【レビュー】 水曜日のおじさんたち

水曜どうでしょう2020年最新作に合わせる形ということなのか、鈴井さん、藤村さん、嬉野さんの3人の小旅行を綴った冊子が刊行されました。





行き先は九州。大分臼杵、竹田、鹿児島霧島、鹿児島。いずれも水曜どうでしょうと縁のある場所ばかりですが、番組内で登場したときには例えばサイコロの途中で一瞬立ち寄っただけとか、原付の途中で一晩泊まっただけとかそんな感じであって、その場所自体を紹介することはありませんでした。本書ではそんな九州の街を3人のおじさんがほんとにぶらぶら歩いて人に会い、美味しいものを食べ、お酒を飲み、温泉に入って宿に泊まる。ただそれだけの本です。

割ときちんとした厚さのある本ですが、ページの多くを写真に割いているためボリュームはそれほど大きくありません。間に差し挟まれるコラム、対談も2ページずつぐらいで、読む分にはすぐに読めてしまいますし、写真もポートレートが多いのでそれほどじっくり見るほどでもない。そういう意味で言うと、水曜どうでしょうに興味がない人が見たら何が面白いのかさっぱりわからんそんな旅行記になんですが、じゃあ読む必要はないかといわれるとうーん。どうだろう。新型コロナウイルスで旅行に出掛けられない今だからこそ思うのかも知れないけれど、やっぱりねえ、本全体を通して醸し出される「旅情感」がとても良いんですよね。姫だるま工房とか見ると、やっぱり懐かしいな、ああこの方がゆで餅を大量に送ってくれる後藤さんかとか思うし。

値段分の価値があるかどうかはなんとも言えないけれど、少なくとも読んでいるだけで落ち着く、そんな本でありました。



欲を言えば:動画で見たかったよね

写真主体という見せ方は確かに正解の1つであろうと思うのですけれど、見ててやっぱり募ってしまうのは、「これ動画で見たかったよね」という感じ。この本の制作風景的な動画を藤村さん・嬉野さんのやっている有料サロン「「どうで荘」で公開されるそうなんですが、メイキング動画ではなく、この本の工程そのものを動画ベースで作ってくれたら良かったのになあとちょっと思ってしまいました。YouTubeチャンネル「水曜どうでそうTV」の中でも予告的な動画が公開されているけれど、やっぱねー、3人とも動画の中の方が映える。







もちろん最近始めたニコニコの有料チャンネル「水曜日のおじさんたち」の方で、そういう動画も公開していくのかも知れませんが、まあなあ。コンテンツを制作するものとして制作物を有料にする意義はもちろん理解しているけれど、正直いろいろ手を広げすぎてついて行く気がしないんだよね。YouTubeも言うほど伸びないし、今後は「どうで荘」で情報を集中的に出していくんだといった舌の根も乾かぬうちに、ニコニコで有料チャンネルとか開設されても。ミスターが準レギュラーなんだから違うコンテンツではあるんだけどさ。色々試したいんだろうし個人的にはいろいろダメで1つに収束していくのを待ってる感じかな。それについてはまた別で書きます。


ともあれ、少なくとも本書に関しては、旅情感溢れる良い一冊でした。写真主体と言うことで強めの紙が使われているし、湯船につかりながら読むのにちょうどいい。ああ、僕も早く旅行に行きたいなあ。正直ね、湯治したいですよ湯治。痔ではありませんけどね。