本書は、なんとなく聞いたことあるようなギリシャ神話について、せめて輪郭だけは捉えてみましょうということで薄く広くエピソードを教えてくれるような一冊。ギリシャ神話の成り立ちとか、その中の世界観、有名な登場人物のエピソードや興味深い話のあらすじなど、著者中村さんセレクトの「ギリシャ神話のさわり」がこれでもかと詰まったとにかくとても軽い本です。込み入った話は割愛されているのでとにかく読みやすい。なるほど、ゼウスってそういう立ち位置だったのかーとか、ギリシャ神話の神々の関係を改めて知るとなかなか面白いです。
個人的にはランニングでアキレス腱を痛めたことがある経験から、もし女神テティスがアキレウスをきっちり全身不死にしていれば人間にとってこんな弱い部分が残ることは無かったんじゃないか(まあ実際には逆なんだけど)と思ったり、ゼウスの人間に対する傍若無人な仕打ちに対し再三助けてくれたプロメテウスに感謝を覚えたり、僕が日本人だからかも知れないけれど、たくさんの神様がわちゃわちゃしてるのはなんか見ていて楽しい。大体は自分勝手なんだけども。
先に書いたとおり本書は本当にギリシャ神話の入口的な役割であって、具体的な話についてはかなり省略されています。そのせいか、これを読むと逆にギリシャ神話をきちんと知りたくなると言うか。本書末尾にはそのための参考書籍が上げられているのがとても有り難くて、といってもたくさんあって困るんですが、一冊ぐらいは読んでみようかなとちょっと思っています。それぐらい面白い一冊でした。ギリシャ神話、面白いなあ。