​「ダメだった時の代替手段を用意しておく」と「ダメだったら困るから止めておく」はだいぶ違う

リスク


なんらかのリスクが予見される場合に、それをどう捉えるかによっていくつかのリスク回避の方法がありますが、例えばこの2つのパターンでは全く違います。

  1. ダメだった時の代替手段を用意しておく
  2. ダメだったら困るから止めておく


ある重要なポジションに臨時で経験の浅いスタッフを当てはめなければいけなくなったとします。1の考え方では「とりあえず経験の浅いスタッフで出来るところまでいって、もしダメだった場合にポジションチェンジ出来るようにしておく」という感じになりますが、2の考え方の場合には、1の考え方での「ダメだった場合」を最初から実施します。

リスクを回避することだけを目的にするのであれば、2の考え方を採用すれば十分です。でも経験の浅いスタッフもいずれ経験を積んだスタッフになってもらいたい。経験が浅いまま残すことは、長い目で見るとリスクを回避したことにはなりません。

そういうことを勘案すると、「これがダメだったらどうするか?」について考えておくことは非常に大事だとして、それに加えてその代替案をどのタイミングで投入するかを慎重に選ぶことが重要です。その選択を誤ると「リスクを回避したい」という気持ちは同じでも、得られるものがだいぶ変わってしまいます。


先日、職場で同じ状況があったとき、該当部署の責任者は1を、他部署の責任者は2を主張しました。結果的に1で上手く最後まで行けたのですが、責任者が1を選択する勇気を持っていればこそ、その部署では複数のスタッフがまんべんなく成長していけているという現状があります。良く言えば慎重、悪く言うとびびって安全策を採り続けていると結局あとでツケを払うことになる。必ずしもチャレンジすれば良いわけではなく、状況を見て適切に選ぶ必要はありますが、少なくともチャレンジ出来るときには積極的にチャレンジしていく、そういう気概と勇気がないと、チャレンジは出来ません。

リスク回避にだけ囚われると「視界の奥行き」が狭まって、適切な選択が出来なくなってしまいます。「リスクを回避するためにリスクを取る」というのは何とも矛盾した表現ですが、でもそういうことなんですよね。大事だと思っています。