらった頭を抱えたまま、 なんでこんなおばさんに自己紹介を…と思いつつ、 簡単にプロフィールを話す。 そして、一通り話が終わった後、彼女は、こう言ったのだ。 『で、なにができるの?』 学生にとって、こんな酷な言葉はない。 ほぼ若いだけが取り柄なのだし、手に職があるわけでもない、 実際、街角でいきなりそういわれても言葉に窮する人は大勢いるだろう、 社会人だって怪しいものだ、 しかし彼女は、僕に対してそんな言葉を投げかけてきたのだ。 ただでさえアルコールが入ってる上に、生来のアピール下手。 そもそも、アピールしたかったわけでもない、 そっちから見ず知らずの男を呼んで置いて、それはないだろう… 当然のように言葉に詰まる僕。 その後の展開はすっかり忘れてしまったが、 恐らく嫌気がさして、フロアのどこか離れた場所へ移動したのだろうと思う。 今でも、そんな言葉をいきなり投げかけられたら、 言葉に窮するだろうし、不快になるに違いない。 ただ…その言葉の持つ意味は、昔よりよく分かるような気がする。 君は何が出来るの? ぶしつけに聞かないだけであって、結局、世の中はそういうことなのだ。 僕らはそれを示さなければならないし、 それに応じた評価を得る。 ま、他人の評価なんて別にどうでもいいけどね。 ただ、自分による評価だけは絶対に無視できない。

続きを読む

darkness

久々に、眠りたくない…いや眠りたくないわけじゃないんだけど、 眠れる気がしない、眠気が降りてこない。疲れてはいるんだけど。 こうして、部屋の明かりを消して、暗闇の中で煙草を吸っていると、 なぜだか、前の彼女のことを思い出してた。 具体的に何かを思いだしてたわけじゃないけど、 何となく、こういう状況がよくあったような気がして、 彼女が、ベッドで寝てて、僕だけ起きて、何かしていて。 寝ぼけて声掛けられて、『いるよ』と返したり。 なんだか、お父さんと娘、のような。 正直に言えば、今ここにそういうことを書けていることに、少々驚いている。 自分が感傷で一杯一杯の時には、彼女の想い出、みたいな文章もたくさん書いたけど、 結局、なんだろう、ただの泣き言、の域を出ていなかった。 なんでこうなっちゃったんだろう? なんで隣にいないんだろう?みたいな。 しかしもう、過去の話だし、 この文章を公開したところで、誰も、不快にはならないと思う、 『まだ、忘れられないのね、』 なんて深読みされると困るけど、 昔いた恋人が今はいない、という状況を、受け入れてしまっていて、 好きとか嫌いとかではないのだ、悲しくはないし、恐らく、 本当に寂しくも、ない。 こういうことを思い出してると、 背にしているベッドに誰かいるような気がして振り向いてしまうけど、 そこは、さっきまで寝ようとしていた自分の跡が残っているだけだし、 この部屋には、彼女の香りはない。 そのことに対して、なぜだか、微笑んでる自分がいる。 好きだった女の子が転校して、僕の初恋が終わった日、 最後の挨拶にみんなに配っていた消しゴムを受け取った僕は 気の利いたこと一つも言えず、その消しゴムもどこにいったのやらわからず、 数日後、黒板に貼り出された連絡先も、恥ずかしくて見ることもメモることも出来ず。 数年前、同窓会でその子のことが好きだったんだよ、と言って 連絡を取ってくれた友達のおかげで、何度かメールはしたけど、 埼玉に住んでることがわかっただけで、それきり。 そんなもんだよな…今でも、普通に、可愛いと思うけど。結婚しててもね。太ってても。 海へ、行ってきたせいかもしれない。 京都に来て、もう9年、海の見える場所へ住みたい、その想いは変わることがない。 僕にとって海は、大きな水たまり、なだけではなくて、 ある意味で、自分の想いを溶かした、自分の一部のようなもの、 海が怖かった3歳の僕も、釣りに明け暮れた少年の頃も、寒かった夏の北海道も、 高校時代の打ち上げも、多くの友達との旅も、 結局は、そこに、溶けて、在るような、そんな気分になる。 25日の朝、一人で宿を抜け出して、海辺を散歩していた。 浜辺には、朝からサーフィンの練習をする少年3人と、カップルと、犬と、一組の家族連れとがいた。 防波堤を上がったところから、僕はそれを眺めている。 それらの風景、それぞれが、僕の中には、あった。 海に溶け込んで、僕はそれを、感じている。 彼女からは、もうほとんど連絡はないけど、 きっと、彼女なりに、元気に過ごしていることだと思う。 僕と彼女とは、もう、海を通してしか繋がっていないし、 その彼女は、もう彼女ではない。 昼、海水浴場で食べたところてんは、本当に美味しかった。 毎年食べていた、下田の向こうの、 小さな茶屋のところてんに、似ていた。

