【健康に関するメモ】第13回:醤油の製法の種類と原材料および安全性について

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「健康に関するメモ」シリーズについて

このシリーズは健康に関する話題、特に「根拠無く危機感を煽る」または「根拠無く安全性を訴える」ような話題について、科学的な情報を持ち根拠を提示できる人の意見を集め、可能な限り文献や論文、公的機関の報告書に目を通した上でまとめています。情報源としては正しさが疑われるページが多数あることは承知していますが、記述に出典元が付けられており出典元と合わせて合理的であると判断できる場合には、Wikipediaの記述を根拠として採用する場合もあります。

このシリーズの性質上いわゆる「トンデモ」や「似非科学」と言われている話題を扱うことが多くなりますが、始めからトンデモだと決めてかかるのでは無く、もちろん正しいと決めてかかるのでも無く、きちんとした根拠が揃うまでは出来るだけフラットに話題を捉えるよう心がけます。

ただ僕自身は専門の知識を持っているわけではありませんので、どう努力しても1ブロガーのメモ書きを越えるクオリティを保証することは出来ません。基本的には自分が考えるためのベースとしての資料集積でありますし、内容の正しさについて疑問に感じる部分があれば独自に調べることをオススメします。


第13回は、醤油について。


彼女の人がかねてから気になっていたこだわりの醤油を買うことにしたらしく、「自分の興味だから家計じゃなくて自腹で買うね」的な話をしていたのだけど、その話の流れで「一般的な醤油は本醸造じゃないし脱脂加工大豆入ってるし安全性に疑問がある」的な話になって、健康に興味がある人というのはどうしてこう「既存の食品」を敵視するのだろうか、そしてなぜきちんと調べないのだろうかとちょっとうんざり。

やあ、ブログで彼女の人の悪口を書きたいわけではないのだけど、基底部分にある「市販の製品が体に良いわけがない」的な概念ってのは、もう心の中にこびりつくようにしてあって取れないのだろうなあ。僕のようなニュートラルな人間から見ると、正直、強迫神経症じゃないのかなと思うときもある。醤油の話なんてほんとそう思う。


というわけで、少し調べてまとめました。


目次

  1. 醤油の製法の種類について
  2. 醤油の原材料
  3. まとめ
  4. 参考サイト




醤油の製法の種類について

醤油には次の3つの製法があります。

  • 本醸造
  • 混合醸造
  • 混合

「本醸造」はいわゆる昔ながらの作り方のこと。つまり、大豆と小麦を麹菌と酵母で醸して作る作り方です。6~8ヶ月掛かります。「混合醸造」は本醸造の諸味にアミノ酸液(タンパク質から化学的に作られたもの)を加え、熟成したもの。「混合」は諸味を絞った「生揚げ醤油」にアミノ酸液を加えただけのもの。「混合醸造」「混合」は本醸造に比べてかなりの短期間で製造できます。

戦後直後は「混合醸造」「混合」も多かったのですが、現在では製造される醤油の8割は「本醸造」であり、大手醤油メーカーの販売する醤油もその多くが「本醸造」となっており、パッケージにもそう記載されています。

本醸造

逆に本醸造でない醤油を探してみましたが、業務用のパック醤油を含めても「混合醸造」「混合」のものは店頭では見つけられませんでした。どんな価格帯で、どの辺に流通しているんでしょう……

このあたりのお話は「ReadMe!Girls!の日記」さんの記事がとても興味深かったです。面白い。

ReadMe!Girls!の日記・雑記: 混合醸造(新式醸造)とは何か
ReadMe!Girls!の日記・雑記: 醤油分布の謎をとく ~本醸造と混合醸造~ その1



醤油の原材料

醤油の原材料は、大豆、小麦、麹菌、塩などですが、大手メーカー製の醤油の原材料には「脱脂加工大豆」と言うものが使われています。これは言ってみれば「大豆油の絞りかす」であり、文字通り大豆から脂肪を取り除いた、タンパク質のことです。これに対して脂肪も含めたそのままの大豆のことを「丸大豆」と呼びます。

「脱脂加工大豆」を使うと熟成期間を短縮できる上、コスト面でもメリットがあるため、大量生産される醤油には「脱脂加工大豆」が使用されていることが多いですが、健康志向の消費者からは忌避されています。

「脱脂加工大豆」が嫌われる理由は、1つは「絞りかすの再利用である」ということ。コスト優先の原材料選びはあんまり好まれません。もうひとつは、油を絞るときに使われる有機溶媒「ヘキサン」の毒性です。特に「ヘキサン」の毒性は神経毒として知られているので不安視されることが多いようです。でも……「脱脂加工大豆」の製造過程で「ヘキサン」は検出不能なレベルまで除去されており、健康には影響を与えません。

「人工的な化学物質が使われている」と言う事実にアレルギー反応を示す人は存外に多いので、ある程度仕方の無いことかなとも思うのですけれど、科学的な事実として、「脱脂加工大豆」には毒性はなく、敢えて丸大豆との差を見出すのであれば熟成期間の相違による風味くらいでしょうか。品質(安全性など)には特に問題がありません。むしろ「脱脂加工大豆」の方が窒素が出やすく、美味しい醤油が出来やすいという話もあるくらいです。わからないものです。



まとめ

こだわりの蔵で作られたこだわりの醤油が美味しいことに関しては、議論を起こすつもりはありません。むしろ「美味しいだろうなあ」と思います。実際問題、色んな醤油を使いますけど、こだわりの醤油はほんとに美味しいですからねえ……冷や奴とか、卵かけご飯とか、醤油の味がダイレクトアタックな料理には大事なことでしょう。

一方で煮物とか、ある程度紛れる料理において、差を感じるのはかなり難しいはず。もちろんプロだったら解るのかも知れませんが……日常使用する醤油に関しては、こだわって高い醤油を買うよりかは、家計の予算に合った適当な醤油を買っておくのがベストなんじゃないかなとちょっと思います。

美味しい醤油は味わってみたいですけれど、普段使いの醤油は、大手メーカーのこいくちで十分すぎるよなーと思う次第です。



参考サイト

製造方式によるしょうゆの分類 | キッコーマン ホームページ
ReadMe!Girls!の日記・雑記: 混合醸造(新式醸造)とは何か
ReadMe!Girls!の日記・雑記: 醤油分布の謎をとく ~本醸造と混合醸造~ その1
生揚げ(きあげ)醤油を味わう|醤油ソムリエール 黒島慶子の醤油日記|職人醤油.com
脱脂加工大豆は悪者か?
ヘキサン – Wikipedia