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アメリカの映画や小説には、小切手で決済する場面がよく登場する。しかし日本では、小切手で決済をしたことがある人はかなり限られている。それもそのはず、実は小切手全体の4分の3がアメリカで切られているからだ。カード決済を生み出し、暗号資産を生み出したアメリカで、今も古風な小切手が使われているのはなぜか。決済オタクであり、SWIFT(国際銀行間通信協会)の元CEOでもあるゴットフリート・レイブラントの新刊『教養としての決済』(ナターシャ・デ・テランとの共著)から、日本人にはあまりなじみがない「小切手」と決済の謎を紹介する。
なぜアメリカ人だけが「小切手」を使い続けるのか | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
記事のタイトルに対する結論をかいつまんで言うと「それがその地方の商習慣だから」という身も蓋もない結論になってしまうのですけど、まあ実際小切手なんてそういう習慣がある場所でしか使いませんよね。普通の人は現物を見たこともないでしょうし。
数年前までゴミ回収業者に小切手で支払いしていた居酒屋
小切手と聞いて思い出したのが、3年前まで働いていた居酒屋での話。飲食店には様々な「定期的な支払い」が発生するんですけど、古い店では1度取り決めた支払い方法を更新しないままずっと続いているということがままあり、魚屋さんから掛けで仕入れて魚屋さんが月1回請求書持って現金を回収に来るみたいなことがあったり、食材と一緒に入っている請求書を見て振り込んだりみたいなことがあったりしましたが、その中で一番「なんでだよ」と思ったのがゴミ回収業者への料金支払いでした。小切手だったんですよ。
毎月定額の小切手を期日までに社長が用意する
毎月月末になるとゴミ回収業者の方が料金を回収しに店舗にやってきます。その時点で既に現代っぽくないんですが、その時に渡すのが社長のサインが入った小切手。社長からは支払日までに小切手が封筒に入って預けられていて、それをマネージャーが業者に渡すという段取りでした。社長としては余計な現金を社員に渡さなくて済むというメリットもあったのかも知れませんが、特に莫大な金額を支払っていたというわけでもないし、そもそも銀行振込なり口座引き落としなりにすれば、
- 小切手を発行して届ける
- 社員が小切手を保管する
- 業者が小切手を回収に来る
- 業者が小切手を換金しに行く
といった手間が全てなくなるわけで、まったく謎な商習慣でした。
「なんで小切手なんか使ってるんですか?」
あまりに非効率が過ぎるので、ある日、「なんで小切手なんか使ってるんですか?」と社員に聞いてみたところ、「いやあ、前からやってるから……」といまいち煮え切らない返事。「さすがに今どき少額決済で小切手はないから他の払い方に出来ないか聞いてみたらどうですか?」と言ってみたら「社長がそうしろって言ってるからなあ」というワンマンあるあるな返事が返ってきましたけど、翌月から普通に口座引き落としになってました。出来んじゃん。
商習慣なんてそんなもんかも知れません
つまりは誰も何も考えていなかったってことなんでしょうね。社長自身は割と柔軟に時代に対応していくタイプの人なんですけど、忖度してる社員の方は何年も前に社長が言ったことを今でも有効だと信じ込んでたっていうね。不便だと思ったらなんでも変えれば良いんですよ。大抵何とかなるもんです。そういえば飲食業界で今も多いFAX注文も某フードコートで「その辺どうなんですか?」と食品卸の営業担当に聞いたら「メールでも注文フォームでも行けますよ」っていう返事が返ってきました。マジか。そのために無理やりFAXを設置してたのに。
商習慣なんてそんなもんかも知れません。