ここまで2回、洗濯物が乾きやすい条件について「条件がある」とだけ書いて詳しく検討してきませんでした。それをもう少し掘り下げてみようと思います。いい加減しつこいかも知れませんけど、またまた気になることが出てきてしまったので。前回まで。
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洗濯物に限らずものが乾くというのはつまり含まれている水分が蒸発すると言うこと。風がなく気圧が安定しているような場所(例えば実験室内)においては、水分が蒸発しやすいかどうかは周囲の気温と湿度に左右されます。空気中に含めることが出来る水分量(飽和水蒸気量)は、気温によって決定されます。
飽和水蒸気量 – Wikipedia
今現在含まれている水分量と、この飽和水分量の差(水蒸気圧欠差)が大きければ大きいほど水分は蒸発しやすいと言うことが出来ます。
というわけで、前回調べた日付のうち、春夏秋冬それぞれの晴れの日についてこの水蒸気圧欠差を調べグラフを追加してみました。
1日の乾きやすさの遷移
春
夏
秋
冬
季節毎の乾きやすさの比較
まとめ:このグラフから解ること
- 夏の乾きやすさに比べると冬の乾きやすさは1/4程度でしかない
- どの季節も午後3時から午後4時ぐらいが乾きやすさのピーク。午後5時を過ぎると乾きやすさは急激に下がる
風の影響を考慮していなかったり、選択した日が平均気温に比べて特に暑かったり寒かったりした場合もあり(春と秋の気温の差が大きすぎるような)、正確なデータとはいきませんが、最後の図表を見れば「季節によって乾きやすさがどれくらい変わるのか」「1日の中でどの時間帯が一番乾きやすいのか」が把握出来るのではないかなと思います。
まとめ:これらの資料から解らないこと
論文ではなくて思いついたことだけを書いているので、抜けている視点がたくさんあります。一応それについても書いておきます。まず「乾きやすさ」に風の影響を含めていない。これは重要な視点ですが、日付を選ぶのがさらに難しくなるので、意識的に外しています。
次に「素材」を考慮していない。通気性の問題でもありますけど、素材によって乾きやすいもの、乾きにくいものがあります。それらは同じ気象条件でも乾き方が変わってきます。夏は生地が薄くて乾きやすいでしょうし、冬は生地が厚くて乾きにくいかも。それらは考慮していません。
最後に「吸湿」。ものが乾くことは水分の蒸発である、と上で書きましたが、実際には蒸発と吸湿の差が大きいときにものはよく乾きます。蒸発量を上回って吸湿してしまう場合にはものは逆に湿ります。「夜まで洗濯物を干すと逆に湿る」というのは蒸発量が下がって吸湿を下回ってしまうことを指しているのですが、肝心の吸湿に関しては指標がありません。そのため「どの時間以降は湿る」ということを具体的に言えず、「蒸発量のピークが過ぎたら取り込んだ方が良いのでは」という言い回しになっています。実際問題、風と干しているものの素材に関連してくるので、吸湿の指標なんて自力では出せないんですけど。
他にも抜けている視点はいくつかありますが、何か思いつき次第補完して行ければいいかなあ。どこかの研究機関とかでデータが落ちていると良いんですけど。
まあ別に洗剤の会社にいるわけじゃないんでそこまでやる必要は無いんですが(苦笑)
おまけ:計算式
あとで気付いたんですが気象庁のデータには「露点温度」と「蒸気圧」のデータもあるので、実は計算なんかしなくてももっと簡単に水蒸気圧欠差を求められた(飽和水蒸気圧から蒸気圧を引けば良い)のですが、まあせっかくなので書いておきます。飽和水蒸気圧
6.11 × 10^(7.5 × 気温 ÷ (気温 + 237.3))
水蒸気圧欠差
(1 - 湿度 ÷ 100) × 飽和水蒸気圧