そういうわけで、2018年の9月上旬(速報値)まで含めた平均気温・最高気温の旬ごとの推移を比較してみます。今回はこれまでの平均気温と比較しての暑い・涼しいではなく、ヒートマップを作成してみました。
気象データは例によって気象庁から。
気象庁|過去の気象データ検索
1990年から2018年までの平均気温推移
※閾値は最小値20℃、中央値25℃、最大値30℃
1990年から2018年までの最高気温推移
※閾値は最小値25℃、中央値30℃、最大値35℃
今年の夏はどれくらい暑かったのか?
これらの図表から判断するのはなかなか難しいものがあります。パッと見た感じは今年が特別暑かったようには見えませんが、最高気温の閾値を最小値30℃、最大値38℃に変えてみると今年の暑さが寄り際立って見えます。今年の特徴は7月中旬に最高気温37℃を超えて夏のピークが普段よりも早かったことと、7月下旬8月上旬も最高気温が36℃を超え非常に暑い日が続いたことです。最高気温が37℃を超えることはままあるのですが(1994年、2013年、2015年)、いずれも8月に入ってから記録していて、7月中に37℃を超えたのは直近28年間で初めてです。そういう意味では暑さを凌ぐべき期間(例えば最高気温が35℃を超え猛暑日が続く期間)が例年より長く、しんどい夏だったと言えると思います。通常、35℃を超える期間は長くても2週間ほどですが、今年は1ヶ月間続きました。そりゃしんどい。
一方で、今年の暑さがかつて無いほどのレベルだったかというと、体感はさておき気象データ的には「どうかな?」という感じはあります。ピークの時の気温の高さ、35℃以上の期間の長さから考えると、直近28年間でもっとも厳しい夏は1994年です。この年は8月上旬に37.9℃という平均最高気温を記録したほか、7月中旬から8月中旬までおよそ1ヶ月半にわたって35℃以上の気温が続きました。この年は言わば「熱中症が熱中症として認知された年」でもあり、この年を境に熱中症の報告が増加します。それまでカウントされていなかった熱中症が、きちんと報告されるようになったと考えるのが自然です。
暑熱(熱中症)による国内死者数と夏季気温の長期変動(PDF)
今年の暑さはこの1994年に次ぐレベルの暑さであったと言えると思いますが、7月中旬から8月上旬にかけての地獄の暑さを除けば実は比較的過ごしやすい夏でもありました。台風の襲来などもあって夏の「引き」が早かったんですね。今のところ残暑も厳しくないですし、例えば2010年のようにいつまでもだらだらと暑さが続き8月下旬になって最高を記録するなんていう夏に比べれば、割と人にやさしい残暑になっていると思います。
7月の暑さに苦しんでいた時期は「7月にこれだけ暑かったら8月はどうなってしまうんだ……」と思っていましたが、自然というのは良く出来ているもので、どこかで帳尻を合わせてくれるようです。すごいなあ。
ただグラフをぼんやり眺めると、徐々に色の濃い部分が増えつつあるのも事実でありまして……来年も今年と同じような暑さが続くようなら、いよいよもって熱帯だなあという感じですね。来年になってみないとわかりませんが。
以上、2018年版「今年の夏はどれくらい暑かったのか?」でした。
過去の気温エントリまとめ
今年の夏は暑かったのか?
今年の夏は暑い!…のか?【2007年度版】今年の夏は暑い!…のか?【2008年度版】
今年の夏は暑かった…のか?【2009年度版】
今年の夏は暑かった…のか?【2010年度版】
【2011-2013年度版】 最近の夏は暑かった…のか? | mutter
今年の冬は寒かったのか?
今年の冬は寒かった…のか?【2010年度版】 | mutter【2011年度版】 今年の冬は寒かったのか? | mutter
【2012年度版】 今年の冬は寒かったのか? | mutter
【2013年度版】 今年の冬は寒かったのか? | mutter