どの地域にどんな制限があるの?
「新景観政策」では以下のように定義されています。三方をなだらかな山々に囲まれ, 世界遺産をはじめとする歴史資産や京町家等による風情ある町並みも多く残る京都の市街地の特性に配慮し,都心部から三方の山すそに行くにしたがって次第に建物の高さが低くなることを基本構成としています。
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000281/281600/shinkeikanseisaku.pdf
これを基本としつつ幹線道路や地区の特性を考慮して非常に細かく区分けされています。京都市の資料から画像を抜き出してみるとこんな感じ。
赤い地域が最も緩い高さ制限「31m」の地域。繁華街の幹線道路沿いや京都駅周辺の他、住宅地として開発されている阪急桂駅付近や桂川東岸、地下鉄東西線太秦天神川駅付近などがそれに該当していることがわかります。高さ31mはマンションだとおおよそ10階建て相当なので、そのぐらいの規模のマンションの集積を目的にしているんでしょう。
ちなみに我が家がある地域は緑色なので「15m」の地域。マンションだと5階相当でありマンションとしては中規模以下のサイズです。ただ幹線道路に隣接した地域であり、幹線道路沿いは例外的に「20m」地域に区分けされているので、すぐ側では新築で少し高めマンションを建築することが出来ます。といっても20mはせいぜいマンション7階ぐらいまでなのでそれだけで真っ暗になってしまうほどではありませんが。
「特例許可」ってなに?
以上が基本的な高さ制限ですが、条件を満たせば高さ制限を超える建物を建てることが出来る「特例許可制度」というものがあります。これまでは病院や学校など公的施設などが対象でしたが、2021年3月にその対象を民間の建物にまで広げることになりました。京都市都市計画審議会はこのほど、高さ規制を超える建物を一定の条件下で認める市の「特例許可制度」について、民間まで対象を拡大することを承認した。従来は病院や学校など公的施設が主だったが、オフィスビルなどにも広げ、実質的に高さ規制を緩和する。
京都市の高さ規制緩和、民間への拡大承認 オフィスビルやマンション建築促す|主要|地域のニュース|京都新聞
(中略)
特例許可は、病院などがその機能を確保する上で欠かせない場合に高さ規制を緩和する制度で、2007年の新景観政策スタート時に導入された。今回の対象拡大は、厳しい高さ規制に伴うオフィス不足や子育て世帯の流出が課題となる中、オフィスビルやマンションなどの建築を促す狙いがある。
「特例許可制度」がこれまでほとんど利用されてこなかったことを考えると変更もやむなしかなあとは思いますが、
2007年に設けた特例許可制度ですが、10余年で適⽤されたのは8件だけでした。景観を規制により保全するだけではなく、まち全体を活き活きとした場所にし、新たな景観を創造していくため、対象の追加を検討することになったのです
京都市・ 建物の高さ規制の特例許可。対象に「まちづくりに貢献する建築物」の追加を検討 | 住まいの本当と今を伝える情報サイト【LIFULL HOME’S PRESS】
ぶっちゃけそんなことしてもホテルが建つだけだろと思いますし、そうでなくても街中にマンションが建ったところで高くて買えません。子育て世帯で5,000万円から1億円ぐらいまでのマンションを買える人がどれだけいるんだよっていう話です。もしこれで街中のマンションが増えて少しでも価格が下がるなら嬉しいことですが……どうですかねえ。
詳しい情報は「京都市都市計画情報等検索ポータルサイト」で検索できますよ
特定の地域にどんな制限があるのか、高さ制限や建ぺい率の制限はどうなっているかなどは、京都市が作っている「京都市都市計画情報等検索ポータルサイト」で確認出来ます。恐らく不動産業の方とか建築士さんとかが使うんだと思うんですけど、結果はPDFでの出力も可能です。京都市役所の制限を出力してみるとこんな感じ。
高さは31mまで、建ぺい率は80%までに制限されていることがわかります。結構細かく決まってるんですね。
以上、京都市における建築物の高さ制限の基本情報でした。