飛ばないバットに意味を見いだせるのは高校野球ならでは

野球のイラスト「ホームランを打ったバッター」
プロの興行だったら批判の的ですけどね






今年から「飛ばないバット」になりました

ことし開場から100周年を迎える甲子園球場。センバツ高校野球も第1回大会からことしで100年を迎えます。

この節目の年に導入されるのが新基準の金属バット。ピッチャーをけがから守ることを主な目的に、反発力を抑えようと23年ぶりに基準が見直されました。

“飛ばない”バットで高校野球が変わる!? | NHK | センバツ 高校野球


プロの興行だとちょっとボールの反発が抑えられた(基準範囲の下寄りになった)だけで「夢が失われる」「盛り上がりに欠ける」などと批判の的になるところですが、高校野球だとそれが「ピッチャーを守る」となるあたり面白いなあと思います。いや、全然正解だと思いますけど、高校野球は新聞社にとっては興行でしょうが日本高校野球連盟としては興行より教育なんだよなっていう。


どういった点でピッチャーを守ることになるかというと、こういう話でした。


一方で、課題となってきたのが、ピッチャーのけがの防止や負担軽減です。

近年は、バットの性能が上がったこともあり、バッターの打球が時速180キロ、つまりピッチャーが投げるボールよりも速いスピードで飛んでくる場合もあります。

2018年の夏の全国高校野球では、打球がピッチャーの顔に直撃して骨折する事故も起きました。

高野連では、反発力を抑えることでこうした事故を防ぐとともに、打者有利な現状を変えることによってピッチャーの球数が減るなど負担軽減にもつながると期待しています。

“飛ばない”バットで高校野球が変わる!? | NHK | センバツ 高校野球


ピッチャーはどうしても少ない人数に負担が集中しがちですし、いくら必要でもどの学校でも複数のエースをというわけにはなかなかいかない。そんなの一部の超強豪校だけですよね。そう考えると仮にホームラン数が減ったとしても、ピッチャーを保護していった方が戦力の平均化に繋がっていくし、ホームランとは違う意味での盛り上がりを作ることにもなるのかなと。



実際やってみてどうだった?

NHKの追跡記事によると、思ったより影響は大きくないとか。


二塁打以上の『長打』は、おととし(22年)と比べると大きく減りましたが、去年とはほとんど変わっていませんでした。

高校野球は毎年、出場校や選手の大半が入れ替わるために単純な比較はできないものの、この数字を見るかぎりでは、新基準のバットによる影響は限定的なものとみられます

“飛ばない”バットと呼ばれて!? センバツ高校野球の金属バット 実際、どうなん… | NHK | センバツ 高校野球


「芯に当たらないと飛ばない」という特性を聞くと木製バットに近いのかなと思うんですけど、それでいて折れにくい(経済的負担が比較的小さくて済む)金属バットということなら、それはバッターの技術向上に繋がるんじゃないかなとも思います。高卒でプロ野球に入って打球が飛ばなくなる選手って一定数いるからなあ。

この飛ばない金属バットの扱い方をつかむ選手が増えていって、依然と遜色なくホームランが出るようになればそれは野球そのもののレベルアップに繋がるだろうし、そういう意味でちょっと楽しみです。


まあ、もしみんなが打てるようになったら「打球スピードを抑えて事故を防ぐ」っていう目的は果たせないような気もしますが……笑