「日本のクラフトビールが好き」ちょっと待って、世界のビールのことも知ろうよ





そう思っていたこともありました。
でも今はそんなことあんまり思わないんですよね。




それは、日本の様々な醸造所が色んなスタイルのビールを作り始めたから。まだ一部で「IPAって書いときゃ売れるでしょ」「え、ビールってラガーとIPAだけなんじゃないの」みたいに見えるラインナップの醸造所もありますけど、そうではなく様々なスタイルに挑戦する意欲的な醸造所が増えていて、むしろ飲むこちら側が混乱するくらい。ベルギーでさえ廃れかけている「ランビック」の製法を取り入れた「ランビック風」クラフトビールを見つけたときは笑っちゃいました。多分、醸造家の「やりたい」と「やれる」のバランスを追及した結果なんだろうなあ。

そして世の中の国産クラフトビールに、もはやスタイル名を見てもどんなのだか想像が付かないくらいスタイル名のバリエーションが増えた結果、聞いたことのナイスタイルでも抵抗がない人が増えてきたように思います。基本はラガー(ピルスナー)とエール、それにランビックやラオホなどその他のビールに区分され、エールの下にペールエールやヴァイツェン、スタウトやポーター、アルトなどがあるわけですが、それらがどんな感じなのかを感覚でつかめるようになるくらいには種類がたくさんあって。


もちろん、おかげで混乱している部分もあります。「インディアンペールエール(IPA)」が有名になった結果「なんとかIPA」とか「地名+PA」とか(アメリカンペールエール、アフリカンペールエールなど)もはや特徴がわからないペールエールが乱立したり、季節限定のフルーティなビールを全部「なんとかセゾン」と呼んでみたり(セゾンには特に決まりがないのでスタイル名から味はわからない)。もはや、IBU(国際苦味単位)とSRM(標準参照法/色を見る)を見ないと何ものか分からない状態に……

国際苦味単位 – Wikipedia
標準参照法 – Wikipedia

醸造所全体のレベルが段違いに上がっているとは言え、まだエール酵母を使ったラガー風ビールを「クラフトビール」として作っているところもあって、まあ玉石混淆。先日同居人がふるさと納税の返礼品でもらっていたビールは、醸造所の名前は書けないけど、まあ酷かったです。どのスタイルもビール風味が付いたアルコールで、しょんぼり。


とはいえ、好きな醸造所が、醸造所としてビジネスを続けられる程度には裾野が広がってきたのはほんとに素晴らしいことだと思います。京都で言えば「京都醸造」、全国で言うと最近お気に入りなのは長野の「玉村本店」(志賀高原ビール)や、沖縄の「南都酒造所」(サンゴビール)など。クラフトビールを飲ませてくれる店も増え、こちらも玉石混淆ではありますが、確実に楽しみやすい環境になってきました。また、世界のビールを前知識として持っていて国内のクラフトビールに触れるのではなく、国内のクラフトビールを知ってその延長線上に世界のビールを見ることができるようにもなってきました。

京都醸造株式会社 Kyoto Brewing Company
玉村本店
OKINAWA SANGO BEER 南都酒造所


もうね、素敵すぎ。
ほんとに良い時代になりましたよ。うん。