馬毛島所有会社「縁切られた」 国に交渉打ち切り通告(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地とされる馬毛(まげ)島(鹿児島県)について、島の大半を所有するタストン・エアポート社(東京都)が、防衛省との間で進めていた売却交渉を打ち切ると同省に通告したことが分かった。両者は1月、160億円で売買すると合意したが、2月に同社の社長が交代した後、関係が悪化。今春ともされていた正式契約は見通せなくなった。
関係者によると、交渉打ち切りは、中村吉利・地方協力局長宛ての7日付の文書で通告された。
同社は文書で、2月に立石勲社長が就任して以降、防衛省側が面会に応じず、前社長と防衛省との合意内容も確認できないなどと主張。「防衛省から縁を切られたものと受け止め、売却する方針を断念し、別案を選択する方針を固めることにした」という。「別案」の詳細は明らかにしていない。
鹿児島県の無人島を1つの会社が丸々所有してるってのもすごい話だけど、それを買収して利用しようとしていた話が親父の社長復帰から白紙に戻る的なごたごたがあってニュースになってました。調べてみるとこの島は1974年頃から「開発計画が持ち上がる→結局頓挫して金が溶ける」を繰り返していた曰く付きの島で、現在の所有者である「タストン・エアポート株式会社」(親会社は立石建設)も当初は様々な開発を意図して買収したものの、結局はただの採石場として島の環境を破壊し尽くしているということのようです。
1974年、平和相互銀行(平和相銀)により馬毛島開発株式会社が設立され、1975年に島ごと買収した。当初はレジャー施設の建設を計画していたが挫折。馬毛島が国の石油備蓄基地の候補地になったことから土地買収が進んだが、石油備蓄基地は鹿児島県志布志湾に決定、志布志国家石油備蓄基地が整備され、島は放置されることとなった。
なんだろうこの、欲にまみれた離島という映画のようなシチュエーション。
Googleマップで見てみるとこんな感じになっていて、周囲の種子島や屋久島、その他の島々と比べて明らかに緑が少なく、その異常さがよくわかります。
これ1つ取ってもこれヤバい案件なんじゃないの……土地ゴロ……?という表現が浮かびましたが、しかしこちらのフライデーの記事を読むとまた印象が変わるんですよね。
買収額160億円 馬毛島の「地主」の正体 | FRIDAYデジタル
「私は鹿児島県の枕崎市出身。鹿児島水産高校を出て、20歳のころはマグロ船の船長をしていましたので、馬毛島はまさに地元です。そんな島が売りに出されていると聞き、飛びつきました。購入したのは、’95年のこと。正確には、『馬毛島開発』という会社を買収した形です。購入金額は言えませんが、当初、住友銀行は約60億円で売りに出していましたね。ただ最初は、6割ほどの土地を所有するだけの虫食い状態でした。10年以上かけて地権者を一人ひとり訪ねてまわり、少しずつ土地を買い増していったんです」
元マグロ漁師が東京で建設会社を起業し、鹿児島の離島に滑走路建設を夢見て土地を買い集め、そこに降って湧いた防衛省の買い取り話に対して国に貢献出来るならとテーブルについてこれまでの投資に対しての利益を要求したら、ほぼ実費で買い取りたいという話が来て突っぱねました……という構図になってます。
滑走路の話は後付けかも知れないし、土地の買収だけだったら150億も掛かってないだろうし、それで400億はさすがにふっかけすぎじゃねーのと思うし、これはこれで話半分ではあるんですけど、8.2平方キロメートル(248万坪)を揃えるのは確かに大変だっただろうし、揃っているからこそのプレミアもあるわけで、高く売りたい気持ちもわからんでもない。しかも相手は日本政府だしね。自分の会社も潰れそうだし。
最終的には立石勲社長が存命の間は何も出来なくて、退任されてから会社として資産整理をするという形で売却されるのかなあと想像します。立石勲社長の「ロマン分」が無ければ、30年以上なんの価値も生み出さなかった無人島なんか実費で買収してもらえるだけでも有り難いってもんですしねえ。別案って言ってもあとはもう中国人に売って「カジノ特区」でも作るしかないもんなー。
馬毛島も立石建設も、何か上手いこと着地出来ると良いんですけど。