健康に関して気になる情報について調べ可能な限り文献にも目を通した上でまとめます。始めからトンデモだと決めてかかるのでは無く、また正しいと決めるのでも無く、出来るだけフラットになるように心がけますが、なにぶんメモ書きであり内容の正しさを保証するものではありません。基本的にはWikipediaの情報を参考文献や他の検索結果を見つつメモし、考えるための資料を用意していく予定です。
第2回は「抗酸化物質」についてです。
目次
- 活性酸素とは
- 抗酸化物質とは
- 抗酸化物質のアンチエイジング効果について
- 人体における安全性について
活性酸素とは
抗酸化物質について書く前に活性酸素について知っておく必要があります。活性酸素(かっせいさんそ、英: reactive oxygen species)は、大気中に含まれる酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称である[1]。一般的にスーパーオキシドアニオンラジカル(通称スーパーオキシド)、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素の4種類とされる[1]。スーパーオキシドは酸素分子から生成される最初の還元体であり、他の活性酸素の前駆体であり、生体にとって重要な役割を持つ一酸化窒素と反応してその作用を消滅させる[2]。活性酸素の中でもヒドロキシルラジカルはきわめて反応性が高いラジカルであり、活性酸素による多くの生体損傷はヒドロキシルラジカルによるものとされている[3]。過酸化水素の反応性はそれほど高くなく、生体温度では安定しているが金属イオンや光により容易に分解してヒドロキシルラジカルを生成する[4]。
簡単に言うと体に害をなす化合物。酸素分子から出来ているのが特徴です。健康の話で活性酸素を語る場合はDNAを傷つけることに言及することが多いので、基本的にはヒドロキシルラジカルのことを指していると思われます。
活性酸素によってもたらされる生体リスクのことを「酸化ストレス」と言います。
抗酸化物質とは
抗酸化物質(こうさんかぶっしつ、antioxidant)とは、抗酸化剤とも呼ばれ、生体内、食品、日用品、工業原料において酸素が関与する有害な反応を減弱もしくは除去する物質の総称である。特に生物化学あるいは栄養学において、狭義には脂質の過酸化反応を抑制する物質を指し、広義にはさらに生体の酸化ストレスあるいは食品の変質の原因となる活性酸素種(酸素フリーラジカル、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン、過酸化水素等)を捕捉することによって無害化する反応に寄与する物質を含む[4]。この反応において、抗酸化物質自体は酸化されるため、抗酸化物質であるチオール、アスコルビン酸またはポリフェノール類は、しばしば還元剤として作用する[5]。
基本的には物質の「酸化」を防ぐための物質のこと。酸化防止剤や還元剤など。これを拡張して酸化ストレスの元となる活性酸素を捕捉し無害化する物質のことも抗酸化物質と呼びます。具体的な例としては、ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン、BHAなど。痛風の原因として敵視されることの多い尿酸も強力な抗酸化物質の1つです。
活性酸素によって引き起こされる酸化ストレスは様々な疾患のリスクを上げる可能性が指摘されています。ただ個々の疾患の原因となるかどうかについては報告数が膨大で文献も多いため、すべてが正しいのかそれとも間違ったことも記述されているのかについては僕にはよく分かりませんでした。
抗酸化物質のアンチエイジング効果について
アンチエイジングについてはWikipediaではこういう表記。果物と野菜の多い食事では抗酸化物質が多く摂取されることにより健康を増進させ老化の影響を減らすとされるが、抗酸化ビタミンの補給は老化作用に対して検知できるような効果は無いため、果物と野菜の効果はその抗酸化物質の含有量とは関係が無いかもしれない[191][192][193]。その理由として、ポリフェノールやビタミンEのような抗酸化分子はその他の代謝過程を変化させ、それらの変化の方が抗酸化物質の栄養素としての重要性の真の理由である、という可能性がある[145][194]。
線虫での研究では、適度な酸化ストレスは活性酸素種への防御反応を誘導することによって寿命を延ばすことさえ示唆されている[195]。この、寿命が延びるのは酸化ストレスの増加が原因であるという示唆は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)での結果と矛盾する[196]。この矛盾について哺乳類ではさらに曖昧である[197][198][199]。それでもやはり、抗酸化物質の栄養補助食品がヒトの寿命を延ばしているようには見えない[200][201]。