続きを読む

安田さん、おめでとうございます!

『onちゃん』でどうでしょうバカにはおなじみの TEAM-NACS安田顕さんにお嬢さんが産まれたそうで。 おめでとうございます! やっぱりね…いや全然知り合いじゃないけども、 そういう声を聞くとね、こっちまで嬉しくなっちゃうよ。 それで、あぁ、いいなぁ、と。 前から言ってるとおり、娘欲しいんですよね。ホントに。 娘は父親似、自分の顔が娘でいいのかどうなのかわかんないけど なんとなく、そういうのは昔からあったなぁ… 『子供なんていらん!』と宣言する友達も何人かいるけど やっぱり、本当に、幸せだろうなぁ、と思うんだよね。 苦労もあるけどね、 『いる』ということだけが幸せを表す、なんて、他にはないよ。 そんなわけで、OFFICE CUEの書き込みを読んで かなり心温まったのでした。 そういえば、報告の書き込みの中で安田さんが、

最近、周りから明るくなったねと言われてましたが、 実はこのひと月程、イライラしたり、塞ぎ込みがちだったり、体調不良が続いたりしていました。 それで逆に明るくしていたといいますか・・。
と言っていて。 事情は全く違うけど、なんとなく、そんな状況は分かるような気がした。 明るいのと、明るくしてるのは違うもんね… またそのうち、晴れるときは来るのだろう、と、思えるけど。 あぁ、結局自分の話だ。 安田さん、おめでとう!

続きを読む

酒まんじゅう

職場に着くと、誰かのおみやげが置いてあった。 酒まんじゅう。 なんか妙に懐かしくなってしまった。 子供の頃、うちによく遊びに来るおじさんで、 来るとき、必ず酒まんじゅうをおみやげに買ってきてくれるおじさんがいた。 30cm四方くらいの箱にぎっしり。 今よりもずっと甘い物好きだった僕は、 おじさんが来ると、嬉しくて、その酒まんじゅうを頬張っていた。 おじさんには申し訳ないのだけど、 楽しみなのはおじさんではなくて、酒まんじゅうだった… そのせいか、おじさんの顔も名前も全く思い出せない。 薄皮に包まれたあんこの柔らかい甘さ… あの美味しさは忘れないなぁ… おじさん、今何してるんだろう?まだ生きてるのかなぁ…

続きを読む

NATURAL STYLE

年取った瞬間といえば… イベント行くとき、やるのも遊ぶのもあんまり気負わなくなったかな… 緊張はあるけど、ゆるくなったというか。 まず、状況を楽しまないと始まらないし、そうできないなら、やらない。 昔はやっぱり、盛り上げなきゃとか、こうでなきゃとかあったもんなぁ。 こだわりがなくなったわけじゃなくてね。 ある程度、柔軟にやるというか。 曲がったものを真っ直ぐにして素材にするんじゃなく、 曲がったもののまま素材にしよう、ってことかな。 素材に手を加えるのは、『失敗しないように』という 結果からの引き算だし、 結果は決して想定以上にはならないと思うし… そういう俺の姿勢が、 今度のTOOEARLYやるにあたってどうなるか、 どうとられるかはわからないけど。 できることをするだけなんだよね、結局。 11月。TOO EARLY 2004。 楽しんで、やります。

