「砲弾を発見した」という大人の言い回し

何かを発見して驚く人たちのイラスト
そんなものどこで見つけるんだよと思ってたんですが






最近続くヨーロッパ諸国による砲弾の「発見」

チェコ国防省のヤン・イレシュ国防政策・戦略局長が欧米以外の国々でウクライナ向けに調達可能な砲弾80万発(のちに100万発に増えた)の所在を確認したと発表してから7週間後、エストニアのハンノ・ペフクル国防相は、ウクライナ向けにさらに100万発の砲弾やロケット弾を探し出したことを明らかにした。

地元紙ポスティメースのインタビューで語った。ペフクルはこれらの砲弾を購入するのに必要な22億ドル(約3300億円)ほどの資金について、チェコが見つけた砲弾の購入資金13億ドル(約2000億円)を提供したのと同じ国々から募りたい考えを示している。

ペフクルは、財源が確保できた場合、エストニアのイニシアチブによる100万発とチェコの購入分、それに英国が独自に進めているとされる取り組みで集められる分を合計すると、ウクライナに今年「200万〜250万発」の砲弾を送ることができそうだとも述べている。

ウクライナ向け砲弾、エストニアが新たに100万発発見 年内にロシア凌駕も | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)


軍事物資、特に砲弾の欠乏が深刻なウクライナに対し砲弾を供給出来ることは、対ロシアという意味で喜ばしいことなのですけど、こう連日「発見」されると「その砲弾は誰がどこでどういう状態で保管していたものなの?どうやって見つけたの?」っていう疑問が湧いてきます。砲弾ってその辺にほいほいと100万発も落ちてるもんなの?



「発見した」はつまり大人の言い回し

記事の続きにはこうあります。


エストニアが新たに砲弾やロケット弾の在庫を確認した国がどこなのかは、ペフクルは公表していない。「(調達は)主に欧州以外の国々からになりますが、欧州からの分もあります。残念ながら、具体的な国名を挙げることはできません。多くの場合、売却側の国は売却の事実を知られたくないのです」

ペフクルは、発見した弾薬には北大西洋条約機構(NATO)規格の155mm弾のほか、旧ソ連規格の152mm弾やBM-21グラート自走多連装ロケット砲用122mmロケット弾が含まれると説明している。これは、対象に東欧やバルカン半島の国が含まれることを示唆する。アフリカの国も候補かもしれない。チェコのイニシアチブでは、調達先に韓国や南アフリカ、トルコが含まれると報じられている。

ウクライナ向け砲弾、エストニアが新たに100万発発見 年内にロシア凌駕も | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)


若干回りくどい書かれ方をしていますがつまりは、どこかの国との極秘の売却交渉がまとまったことを「発見」って言ってる んですね。


そのまま「アフリカの○○国から砲弾100万発を購入」とかいうことを明らかにしてしまうと、もちろんロシアは面白くないでしょうし、売却した側としても反ロシアを明確にしてしまう。「発見」と表現することで砲弾を売却するのは構わないけど「大人の事情」で反ロシアの立場に立つのは困るという国からも砲弾を調達できるという、誰が考えたのか知らないけど魔法の表現ですよね。「発見」。


もし全部を明らかにしてしまうと、場合によっては世界大戦に発展してしまうわけで ―― 差し詰めロシア、イラン、北朝鮮の枢軸国対、アメリカ・ヨーロッパ連合的な ―― そういう意味で言うと、ものすごい微妙なラインの上に載った話ですよねって感じがします。考えようによっては世界大戦前夜ですねえ。こえー。



「平和のため戦争終結を優先しロシアの軍事侵攻を受け入れよ」という論調を見掛けることもありますが、個人的には、平和のためは同意できてもそもそもの暴力的手段を肯定するのは無理です。暴力的手段で国境を書き換えたことを受け入れることが平和なのか?さすがに納得できません。

じゃあこのまま戦争が続いても良いのかといわれるとそれも言葉に困りますけど、なんとか東部2州だけでも回復するところまで押し戻せないものかとは思っています。難しそうですし、犠牲も大きくなってしまいそうで悩ましいのですが。


僕に出来るのは、World Central Kitchenを援助することぐらいかな、、