結局みんなポピュリズムが好き

先日の選挙で一定数の支持を受け2議席を獲得した「れいわ新撰組」。彼らはいわゆるポピュリズムであると言えると思います。そう言われて反射的に嫌悪感を覚える人もいるかも知れないけれど、Wikipediaの定義を読むとそのまんま当てはまります。



ポピュリズム(英: populism)(平民主義)(公民主義)(人民主義)(大衆主義)とは、一般大衆の利益や権利を守り、大衆の支持のもとに、既存のエリート主義である体制側や知識人などに批判的な政治思想、または政治姿勢のことである[1][2][3][4]。日本語では大衆主義(たいしゅうしゅぎ)や人民主義(じんみんしゅぎ)[5]などのほか、否定的な意味を込めて衆愚政治や大衆迎合主義(たいしゅうげいごうしゅぎ)[6][7]などとも訳されている。

ポピュリズム – Wikipedia


個人的には「れいわ新撰組」の支持者が「衆愚」だとは思いませんが、「一般大衆の利益や権利、願望、不安や恐れを利用して、大衆の支持のもとに、既存のエリート主義である体制側や知識人などと対決しようとする政治思想、または政治姿勢」というのは山本太郎さんの政治姿勢そのままかなと思うし、彼を支持し応援していた人たちの思いもそうなんだろうなと思います。まあねえ、繰り返し書いているとおり僕は彼を支持しませんが、彼を支持する人の気持ちはなんとなくわかるし、数多いる扇動者の中で彼がそれに成功しているのはひとえに彼のたぐいまれなる才能によるものだと思います。タレントとしてテレビに出てるときには全くそんなの感じなかったのに、どこでそんな魅力を身につけたんだろう。色んなことを間違えながら、時に後戻りもしながら、少しずつ成長している点も共感を呼ぶのかも知れません。後はもう少し福島に(電力会社や国ではなく福島県と福島の人々に)優しくなってくれると嬉しいんだけど。



ポピュリズムの台頭は世界的な傾向

でまあ、そういうポピュリズムの台頭が日本に限ったことかというともちろんそんなことはなくて、ここ何年かヨーロッパでも見られている動きなんですよね。れいわ新撰組の場合は「左派ポピュリズム」というらしいです。僕の説得力のない言葉より、ちゃんとしたライターさん(石戸諭さん)が書いたテキストを読んでもらった方がいいかも。


日本政治に左派ポピュリズム政党が誕生した。7月21日の参院選は日本においても、欧州で吹き荒れるポピュリズムの風が吹くという結果になった。山本太郎、「れいわ新選組」である。比例での得票率は4・6%に達し、既成野党への不満の受け皿となり、政党要件を満たした。大事な点は彼らの主張は、欧米の左派ポピュリズムそのものということだ。

山本太郎、れいわ…左派ポピュリズムの衝撃とどう向き合うか?(石戸諭) – 個人 – Yahoo!ニュース


言われてみれば左派というのは伝統的に「知識エリートが労働者などの非エリートを主導して社会改革を行う」という運動なわけなので、ポピュリズムとは相性が良いのかもしれません(政策内容はともかくとして手法の面で)。Wikipediaだとこんな感じの記述になっています(独自研究タグ付いてますが)。


左派ポピュリズムの指摘はしばしば反エリート感情、エリートたちが創った制度への批判、そして「庶民」を支持する発言から成る。左派ポピュリストにとって重要な主題は通常、反資本主義、社会正義、無政府主義そして反グローバリズムを含む。他方で、伝統的保守政党にとって重要な階級社会イデオロギーは左派ポピュリストにとってはそれほど重要ではない。

左派ポピュリズム – Wikipedia


もちろんポピュリズムには右もあって、そっちだとなんだろう、もっと保護主義的。失礼かも知れないけど扇動者はあんまり知的に見えないことが多くて(演出かも知れない)、例えばアメリカのトランプ大統領とか、イギリスのEU離脱派とか。ナショナリズムを強く前面に押し出してくるのが特徴かな(こっちも独自研究タグ付き)。


右派ポピュリズムは

・哲学
・政治哲学
・言論の自由
・政治
・ポピュリズム

といった主題を含む。

右派ポピュリズムの概要 – Wikipedia


ポピュリズムというのは良く言えば、国民の心情をくみ取るということでもあるから、そのこと自体が悪なのかといわれると僕はよくわからないけれど、一般論として、みんながやりたいとかして欲しいとか思っていることを、実現性を無視して全部盛りして「こんな社会だったら素敵やん?」みたいにやることが多いじゃないですか。私ならあなたの理想郷を作れる!みたいなね。で、蓋開けたら旧民主党政権みたいになるわけです。あれもこれもしたかったけど出来ませんでした、と。それよりかは出来ることを確実に行う方が社会のためになると僕なんかは思うんですが、ただイギリスを見てもアメリカを見ても、「「出来ませんでした」じゃねえよ無理やりにでもやるんだよ」っていうノリで突き進んでて、本物のポピュリズムってそういうことなんかと思ったりもします。その結果が良いか悪いかは……うん、まあ。言わんとこう。


扇動者本人は自分が正しいと確信を持っていて、支持者もその扇動者に同化していくことで幸福感を得られる、それがポピュリズムの構造であり、人間は通常、幸福感を邪魔されると感情的になるわけで、まあそう言うことかなと思います。今回、政治にあんまり関心がなかったような人まで「山本太郎の演説に感動した!」「山本太郎イケメン!」「みんなもっと支持しようぜ!」と言ってて、まあ確かに対決姿勢は応援したくなるよなと一定の理解は示しつつもそっと画面を閉じるという事案が多発しました。



これからの日本

これからの日本は、れいわ新撰組が国民の期待を背に自民党を追い詰めていく……という展開にはまだならないでしょうね。風が吹き続けるという前提ですけど、国民民主党、社民党あたりは普通に飲み込める(合流という意味ではなく支持層を奪うということ)だろうし、勢い次第では立憲民主党のバックを奪うこともできるかも。そうなってくるとかなり騒がしい日本になってきて、地方自治体によっては左派首長に左派議会なんてところも出てきて、税金や福祉において地域格差が出てきたりするのかも知れません。そうなっても多分僕は山本太郎さんを支持しませんが、でもそういう日本を見てみたいという思いはあります。良くなるかどうかわからないんだったら、まあ、面白い方がいいよねと。欲を言うなら、現王者たる自民党の方にも傑物が出てきてくれると、対決感が増してより面白いんですけどねえ。そうなったらみんな政治に注目するだろうし、投票率も上がるんじゃないかなあ。


まとめ

どうなったって生活楽になるわけはないんで、どうせなら面白い方で。