居酒屋店長の過労死認定、スマホ記録で申請(TBS系(JNN)) – Yahoo!ニュース
大手居酒屋チェーンで仕事中に死亡した男性店長の遺族が、男性のスマートフォンの記録をもとに労災を申請していた問題で、労働基準監督署が過労死と認定したことがわかりました。
「いとこが過労死した」。そう題してインターネット上に漫画で描かれたこのケースが労災と認められました。
労災が認められたのは福岡市の「わらわら九大学研都市駅店」の店長だった53歳の男性です。男性は去年6月、1人で開店の準備中に、客席で倒れ、致死性不整脈で亡くなりました。遺族は去年12月、男性のスマートフォンの位置情報の記録をもとに長時間労働が原因だったとして、労災を申請。福岡中央労働基準監督署は長時間労働による過労と店長としての精神的負荷が認められるとして、今月7日付で労災を認定しました。
スマホ位置情報で労災申請 死亡店長の在店時間算出 :日本経済新聞
遺族代理人の松丸正弁護士によると、男性は昨年4月に他県の系列店からこの店舗に異動。6月22日、開店前の準備作業中に死亡した。死因は致死性不整脈だった。
スマホの記録からは、死亡するまでの少なくとも半年間は長時間店にいることが常態化。松丸弁護士は「職場にいれば何らかの業務を免れられず、勤務時間とみなせる」と指摘。時間外労働が過労死ラインとされる月80時間を上回る100時間前後に上る可能性があるとしている。
「時間外労働が過労死ラインとされる月80時間を上回る100時間前後に上る」という場合の「時間外労働」とは、シフトで決められた労働時間以外の時間という意味では無く、「週40時間」という「法定労働時間」を上回る労働時間ということですよね。当然ですけれども。だとすると、この男性の月間法定労働時間は1ヶ月が4.2週だとしておおよそ168時間であり、時間外労働が100時間と言うことは、月の労働時間は268時間であると言うことになります。まあ控えめに言ってむちゃくちゃです。
さて翻って僕の身近な飲食店の社員たちがどんな労働条件で働いているかと言いますと、「1日最大12時間労働・月6日休み」であります。すなわち月の労働時間はおおよそ290時間でありまして(平日を12時間週末を13時間として計算)、亡くなった男性よりも20時間多く働いています。去年までは月6日ではなく「週1日休み」であったので、労働時間はさらに多くて310時間。だからこの会社はブラックで違法なのだ……!
そう言いたいわけではなくてですね。
まあそうなんですけど、これはこの話に繋がってきます。
若い人の動ける時間を使い潰して経営していくビジネスモデルの破綻 | mutter
亡くなった男性は53歳とのことでした。身近な飲食店の場合は平均すると35歳くらいで、みんなまだ元気で健康にも(人によって体重や肝機能に問題がある人はいるものの)特に大きな問題はありません。でもそれがずっと続くわけではなくて、40歳を超えたあたりから人間の体は衰え始めるし、様々な病気を抱えるようになるし、無理が効かなくなってきます。必然的に、亡くなった男性のような心臓疾患や脳疾患も出てくるかも知れません。実際、料理長は心疾患で休業せざるを得なくなったわけですし。僕だって、これは会社のせいでは全くなく僕個人の働き方のせいですが、月250時間労働(時間外労働80時間相当)を続けた結果、脳血管疾患になってしまったわけですし。
飲食業界は空前の人手不足で、新しい人が来ない以上、そして求人の条件を上げられない以上、売上を上げるためには今いる人間を絞りきる必要があります。そしてそれは時限爆弾のように働く各社員の体の中に仕込まれることになります。不摂生な社員であれば40代半ばで何らかの疾病をもたらすことになるでしょう。おい社長、お前、それでいいのか?っていう話です。
飲食店の生産性をもっと上げるにはどうしたら良いんだろうと、日々考えているんですけど、基本的に薄利多売のビジネスモデルですし、正統なやり方ではなかなか難しいんですよね……以前いた斎場みたいに、客の来店が約束されていてかつ高いクオリティは求められておらず、さらにほっといても売上が見込めるような場所だったら、生産性を上げる手段はいくらでもあるんですけど、マジメにやっている店ほど難しい。僕はお世話になっている店のみんなが年取って早死にするような状況を避けたいのだけど、考える限り難しそうで……
いや、インチキじゃなかったとしても、もうちょっとなんとかならんのか。
飲食店の闇はホント深いです。
ほんと、なんとかならんのか。