Q7.休憩時間についてはどのような法規制がありますか。|労働政策研究・研修機構(JILPT)
使用者は、労働者に対して、労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与える義務を負っています(労働基準法34条1項)。労働が長時間継続すると、労働者の心身に疲労をもたらすうえ、災害が起きやすくなったり、能率が低下したりするおそれもあるので、疲労回復のために休憩時間を与えることとしたものです。また、休憩時間には、労働者にとっての自由の回復などのより積極的な意味ももっています。
(中略)
休憩時間の長さは、上にみたように、労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間ですが、休憩時間を分割して与えることは現行法上禁じられてはいません。また、休憩時間は、労働時間の途中に与えなければなりません。なお、以上のような労基法の要求水準を超える休憩は、法定外休憩と呼ばれます。
(中略)
労働者は休憩時間を自由に利用することができます(労基法34条3項)。休憩時間が労働から解放される時間である以上当然といえますし、さらに、休憩の実をあげるためには、休憩時間の自由な利用を認めることが必要になるからです。こうした自由利用を保障された休憩が与えられなかった場合には、それによる精神的苦痛について慰謝料請求が認められる場合があります(住友化学工業事件・最三小判昭54年11月13日)。
遵法精神が希薄ということもあるけれど、それ以上に営業時間内に休憩を取ることが物理的に不可能っていうのが大きくて。連続で12時間勤務とかザラだし、アルバイトでも連続8時間勤務は普通にあります。このことを「物理的に不可能」だと思って諦めていたのだけど、でもなあ。工夫すれば何とかなるんじゃないだろうか?そもそも労働基準法自体が、「物理的に不可能」といって改善されなかった環境を改善するための法律なわけだし。
ということで、休憩を取るとしたらどういう働き方になるのかを少し考えてみた。
居酒屋での休憩の話
居酒屋での仕事は、各ポジション1人ずつの配置になっていて、営業中に休憩を取るのが物理的に不可能です。規模の小さい飲食店(特に居酒屋のように1グループのオーダーが長い時間続くようなスタイル)では多分そういう店がほとんどで、営業開始前とか営業終了後とかに休憩を挟むのが一般的だと思います。オーダー止めてスタッフが休むのは難しいですからね。ベストはポジションを埋めながら順に休めることなんでしょうけど、ファストフードで無い限り店舗運営は属人的なものですから、なかなか難しい。仕込みから営業終了、閉店までいるスタッフはそれでいいとして、スタッフの中にはアルバイトを中心に営業時間中しかいないスタッフもいるわけです。例えば24時まで営業している店に16時入り23時上がりのアルバイトがいるとしたら、彼は7時間労働ということになりますし、上であげた労働基準法に基づいて45分間の休憩を取らせる必要がありますが、休憩を取れる時間がすべて営業時間内になります。しかも、労働時間の真ん中辺りに休憩時間を設けようと思ったら、20時前後になって思いっきりピークタイムです。そこで45分も抜けられるのはちょっと厳しい。
休憩時間は分割することも出来るので、例えば……15分を3回とかにして、18時・20時・22時から15分ずつ休憩を取るということも考え方としては出来るけれど、うーんどうだろう。15分。そういうアルバイトが2人いたら、各時間30分ずつ1人少ない時間帯が続くわけです。特に20時からは厳しい。かといって余分なスタッフを雇う余裕はないだろうし。
飲食店バイトの休憩時間はずれることがある | 飲食店のアルバイト。キッチンで働くということ。
ほとんどのファミレスや居酒屋などの飲食チェーン店では、バイトの休憩時間は何時から何時までの○○分間といったように予めシフトを組んだ時点で決まっています。
ですので、基本的にアルバイトは予め決められたシフト通りに休憩を取ることになっているんですが、必ずしもシフト通りの時間に休憩を取れないことがあります。
僕だったら休憩取るより早く帰りたい
それに僕だったら確かにピークタイムと片付けの間に15分くらいの休憩なら欲しいけれど、でも45分間休憩に割いてその分給与が減る or 45分退勤時間が遅くなるんだったら、休憩無しで45分早く上がるのを選ぶかも。実際以前web担当として働いていた自転車屋では、1時間休憩を含む15時上がりだったのを休憩時間なし14時上がり(1時間休憩取ってそのまま上がるという意味)にしてもらっていたし。ただこれも、まともな会社だとやっぱり問題になるみたいですね。
こんな記事もありました。
「休憩は要らない」と言う人をどうするか – 労務管理のツボをギュッと押す社労士です