続きを読む

vs Jordan

しんどかった。 なにひとつ良いところはなかったし、 相変わらずダメなFW。 ヨルダンの素晴らしいパフォーマンス、 あきらかにヨルダンよりの審判、日本に否定的な中国の観客… しかし、しかし、だ。 勝った。 この勝利はでかい。 もうね、泣きそうでした、最後のキッカーと対峙する、 川口能活の表情、 これだから、サッカーはわからない、 だからこそ、いいんだ。

続きを読む

ごまの葉醤油漬け

昨日みづきにもらった『ごまの葉醤油漬け』を食す。 見た感じ、普通に葉が漬けてあるだけだが…む! これは…醤油と、唐辛子が絶妙。そしてにんにく。 あぁぁ…今日は休肝日(予定)なのでビールは無理だが ご飯炊かなきゃ、ご飯ご飯…はっ!! コメ、キレマシタ。 …泣。 明日買ってこよう…

続きを読む

分業

SE、WEBデザイナー、プログラマー。 WEBサイトを作る上で、商業的には分業が既に常識になっているわけだけど 小さなレコード会社のWEBデザイナーと言う立場上、 それら全てをこなす必要がある。 企画の外枠をデザインし、ヴィジュアル的なデザインをし、 処理プログラムも書く。 ここまで約1年半、それをこなしてきたのだけど、 信頼を積み重ねるのも程々に…そろそろ、しんどい。 3つの役割のうちのどれかをこなしている間は、 当然他の2つはできない。できないが、 プロジェクト(というか、段階によってはアイディアであったり、いろいろだけど)は 並行して進めるし、異なる種類の作業でも平気で督促が来る。 頭をパーティション分けして、進めているけど、 複雑さによっては全力で当たらざるを得ないわけで、 それをいくつも抱えると、ほんとに、海の水をスプーンで…の心境。 なにはともあれ、他に類する人を雇う様子はないし… できれば、3つのうちのどれか、出来れば絵が描ける人、 WEBデザイナーがひとり下にいると、すごく楽なんだけど。 まぁ…もうしばらくは全部やるしかないかなぁ… むしろそういう会社に行った方がいいような気もしないでもない(苦笑)

続きを読む

tension

社交的な俺と、鬱ぎ込む俺。 やっぱり、夏ってそうなるのかな。 嫌なことが続けて起こる中で、 それを拒否し続けて、何とかバランス保とうと。 誰にも理解されないなんて、当たり前。 言わないもの。 1週間とか、1ヶ月とか遅れて、ここに書かれるだけ。 負けたくないなぁ… 去年の夏の痛みは、結局、次の夏が顔を出すまで 引きずっちまったからなぁ… みんなを誘って海に行った割に 独りだけでいたときが一番、ようやく来た、と思ってたなんて。 言えないよな。 しなくていい、気の使い方をしてたかもな。 もう一度、海に行かないか。

続きを読む

錯視。。。

う、凄い…FLASHか?aniGIFか…?と思いきや、 科学的な理論に基づいてデザインされた『絵』でありました… やばいなぁ…凄いなぁ…じっくり遊んでしまった。 しかし次に思ったのは、 『あ、これ利用したら、負荷掛けずに、サイトで動きを表現できるなぁ…』 という、WEBデザイナーな発想だったけど、 よくよく考えてみれば、偶然じゃなくて必然によって作られたこのデザインを きちんと意図通りにデザインできるまでに必要な学習を考えると、 全くお手軽じゃない(笑) 色彩の錯視とか、デザイン的感覚で朧気に分かってはいても こうして名前付けられて一覧にされると、妙に納得。 物理的には直線であったり、正方形であったりしても、 『目に見えるモノを基準とする』ような、体系の上では、 十分に、うねってるし、曲がってるし、動いてるし、点滅してる… 目に見えるものって意外とぞんざいに扱いがちだけど、 それも、ひとつの真実かもな、と。 でも、こういう人の研究って日々、何をやってるんだろうなぁ… まぁとにかく、体験してください。 ▼ 北岡明佳の錯視のページ (『面白いサイトを見つけたよ。』より引用)

続きを読む