とあるECサイトを具にしたネットワークビジネス(またはマルチ商法)の話について

マルチ商法の勧誘のイラスト
妻の友人が誘われているというビジネスが一言目からどう考えてもマルチ商法で、いやそれはないやろと思ったんだけど調べてみるとなかなか闇深い話だったので簡単にご紹介






案件概要

あんまり特定して書いてもなんなので名前を伏せつつ概要を箇条書きで


  • 個人や法人が登録して商品やサービスの販売を行えるECサイトでのこと
  • ECサイトに登録した個人または法人は「加盟店」として初期費用(約3万円)と月額費用(約1万円)を支払うことで、決済処理、顧客管理、メールマガジン発行などのサービスを受けることが出来る
  • 加盟店へのサポートはECサイト運営会社と代理店契約を交わした代理店を通じて行う
  • 代理店は加盟店の勧誘を行うとともに、代理店の勧誘も行う
  • 代理店(親代理店)の紹介で新たに代理店契約を結んだ場合(子代理店)、親子ともにポイントが入る
  • 代理店が勧誘した加盟店で売り上げが上がるとそれに応じたポイントが代理店に入る
  • さらにその半分が親代理店に還元
  • つまり自分が紹介した加盟店や代理店が増えれば増えるほど自分の実入りはどんどん増える
  • 代理店になるには初期登録費用(約16万)と月額費用(約2万)が必要




どう見てもマルチ商法です。本当にありがとうございました。



この話のポイントは

実際にECサイトを見てみたんだけど、「加盟店」として利用する限りにおいては初期費用と月額費用はB2Bとしては適切な範囲内だと思うし、サービス内容も実際に現場で必要となるようなことがバランス良く実装されてて、もしこれがきちんとフルにストレスなく使えるのであれば良いサービスなんじゃないですかと思います。まあ、「数年内にアマゾンや楽天を追い抜く」ってのは無理だと思うけど。メルカリもあるし。


んで、この話のポイントはこの比較的良く出来たサービスを餌にして「このサービスがいかに使いやすいか」を力説しつつ話がいつの間にか「代理店をやる意義」にすり替わること。話を聞いてるうちに「なるほど、良いサービスですね」という納得がなぜか代理店契約になってるっていう……いや、それ全然別の話だから。

マルチ商法ではよくあることだけど、例えばなんらかの化粧品を売る商売があったとして、その化粧品の出来が良いこととそれを売る人間に自分もなることとは別の話。「あなたから買うから別に良いわ」って普通の商品なら言うでしょ。なんで契約して販売を始めなくちゃならない?良い商品だから社会に広めていきたい?そのことと売る人間になることとに何の関係が?



いやあ、ほんとにね。ネットワークビジネスっていうかマルチ商法っていうか、この手の話ってホントなくならないですね。人間ってのはいつになっても欲の皮が突っ張ってるもんなんでしょうなあ。



なお妻に相談してきた友人自身はこれが怪しい話だってことはわかってたみたいだけど、話を持ってきた人が信頼している人だったしどうしよう?という感じらしい。その友人は常識人だし大丈夫だと思うけど、、どうしたんかなー。今度後日談聞いとこう。勧誘されたりして。



ちなみに:「マルチ商法」には定義があるそうです

正しいかどうかわからんけどでお馴染みWikipediaから引用します。


特定商取引法で、以下のような条件を全て満たす販売取引が連鎖販売取引とされる。

1. 物品の販売(または役務の提供等)の事業であって
2. 再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を
3. 特定利益(紹介料や販売マージン、ボーナス等)が得られると誘引し
4. 特定負担(入会金、商品購入費、研修費等の名目で、何らかの金銭的な負担)を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするもの

連鎖販売取引 – Wikipedia


この「連鎖販売取引」のことを一般的に「マルチ商法」と呼びます。ネットワークビジネスはマルチ商法の別称です。「これはマルチ商法ではありません」はマルチ商法の常套句ですが、マルチ商法かどうかは法律が決めているのであって業者が自称するようなことではありません。上のビジネスの場合、表側のECサイトと加盟店の関係はマルチ商法ではありませんが、それを具にした代理店ビジネスの方はマルチ商法です。ECサイトがホワイトなだけに、裏側の闇深さが一層際立ちますね。語弊を恐れずに言うと、上手く設計するなあという感じです。



欲の皮の突っ張ったバカ素直な人は騙されそうですね。




10年前にあった話 旧い友達が連絡してきて、電話口で用件を伝えずに「直接会いたい」と言いだした場合、高確率でそれはマルチのお誘いであります。