ドキュメンタリー映画「千年の一滴 だし しょうゆ」を見てきました

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こんな映画があるんだよと紹介されてすごく興味があったのですが、前日まで激務で超疲れてて行けるかどうか……不安でしたが、何とか無事に起きて行けました。


そして結論から言うと、行って良かった。最高に面白い映画でした。





内容は、和食を支える「だし」と「しょうゆ」がどう作られ、どう使われているかの話。昆布、かつお節、しいたけ。しょうゆ、日本酒、和食、精進料理……1つ1つに長い歴史の積み重ねと丁寧な仕事があり、それらが見事に「和食」という1つの文化に集約していく様は、感動的ですらあります。特に、酒造りのための「もやし」が出来る様子や、それを使った麹造りの様子、「もやしや」の「品種改良」の様子は、今まで知りたいと思っていたけれど書籍でしか知ることが出来なかった部分であり、すべてのシーンが素晴らしかった。

また今自分が和食系の居酒屋で働いていると言うこともあり、「祇園川上」のご主人加藤宏幸さんの所作ひとつひとつに目が釘付けでした。出汁を引くための所作1つ1つが美しい。無駄なことは一切なくて、今日も明日も毎日最高の出汁を引くための動作が必要なだけ行われる様は、とても大事なことを教えてくれたような気がします。


上映後の舞台挨拶では、司会の方から和食ブームについての言及がありましたが、このドキュメンタリーで描かれているのは単純な和食に関することだけではなく、日本の食文化を根底から支えるもの、そのものです。祇園の割烹と比べてはいけませんが、出汁は同じようにラーメン店でも引かれているし、醤油を使わない家庭はないでしょう。もちろん家庭で使っている醤油は、澤井醤油のな醤油とは違うでしょうけれど、それを支えている発酵の仕組みや、その発酵を支える「もやし」の存在は変わりません。それらを考えるとき、日本全体にオリゼーが分布していることも自然なことに思えます(映画内では、オリゼーはフラバスを品種改良し有用なものを日本人が分離したという北本勝ひこ 東京大学教授の 説を採用していました)。これは、日本そのものであるとも言えるんじゃないでしょうか。


本作品は単館上映作品と言うことで、なかなか触れる機会がないかも知れませんが、オフィシャルサイトに上映スケジュールが掲載されていますので、興味を持たれた方は是非見に行って下さい。

日仏合作ドキュメンタリー『千年の一滴 だし しょうゆ』公式サイト

また、オフィシャルサイトでは自主上映会の受付も行っています。基本上映料は7万円(100人まで)。興味を持たれた方は、是非お問い合わせを。

『千年の一滴 だし しょうゆ』自主上映の募集・ご案内



ちなみに

個人的に漫画「もやしもん」(全13巻、石川雅之)を読んでからご覧になることをオススメします。「もやしもん」は菌が見えるという能力を持つ、農業大学1年沢木直保を主人公としたほのぼの発酵漫画です。日常ものという立て付けに反して、発酵に関する描写が深くかつわかりやすく、発酵について学ぶはじめの一歩としてこれ以上のものはありません。是非ご一読を。

ちなみに、「もやしもん」を読んでいると、北本先生のお話のシーンでクスッと出来ます。




ちなみに(その2)

「もやしもん」を読むにあたり、「水曜どうでしょう」の作品を視聴しておくとさらに楽しめること請け合いです。特にアメリカ編では、「アメリカ横断」を見ていないと意味がわからないギャグが満載です。


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まあ、別に試聴していなくても、「もやしもん」という作品を楽しむに当たって特に支障があるわけではないのですけれども、もし機会がありましたら是非。