レストランの「マウンティング気質」が合わない(再編集公開版)

サル山のボスのイラスト
もしかすると人間性の問題かも知れないし環境の問題かも知れないけれど、普段はすごく優しくていい人たちが、仕事のことや人の作業のことになると途端にマウンティングを始めて、下の人はさらに下を探すみたいな感じになるのが2ヶ月経っていまだに慣れなくてもにょる。なんだかなあ。


ビール醸造所に併設された某イタリアンレストランで働き始めてちょうど2ヶ月ぐらい経ったときの雑感。今読むといいたいことが過不足なく書けてるよなと思うんですけど、当時は何か気にすることがあったのかボツにしてました。特に問題なさそうなので誤字など多少修正、若干加筆して公開します(初出:2020年1月25日)。






マウンティングと指導は違う。念のため。

仕事が出来る人が出来ない人に対して苦言を呈するというのは、言い方は別にして、まだ理解出来ます。実際、驚くほど仕事出来ない人というのは存在するし、そういう人が義務教育後に飲食入って15年以上この業界にいて結婚までしてるとかもう完全にこれ奇跡だなと思うんだけど、そういう人が思いっきりミス連発したときに「お前いつまでそんなんなんだよ」「こうすれば良いんだっていつも言ってるだろ」的なことを言うのはまあわかる。言っても身にならないとは思いながらも、周りのこともあるし言わないといけない。


問題はそこに含まれている感情の部分で、単純にチームとして効率が上がらないから指導するということなら良いのだけど、そうではなく、お前が出来ないことを俺は出来るとか、お前は知らないだろうけどこうなんだぜとか、見て見ろ俺はこんなに上手く出来るんだぜとか、そういう気持ちがどうしても混じる。言われた方も単純に修正点を指摘してもらったという感情だけでなく、マウンティングされたという感情が残る。そうするとねえ、自分より下を探すんですよね。自分が出来ることが出来ない人や、自分が知ってることを知らない人を探してそういう人にドヤり始めるわけです。自分が言われていることを、自分の下の人間に同じことを言い始める。


これが飲食店のキッチンでよく見掛ける質の低いマウンティング。



謙虚にしている人間は格好の標的

他業種から転職して6年目の自分は、今でも新人のつもりで「常に謙虚」をモットーに働いてます。そうすると「下の人間」に目を付けられやすいんですよね。僕が実力がある人に対して(例え自分が知っていることであっても)何かを聞いたり習ったりしながら作業をしているのを見て、「あ、こいつ何も出来ないな」「何も知らないな」と思うんでしょうね、実力がある人がいなくなった後、寄ってきてしゃしゃり出てくるんですよね。あれはこうやるといいんですよ、とか、僕はこういうとこにこだわってるんですよ、とか。


誰でも教えてくれるのは有り難いから、「あそうなんですね」とか「なるほど」とか応じてるとすごく満足した顔で自分のポジションに戻っていくわけですが、正直言うとま、聞いてないよね。正しい知識は実力がある人に聞けば済む話で、実力の怪しい人に合ってるかどうかわからないことを聞く必要がない。


そんでね、不思議なんだけど実力のある人には不思議と目を付けられないんですよね。スタイルは謙虚にしていても、動き見てれば何が出来て何が出来ないかはわかるわけですよ。割と色んなことを要領よくこなせて、仕事も雑じゃないってわかれば、本来マウンティングの対象にならないんです。実力がない人間って言うのは、ポジションとか在籍年数とかでしか人を判断出来ないんで、安易にドヤ顔しがち。僕みたいな「下の人間」は「上の人間」のそういうところも見てるんだって気付いて欲しい。あんた、僕にマウンティングしてる余裕なくない?



町内会かよっていうおばさんのマウンティング

先日もパートのおばさん(40代)が寄ってきて

スズキさん知ってます?まかないどうぞって誰かが余ってた食材で何か作って出してくれたとき、食べる順番ってのが決まってるんですよ。最初に料理長、次にセカンド、それから社員の皆さん。誰も言わないけどそういうのしれっと決まってるんで


いやしらねーし、「スズキさんも食べて下さい」って言われるまで手を出さないから俺には関係ないし、そもそも決まってるならちゃんと指導すりゃ良いのになんでそんなしょうもないこと暗黙の了解にしてんの、んでそれを社員じゃなくおばさんが俺にしたり顔で言ってくんのくそめんどくせーな、と思って思わず

うわ、めんどくせ……


と口に出してしまったら、どうやらルールを守ることが面倒くさいといったと思ったのか「でも、社員の人が作ってくれたものだから」とかなんとかごちゃごちゃ言ってたけどまあ知らんよなあ。めんどくせーのはそこじゃねーよ。今度社員の人に直接確認しとこ。



合わない人には寄らないに限ります。

まあどんな職場にも合わない人ってのはいます。経験上でしかないですけど、例えば40代以上の女性と一緒に働くのはしんどいことが多いですね。もちろん例外はあって、以前いたフードコートでも気持ち良く働ける女性は何人かいたけど、まあ8割以上の確率でしんどい。マウンティングの猿山に取り込もうとしてくるし、入らないなら入らないで猿山の愚痴を延々語られたりする。


おばさん vs おばさん

いまいるキッチンも同じで、長らく君臨していたらしいおばさんが辞めた後、後任の座を2人のおばさんがやんわり占めてて、キャリアある50代と40代どっちが上になるのか、今は仲が良いけど将来はわからんよね、2人で協調してバイトの女の子には優しく接する一方で、仕事が競合する新入社員の女の子にきつく当たったり、パートの女の子を避けたりまあ厄介。ちょっと世間話をすると面白いこともあるんだけど、総合的に考えて接点を作らないのがベストだなあと僕の中の警報が鳴り響いてます。おばさんはやばい。


他の男性社員、バイトはほとんどいい人です。マウンティング気質は多少あるものの人間性はどの人も素晴らしい、そして僕が年上であることと、謙虚であること、仕事の出来がそこそこ良いということとで、今のところは良好な関係です。出来れば今の状態を崩さずに、つまり僕が調子に乗らずに仕事が出来る人をきちんとリスペクトしていけば、最終的には僕のためにもなるんだろうと思ってます。


マウンティングには近寄らない

同時に誰か仕事出来ない人を対象にしたマウンティングが始まった場合、僕はそっとその場を離れます。対象が僕じゃないときであっても、その対象の人がほんとに仕事できなかったとしても、好きじゃないんですよ。だから僕は関与しない。僕は猿山に入らないし、猿山に入らないと出世しないといわれても出世する必要がないから別に良いと答える。そう、キッチンでキャリアを築きたいと全く思ってないところが僕の強み。君らのカルチャーなんか知ったこっちゃないのよね。好きにすれば良いよ。



きっとレストラン業界の中で上から下に綿々と受け継がれてきたものなんでしょうね。キッチンの世界も師弟関係が入り乱れてるからなあ。そんなのクソくだらねえと僕は思いますけど、でも手に職系の仕事ってそういうのなりがちですよね。人格者もたくさんいるんだけどなあ。