諸事情あってちょっとわかるようなわからないような書き方しますが、ブログ移行に伴うデザイン調整の関係で昔の記事をいろいろ読んでいてそんなことを思ったんですよ。繁華街や人が集まる場所にわざわざ出店するのって今どきの商売じゃ無いんじゃないかって。
読んでいた記事はこれ。
印象では何かに煽られて特定の場所を目指したバブル時代の流行とは違って、
家賃の安い周辺地域で好きな商売をする人が増えているような – NOBODY:PLACE
1. 自分が好きな商売を
2. 自分の身の丈に合った場所で
3. 自分が管理出来る規模でやる
みたいな感じに見えて、知人が何人かいるのもありますけど、なんだろう、とても好感が持てるのですね。「無理して街中に店を借りて頑張って商売する」それも1つの商売の形でしょうけど、そういう考え方がうちの社長の時代の発想だったんでしょうし、でもランニングコスト考えればその方が儲かるとは限らないわけですし、だったらなー。いいよね、そういうの。
「社長」というのは居酒屋の社長ではなくて、当時勤めていた会社の社長のことなんですけど、年代が似通ってるので多分居酒屋の社長も同じような思考回路だと思うんですよね。良い場所に良い店を出すのがステータスとか、良い場所に店を出すのが成功への近道とかそういうのね。でも、今、そういう理屈とは離れた場所に店を出してきちんと存続している店多いですよね。この記事は2012年のものだけれど、7年後の今もそういう傾向は続いている気がします。
京都に「御所南」という地域があります。文字通り京都御苑の南側に位置する地域なのですが、大通りに面した部分を除いてその大半は住宅街であり、そうした地域性をベースとした先進的な小中学校運営でも有名な地域でもあります。
その住宅地である御所南地区に、近年飲食店がたくさん出来ました。京町家を改装したものであったり、マンションの1階であったり、近代的なビルの1階であったり形式は様々ですが「なんでこんなところに?」というような住宅地の中にオシャレな店があちらこちらと。昼間はかろうじて京都御苑にむかう観光客がいるものの、夜間は人通りが途絶えてしまうようなこの地域になぜ出店を?と普通なら思うところですが、しかしそうして出店した店のほとんどは、5年以上経っても変わらず営業していて、人通りが多くて本来商売がしやすいはずのところよりもよっぽど安定しているという。
先の記事で書いた「丸太町以北、今出川以南の地域」にできた小さな店も、もちろんいくつかは閉店はしていますが、大部分生き残っていてむしろ増えているぐらい。
様々な形で情報が共有されるようになった今の社会、わかりやすい場所とか人が来やすい場所とか、以前ほど価値があるわけではないんですね。むしろこだわりある店舗や凝った店舗、ある種スノッブな感じを醸し出したい店舗は、中心部から外れたややもすると住宅地の中の方が逆に注目されるという。繁華街に比べれば家賃も安いし、継続性は高い。
自分もいつかは店をやりたいなあと思って、色んな場所の新店や空き家を気にしてはいますけど、大事なのはどれだけの熱量を持ってやりたいかであって店の出店場所はそれほど大きなファクターではないんですよね。もちろん人通りの少ない場所で始めた場合スタートダッシュはそれほど鋭くないのかも知れませんけど(その分準備資金に余裕を持っておかないと)、きちんと商売すれば人は来てくれる。
きちんとした仕事をしている人が、その仕事のクオリティで報われる時代であって欲しい。
そういう意味で現代の状況は、若干軽薄気味ではあるものの、商売のクオリティに対してフェアでとても良い時代になったなあと個人的には思います。
先の話に戻ると、小規模の居酒屋が新店を出店したいと思うのであれば祇園なんかじゃなくて西院とか四条大宮とか、オシャレな店なら西陣とか壬生とか、そういう場所の方が面白かったんじゃねーのかなと改めてそう思います。今さら宮川町ってなあ。どんだけバブルなのよっていうね。そんなの高級和食か水商売の人たちに任せておいたら良くない?それが分相応ってもんでしょう。