最初にスパイス教室でインド料理を習ったときは、味付けが基本塩であるということを知って、驚きました。同時に、醤油や味噌や出汁や、さまざまな「旨味」を加える調味料を駆使する日本の料理の素晴らしさを感じ、どちらかというと塩を調味料として下に感じていました。塩なんか使わなくても、醤油で十分代用出来るじゃん、そもそも塩だけって飽きるんじゃないの?味の幅出るの?みたいな。
でもそのあと、スペイン料理を学んだり、和食の基本を学んだりして塩に対する考え方は変わりました。塩ってすげえ。
インドカレーを作っていて味が上手く決まらないとき、スパイスをあれこれ足し始めるとスパイスのラビリンスに迷い込むことになってしまいますが、案外小さじ1/2の塩で解決してしまうことがあります。
味がぼんやりしているなあとか、もう少し味をまとめたいとか思ったとき、もう少しコクが欲しいなあと思ったとき。
それ、塩で解決出来ます。
塩ってただしょっぱさを足すためだけのものではないのですね。塩自体にそういう味があると言うよりも、味のバランスを変えることで人間の味覚に作用するということなのでしょうけれど、いくら旨味だけあっても、それを引き立てる塩がないときちんと味として伝わらない。
もちろん様々な病気の原因になるので、塩分の摂り過ぎには十分な注意が必要ですが(特に日本人は塩分を取りすぎだと言われていますし)、忌避するだけではなくて、最適な量の塩を料理に使っていくことはとても大事だなあと最近は思っています。