酸化ストレスを軽減することで寿命を延ばすという研究はある(ただし出芽酵母)ものの、適度に酸化ストレスがある方が寿命を延ばすという研究もあり(ただし線虫)、ほ乳類ましてやヒトへの影響は不明。個人的にはファンタジーとしては追いがいのある夢だとは思います。卑弥呼始め古代から人は不老不死を追い求めてきたわけですし。
活性酸素の項目にも言及があります。
従来、活性酸素を老化の有力な原因の一つとするのが定説であったが、2005年7月、東京大学食品工学研究室の染谷慎一をはじめとする東京大学・ウィスコンシン大学・フロリダ大学の共同研究チームは活性酸素は老化に関与していないとする研究結果を発表した。
この研究結果がどんな位置づけなのかはわかりませんが、こういう発表もあります。
非アルコール性脂肪性肝疾患で酸化ストレスによるテロメア短縮を確認:日経メディカル オンライン
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の肝細胞では、強い酸化ストレスがテロメアの短縮に関わり、細胞老化によって肝再生能も低下していることがわかった。「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における酸化ストレスと細胞老化」と題して、京都府立医大大学院消化器病態制御学の中島智樹氏らの研究グループがDDW-Japanで発表した。
研究の検証までは僕には出来ないので、それぞれの研究結果を信じるしかないのですがこれらを並べてみるに、すべての細胞について「老化を防止する」という便利な存在、というわけではないのかもしれません。
人体における安全性について
一部の脂溶性抗酸化物質についてはその毒性(および多分影響は無いという)指摘がされています。延々Wikipediaですが、なんか無駄に詳しいので正しい気がしています。そうやってヒトは騙されるんでしょうけれども。丁子油に主に含まれるオイゲノールのような脂溶性の抗酸化物質は毒性用量を持ち、特に希釈していない精油(原液)を誤用することによって毒性用量を超えて摂取してしまう[213]。アスコルビン酸のような水溶性抗酸化物質は余分な用量は尿として速やかに体外排出される。そのため毒性が発現する懸念は相対的に低い[214]。
実際のところ、いくつかの抗酸化物質では高濃度で摂取することにより有害な長期的影響をもたらす可能性のものがある。(いずれも脂溶性である)肺癌患者におけるβ-カロテンとレチノールの有効性試験(CARET)の研究では、喫煙者にβ-カロテンとビタミンAを含むサプリメントを与えたところ、肺癌の速度が増大するという結果が見られた[215]。後に行われた研究でもそれらの作用が確認されている[216]。
(中略)
ビタミンEの摂取により死亡率が増加すると、ジョンホプキンス医大が報告している[220]のに対して、コクラン共同研究チームは、大腸癌に対する抗酸化物質の一次予防効果検証および二次予防効果検証では「ベータカロテン、 ビタミンA、ビタミンC (アスコルビン酸)、ビタミンE、およびセレンは大腸癌に対する一次予防効果検証および二次予防効果検証の結果、確証は得られなかった。」と述べている[221]。
また肺がんについてのSU.VI.MAXメタアナリシス検証では「抗酸化物質はすべての死因に対し関連性を持たない。」と述べられているし[222][223]、Southern California Evidence-Based Practice Center の報告では「(幾つかの癌で結果がえられたが)再検証が必要である。」と結論付けている[224]。
全体として、抗酸化物質のサプリメントについて行われた臨床試験の多くは健康に影響が無いか、高齢者または影響を受けやすい人の死亡率をやや高めているかのどちらかを示唆している[225][226][217]。
研究中だけどサプリメントに使うような抗酸化物質は有害じゃ無いから大丈夫、くらいですかね?
その他長いので省略しますが、研究を眺めた感じでは効果範囲が広すぎて人間に有用なものだけを取り出すのは困難という感じが見えます。始めの定義に戻って考えれば、抗酸化物質は酸化還元作用全般に影響力を及ぼすわけで、特定の悪性因子(例えばがん細胞)に対して有効であったとしても、そのことが他の良性因子(例えば赤血球)に対して無害であることを示すものでは無いと思えます(化学療法を阻害する可能性の指摘など)。
まとめ
抗酸化物質が活性酸素の酸化ストレスを低減するという点においては有効に働いていることが解ってきました。ただ物質である以上、それだけが性質と言うことはなく、付随して様々な影響を人体に与えることも解ってきています。必ずしもメリットばかりではないと。きっとこれから良い効果も悪い効果もまたいろいろ解ってくる分野なんでしょう。個人的には抗酸化物質を意識せず生活することで良い効果を得られないというリスクと、抗酸化物質を意識して生活することで悪い効果を得てしまうリスクとは、スパッと割り切れるものでは無いように感じました。ある部分で傷つけ、ある部分で補修する、そうした生態系/生体系の一部分を取り出して効果の有る無しを論じてみても仕方が無いのかなぁと感じます。