「静岡新聞SBSは マスコミをやめる。」――こんな決意表明が、静岡新聞の1月11日朝刊とWebサイトに掲載された。静岡県の地方紙・静岡新聞と、グループの放送局・静岡放送(SBS)が“マス向け”のコンテンツ作りを脱し、県民一人一人に向き合う「ユーザーファースト」を掲げるという宣言だ。社員一人一人の実名入り決意表明も掲載されている。
静岡新聞「マスコミやめる」宣言 新聞・テレビも「一人一人と向き合う」 – ITmedia NEWS
(中略)
今は、SNSなどの普及で、ユーザー一人一人が情報発信できる時代。両社は「マス」というかたまりではなく、「静岡の一人一人と向き合う」ことで、県民がより良く生きるためのサポートをしていきたいと考えたという。
具体的にどんなことをしていくのかいまいちつかみづらいので、手放しで「素晴らしい!」とは言いがたいのですけど、それでもこれを会社の方針として打ち出すというのはなかなか面白いことかなとは思います。マスメディアというのは不特定多数を相手にする関係上、どうしても平均値を求めますよね。アンケートを採って「良い」「どちらかというと良い」の合計が6割ぐらいのことをやるみたいな感じ。そのカウンターパートとして深夜枠やローカル局の尖ったテレビ番組があったりするんですけど、まあそれでもね、良いとか悪いとかじゃなくそれがマスメディアの役割みたいなところがあったと思います。そうしなきゃいけないんじゃないかという、どこかに規定されているわけではないのに自分で嵌まりに行くような枠。会社自体の定義だといってもいい。
その枠の打開を、社内に通達を出すだけでなく会社として外部に表明することは、言うほど簡単じゃないですよね。従来の考え方で言えば、そんなことやってスポンサーから広告費いただけるのとか、公共電波を使っているのにマス向けじゃなくて良いのとかなるわけだし。でもそれを言ったって言うのは、それだけで既に面白い。そんなこと言ったって変わらないんじゃないのとか、「マスゴミ」を辞めるってことでしょとか、そういう揶揄も想定出来るけれど、でも発表しちゃったからねえ。しかも年末には成果を報告するっていう話だから。そこまで言うんだったらやって見せてくださいよ、と言わざるを得ない。