大都市圏から出たことが無い人にはあまり実感出来ないと思いますが、地方道県では4大ネットワークに対応したテレビ局がそれぞれ1局ずつあるもんなんです(一部例外を除く/詳しくは記事下部の参考リンクを参照のこと)。
例えば静岡であれば、こんな具合。
- 日本テレビ系列 → 静岡第一テレビ
- TBS系列 → SBS(静岡放送)
- フジテレビ系列 → テレビ静岡
- テレビ朝日系列 → 静岡朝日テレビ
もちろん京都だってテレビ局はあるわけですけど、京都のというよりかは大阪の。
- 日本テレビ系列 → 読売テレビ
- TBS系列 → 毎日放送
- フジテレビ系列 → 関西テレビ
- テレビ朝日系列 → 朝日放送
違いは夕方のバラエティや、地方ニュースの距離感に出ます。
静岡の場合、4局で1県から話題を拾っていくことになるので、どうしてもネタの粒度が細かくなります。署名活動をするほどでもないけど地味に困ってるような事案とか、全国に報道するほどじゃないけどちょっぴり和む話題とかにもカメラを向けてくれたりします。通学路に横断歩道がないとかさ。田中さんちの農園で採れた大根が凄い大きさだとかさ。地元商店街で今年から祭りを企画して協賛を募集中だとかさ。
大阪のテレビ局にその精神がないとは思いませんが、やっぱりね、無理があるんですよね。2府4県全部をカバーするのは。独立局(京都だったらKBS)以外の系列局は必然的に「大阪の話題」と「その他1府4県の観光名所の紹介」という体裁になりがちです。「全国放送の関西版」という感じ。番組は面白いしクオリティも十分高いのですけど、やっぱり地方局には地方局の良さってのもあると思うんですよね。京都、兵庫はまだしも奈良や滋賀まで細かいネタを拾いには行かないでしょうし…
どちらにも良い点はあるのですけど、少なくとも地方の県にとっては地元に密着したテレビ局の存在が大事なこともあるよなーと思います。その県でなにが起きているか、どんな人がいるかを共有するために。でも京都で小さな話題を報道して欲しいと思ったら、現実的に考えて、京都新聞かKBSしかないわけです。和歌山とか栃木、群馬、茨城、三重、滋賀あたりもそうじゃないだろうか(茨城には独立局すらない)。
こうした府県は地方府県でありながら大都市圏に含まれているために、地元に目を向けるテレビ局が少ない。いや目を向けてらっしゃるかも知れないけど圧倒的に枠が足りない。それがなーちょっと寂しいところあるよね。例えば活気がない街を活性化させていこうというような場合、テレビ局の存在ってのはとっても大きいし。震災直後に茨城からSOSが出たのにはこれも関係があっただろうし。役割っていうものが確かにある。
今さら新しくテレビ局を作るなんて主に経済的な意味であり得ないので、そんなことは言っても現実を受け入れるしかないのですけど、経済的・人工的に衰退していく地方が増える中で、地方局という存在は今よりずっと大きくなっていくような気がしています。そんで、その地方局を持っている県と、大都市圏の境界部分に位置して地方局を持たない府県とでは変わるものがあるんじゃないのかなと。
「チャンネルはそのまま!」
これを思い出すきっかけになったのは、佐々木倫子さんがスピリッツで連載中の「チャンネルはそのまま!」。北海道の架空の放送局「北海道☆(ホシ)テレビ」(モデルはHTB?)を舞台にしたコメディでとっても面白いのですけど、その中でいろんな部署が北海道中からネタを拾い、地域に密着した放送を短いローカルの枠で一生懸命行っている、そのスタイルがどうも懐かしい。なんでかなあと思ったら、そうだ京都には地方局がKBSしかないからなんですよね。まだ熱心にテレビを見ていた大学1年生の頃、そんなことを感じてたことを思い出しました。
参考
日本のテレビジョン放送局 – Wikipediaテレビ局一覧表