例えば、休憩を取らずに、休憩時間の分だけ勤務時間を短縮して、早く終業しようと考える人がいる。つまり、休憩を取ると終業時刻が遅くなるので、休憩を取得せずにその時間分だけ終業時刻を早めようと考えるわけですね。
他には、休憩を取らずに、休憩時間の分を勤務時間に変えて、賃金を増やしてやろうと考える人。つまり、休憩を取ると、その時間は勤務時間から控除されるので、休憩を取らずに仕事をすることで、この控除を回避することを狙っているわけです。
休憩の取得を拒否する人の動機は、おそらく上記2点に当てはまることが多いはず。勤務時間短縮か賃金増加のどちらかです。
(中略)
労働基準法34条の休憩ルールは任意ではなく義務ですから、これを守らないと社員さんは良くても会社は困るのです。
もし、社員さんが「休憩はいらないです」と言い休憩を取っていないと、会社は社員にキチンと休憩を取得させていないと判断されてしまうのです。実際は、会社が休憩を取らせていないのではなく、社員さんが自主的に取っていないだけであっても、会社が休憩を取得させていないと第三者(その会社の人以外の人たち)は判断するのですね。
(中略)
もし休憩の取得を拒否するならば、懲戒処分にするのもアリです。
これで懲戒処分にされても困るなあ。まあ「休憩を取るように」というお達しが上から下りてきたら取るけれど、実際問題そういうのが下りてくる可能性は限りなくゼロに近いからなあ。
会社や社員は労働基準法を知らないか
そうそう色々調べてると「飲食店の社長や社員は労基法を知らない」というコメントをよく見掛けますが、人にも依るでしょうが必ずしもそうとは言えないなと思います。例えば僕の上司はデパ地下やカレーチェーン、居酒屋などいろんな店で働いた経験があり、そういったところでは休憩があったし、週労働時間の制限で休みを取らされたり半休になったりしていたみたいです。最近店に戻ってきた社員も、派遣であったり契約社員であったり様々な店で様々な形態で働いてきて、きちんとした待遇を受けていたようでした。今はある程度の資本がある店であれば飲食店、サービス業であっても労働基準法にしたがっている店が多く、経験を積んでいる社員であればそういうことがよくわかっています。だから全員が知らないというわけではないんですが(会社が知っているかどうかは知らない)、でも環境がそれを許さないところがありますし、諦めている感じです。その上でなんとか休憩を回すにはどうしたら良いんだろう、僕なんかはそう考えるんですけど、飲食の古いタイプの人たちは「休憩時間なんか取れるわけねえだろ」で思考が硬直してるんですよね。結果的にそうであったとしても、努力はすべきだと思うんですけど……考えないのかなあ。斎場のフードコートでもやっぱり休憩時間が無くて、その結果店長の男性が倒れてしまって、それ以来休憩時間30分は必ず取るようにってことになったけれど、人によっては8時半入り17時上がりで働いていたので、30分じゃ足りないんだよなあ……
結局のところどうすべきなのか
やっぱり「オーダー止めてスタッフが休むのは無理」「45分も抜けられるのはちょっと厳しい」「特に20時からは厳しい」なんて言っているのでは無くて、まず休んでしまってからどうするか考えるべきですね。休める方法を見つけたら休むなんて言ってたらいつまでも休めないと思うし。休憩は義務であって努力目標ではないし。21時から20分とかのレベルから始めたら、会社も受け入れやすいかなあ。まあすんなり受け入れてくれるとは思えないけど。でも個人でやっているカフェ営業では…
毎月やっているカフェ営業は、同居人と2人で回しています。労働時間は9時半過ぎから16時くらいまでで、ぎりぎり6時間くらいでしょうか。労働基準法に則るならばそれぞれ45分ずつ休憩を取るべきですが、2人で回しているうちの1人が休憩で抜けるって結構大変。特に役割を分担しているので、1人の間2人分こなすのはかなり大変。結局、お客さんが引いてラストオーダー終わって、片付けを始めるまでのあいだに15分くらい休憩するのが精一杯で、45分休むのなんて出来そうに無いです。可能性があるとすれば、仕込みと営業開始(11時半)の間にも15分くらい休憩を入れるくらいかなあ。それか、居酒屋と違ってカフェは多くの場合オーダーは1グループ1回だから、満席になってそのオーダーをこなしたらあとは片付けと精算くらいしかないので、そこで休み時間を見つけられるかも。もしアルバイトを雇うのであればもっと気にするけれど、自分たちだけだとちょっと甘えがちなんですよね。「それどころじゃない」っていうのが営業時間中の正直な気持ちだけど、それでも休憩時間が取れるように考えていきたいと思います。飲食店の「悪癖」に染まってはダメだと思うし。
結局どうしたらいいのか、はっきりとした結論は出ないけれど、でも引き続き考えていきたいと思います。この項続く。