​企業のメンタルケアへの理解ってどうなんだろ

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ニュースやコラムを読んでいて、最近は日本でも企業のメンタルヘルスに対する理解も進んでいて、例えば社員に何らかの問題が起きた場合には、治療や復帰に対して前向きで柔軟に対応するようになってきている……と実感していたのだけれど、でもそういうのはあくまで企業や経営者が進歩的な考え方をしている、もしくは理解がある場合であって、そういうことを考えたことがなく、そういうものを単純に「コスト」としてしか捉えない人も少なくないんだなあと思う機会が。



少し前、30歳で既婚、子供が産まれたばかりという人が整備士見習いのアルバイトで入って来ました。とても真面目な人で、仕事覚えて資格を取って将来は社員になりたいみたいな感じでした。僕みたいに空いた時間にお金を稼ぎたいみたいな人間とは違います。

ただなにぶん経験がないので先輩社員に厳しくダメ出しされる毎日でした。大変そうだけど、お客様の安全に関わる部分だからきっちり仕事しなければならないのは仕方ないし、少しずつ仕事を覚えていけばだんだん良くなるよと影ながら応援していたのだけど、ある日を境に来なくなり、メールで連絡が。

「病院で鬱と診断されたのでしばらく休職したい」

先輩社員は既に退職が決まっており、診断書で示された休職期間はとりあえずその先輩社員が退職するまで休職をということでした。僕自身、メンタルをやられて前職を辞めているため、それ全体に対してよく解ったのだけど、その報告と診断書を受け取った会社のリアクションは僕とは違っていました。

まず、勝手に休んでメールで報告というのが失礼だと。それからその程度で鬱になるなんて弱い。始めからやる気が無かったに違いない。勝手に休んで置いて、先輩社員が退職したら来ますなんて都合が良すぎる。休職なんて受け入れられないし、どうせまた他の理由でも再発するんだろうし、そんな人は辞めていただいて結構。


ほんとに21世紀の会社組織かと戦慄しましたが、両者納得して退職が決まり、僕が口を挟むことでもないのでそのまま終了。

たぶん、企業側、労働者側、どちら向けのメンタルケア資料を読んでもそういう対応はありえないし、常に人手不足の会社の状況、10人もいない社員の1人のメンタルさえ管理出来ないマネージメントの反省などを考えると、ある程度はケアしてあげるべきだと思うんですよね。診断書もあるんだし。

基本的に業務上の事情が原因の病気で休職する場合、企業側の都合で勝手に解雇することは出来ません。でも、鬱で休職と復職を繰り返す社員を解雇したいがどうすれば良いだろうかという悩みは、企業側にはあると思います。そして、解雇するためのライン、どう確認しどう手続を踏んだら不当解雇にならないか?というのは、割とセンシティブな問題であり、慎重に対処しないといけない問題です。これは、わかっている経営者であれば意識していることだと思うんですが……

でも同時に、零細企業の認識なんてこんなもんだろうなあとも思います。それで訴えでも起こされれば考え方を変えるんでしょうけど、そうでもない限りこんなもんかなと。もう少し、裾野の下の方まで、こういう意識が浸透すれば良いのになあ。


社長も専務ももう忘れてるだろうけど、個人的にものすごくモヤモヤが残るできごとでした。そんなことやってる限り、この会社に未来はねえなあ、社長が儲けて家族を養うのには支障はないだろうけど、こんなんで会社は大きくなれるのかしら?そう思ったけれど、いざ自分が人を使う立場になったら、そんなこと考えられるかなあ……メンタルのきつさは知ってるけれど、自信ないな……。