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非正規雇用者の給料が不当に安いということを繰り返し書いている僕がこんなことを書くのは矛盾しているかも知れませんが、僕は、最低賃金を上げ続けることには反対です。特に共産党系の活動家の方がよく言われている「最低賃金1,500円の実現」など絵空事であり、大企業はともかく中小企業、個人経営の事業者の事情をまったく考慮しない愚かな方針だと思っています。同時に法人税をゼロにするとか、賃金の何割かを助成するとかするなら話は別ですけど、中小企業にとって、例えば今時給1,000円で働いてもらっている従業員の給与を時給1,500円にすることは物理的に不可能です。

月25日営業していて1日のうち6時間アルバイトを1人雇って営業している店の場合、1ヶ月にアルバイトに支払う給与は15万円です。一般的に売上高に対する人件費比率は小売業で25%くらい、飲食業で35%くらいなので、この店が飲食店だとすると、この店の月の売上は45万程度であると推測出来ます(経営者は人件費ゼロですが)。1日の売上は忙しくて3万程度でしょうか。ここで時給を1,500円に上げるとどうなるか?月の人件費は22万5千円に上がります。これだけの人件費を支払うには、月65万程度の売上が必要ですが20万売上を増やすのは至難の業です。忙しくても3万しかなかった売上を、平日3万程度にまで増やさないと人件費が出ません。結果的にどうなるかというと、毎日来てもらっていたバイトを週3日にするとか、夜だけにするとか、4人いたアルバイトを半分にするとかになります。つまり人件費の総額自体を変えずに営業しようとするんですね。時給は上がっているので働く時間が減るだけだったらアルバイトにとっては収入アップのチャンス(空いた時間で他に仕事をすれば良い)ですが、アルバイトの数を減らすってなると、減らされたアルバイトは収入がゼロになりますし、残ったアルバイトは収入は増えるかも知れないけど仕事がきつくなります。

結局アルバイトを雇用すること自体のハードルが上がることになって、非正規雇用の職が減ったり、採算性の低い(でも人手が無いと出来ない)事業が立ちゆかなくなったりするわけです。これって社会に良い影響があるんでしょうか?もちろん「採算性の低い事業が淘汰されて採算性の高い事業が残り雇用を作ってくれる」というような新自由主義的な考え方もあるかもしれないけれど、その新自由主義的な未来が平等な社会を目指す共産主義的な発想の先に想定されていたかというと、どうなんでしょうね。「雇ったら最後、人間的な暮らしをさせなさい」というのは素晴らしいポリシーであるとは思いますし、不安定な立場からすると有り難いことではありますが、結果、「雇わない」という方針に向かうのは容易に想像出来るわけで、賛成出来ないんですよね。



で、その実験結果がこちらになります。



(朝鮮日報日本語版) 【社説】韓国所得下位800万世帯、「所得37%減」の衝撃(朝鮮日報日本語版) - Yahoo!ニュース

2018年第4四半期(10-12月)の韓国の所得下位20%の世帯所得が前年同期を約18%下回り、2003年の統計開始以来で最大の減少幅を記録した。税金による公的補助金を除けば、約30%も落ち込んだことになる。最低賃金引き上げと関係が深い勤労所得は37%減少した。目を疑いたくなるほど衝撃的な統計だ。その上の階層に当たる所得下位20-40%の所得も5%減少し、全国の世帯の40%(800万世帯)が1年前よりも貧しくなった。一方、所得上位20%の所得は10%増加した。所得上位・下位の格差は第4四半期としては過去最悪となった。所得主導で成長すると主張する政権下で、貧しい人はさらに貧しくなり、二極化が最悪の状況となるという逆説が起きている。

(中略)

 政策失敗が主因であることは否定できない。最低賃金引き上げなど所得主導成長政策が推進されて以降、低所得層の雇用減少、自営業の景気悪化が本格化した。最低賃金が2年間で29%上昇し、卸小売、飲食・宿泊、施設管理など最低賃金に敏感な3業種で1年間に29万人の雇用が失われた。生活苦に追われた庶民が保険を解約したことで、保険解約返戻金は年間で2兆ウォン(約2000億円)近く増えた。高金利の貸金業者に手を出した人は412万人を超えた。自営業者の金融負債は文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後に14%増えた。賃金不払いが1年間で19%増えたとする統計も発表された。




韓国社会、韓国経済の苦境を笑う気は全くありません。政治的な関係がどうあれ、隣国の健康は我が国の健康であり、それ以上に純粋に韓国の人たちが心配です。また大統領が罷免される、辞職後酷い目に遭わされるのだろうか。何年か掛けてこの衝撃を韓国が吸収出来たならそれはとても良いことだし、日本にとっても勉強になることなんだけど、でもどうだろう。

暴動だとかクーデターだとか、何か大きな問題に繋がらないうちに状況が改善することを祈ります。
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