過小評価/過大評価されやすいタイプ

ずっと以前に「将校の4つのタイプ」に関するハンス・フォン・ゼークト(第一次大戦頃のドイツの軍人)の台詞と言われる言葉を引用したことがありますが、同じようなセリフが第二次大戦寺のドイツ軍人(最終階級は元帥)、エーリッヒ・フォン・マンシュタインの言葉としても残っているらしいです。どちらが本当なのかはよくわかりませんが、前述のゼークトのものと言われるセリフよりも柔らかな表現になっていてより好感が持てます。


将校には4つのタイプがある。

  • 第一に、怠惰で無能なタイプ。これは放っておいても害にはならない。
  • 第二に、勤勉で有能なタイプ。このタイプはどんな細かいことでもきちんと分析する優秀な参謀になる。
  • 第三に、勤勉で無能なタイプ。このタイプがいちばん始末に負えないので、即座に除隊を命じなければならない。
  • 第四に有能で怠惰なタイプ。このタイプを最高の位につけるのがよい。


現実的には1人1タイプというわけではなく、状況によって違うタイプが顔を出す事はあるなぁと思っているのですが、ともあれ、このタイプによって評価が過小だったり過大だったりするなぁということをいつも感じています。



いちばん過小評価されがちなのは「有能で怠惰なタイプ」。こういうタイプを理解し上手く使いこなせる人というのが少ないですよね。確かに上役としてはたまに手を抜いてたり、時々ミスをしたりするようなタイプを信頼しきるのは難しいかも知れません。気持ちは理解できます。でもその辺は任せる裁量を調整せよ、ということなんですよね。こういうタイプにちょうど良いサイズの裁量を任せると大体において期待以上の成果をあげます…が、裁量が小さいとそれなりにしか働かないので、その成果=能力と見誤りがちです。本当は使用者の問題なんですけど。

逆に過大評価されがちなのは「勤勉で無能なタイプ」。努力している姿勢や真剣な態度を人に見せるのに長けていたり、口数が多かったり、声が大きかったりしますが、実際には見えている印象ほどは成果を残せていなかったりします。真面目であるが故に仕事を多めに引き受けようとしたり、見積もりが甘くて業務が破綻したりします。挙げ句の果てに「結果より手順の方が何倍も大事」などと言い出したり「失敗したけど頑張ったからOK」と言い出したりします。それはそれ、これはこれですよね。失敗は失敗です。手順も良くなかったんです。


こうしたことを踏まえつつそれぞれのキャラクターを把握してそれぞれにあった仕事の割り振りを行うというのは本当に大変です。「こいつはこういう奴だ」と決めてかかったら実は全然違って後々トラブルになる…名監督である陵南高校の田岡監督でさえそうしたミスを犯しているわけですしまぁ難しい。でも同時にそれが面白いところでもありますよね。思い込みで評価を下げてしまうことなく、かといって評価しすぎてしまうこともないように人を見るのはとても大事だと思っています。


ちょうど職場に少し評価が低いのではないかと思う「有能で怠惰なタイプ」の人間がいて、彼1人の存在で業務が円滑に回っている部分がとても大きいんだしもう少し評価してあげれば良いのにと思っていて、冒頭の4タイプの話を思い出したので書いてみました。

ちなみに自分は…「有能で怠惰なタイプ」でありたいなあと思っているのですけど…
そこまでの器はないでしょうねぇ…