「Early Adopter」とコバンザメ。

先日からのFacebookやろうぜ的な話に付随して周りで見ている人たちが、「金の臭いがして嫌らしい」と話をしているのをよく見かけるのだけど、無理もないなぁと思う。

今や、それがなんであれ、誰もが「儲け話のネタ」として「Webで流行りそうなもの」を必死で探しており、ひとたび流れが形成し始めるとそこに現金が落ちているとでも言うかのように一斉にその船に乗っていく。
「流行り廃り」と「勝ち馬主義」は昔からあったことではあるけれど、Webを通してここまで明確に視覚化されてしまうと本当に品がない。ないのだけど、品があっても金が無くちゃ始まらないのでそんなことを考えてる人はいない。

そもそも「Facebookの流行りはうさんくさい」と言う会話をTwitter上でしている人たちが、Twitterを触らない人たちから「うさんくさい」と思われているのは、何か手の込んだジョークなのだろうか。

世の中そんなもんである。



今回のFacebookの件は、amachangはまちちゃんHolyGrailさんから始まったと言われている。
僕はHolyGrailさんはあんまりよく知らない(はてなユーザーとして知ってはいた)けれども、amachangとはまちちゃんについては文章をいくつか読んでいて、色んなことをおもしろがれる人たちだという印象がある。

最近あまり見かけない界隈に「ブロガー企画」を推進していた人たちがいるけれども、その一団に比べるとビジネス的な臭いはあまりしない。もちろん結果的にお金になれば嬉しいのだろうけど、良いとか悪いとかではなくて生きている上での方向性がそういうことじゃないだろうなぁと思っている。

まぁだから、彼らは純粋にこれ使ってみたら面白くね?っていう発想から始まっているんだろうなぁと思ったし、僕個人は「技術者の中で流行が起きたから」ではなくて、それが「amachangとはまちちゃんだったから」という理由で休眠状態だったFacebookアカウントにもう一回電源を入れた。何が起きるか見たかったからね。



んじゃ、なんで「金の臭いがする」に「無理もない」と思うのかというと、さっきの話に戻る。
流行が視覚化されている時代では、色んな人たちが影響力のある人たちを「監視」している。1人の「Early Adopter」の周りには複数のコバンザメが泳いでいて、その「Early Adopter」が注目したものを残らず触っていく。そのコバンザメは、Webメディアであったリライターであったりコンサルタントだったり色々なのだけど、彼らはそうすることで自らの価値を得ていて、さらに多くの人たち(例えば相互フォローを求めてる人とか)がそのコバンザメに影響されていく。

だからどのタイミングであっても「Early Adopter」が明確になった流行には常に金の臭いが、正確には金の臭いを追うコバンザメの影がちらつくものだし、今回の場合、あまりにあからさまな流行の立ち上がりの前に、普段ならきちんと照明の陰に隠れているはずのコバンザメがついうっかり照明の前を横切ってしまっただけだ。

見えたときにだけいるのではなくて、常にそれはそこにいる。



稀にその対象に命を預けてしまって猛烈にポジションを築いてる人もいるけれども(例えばセカンドライフとか)、そういう人は基本的に「Early Adopter」ではなくて「Early Adopter」のネタで食ってる人たちなのだよな。

つまり、コバンザメの人たち。

金の臭いがして当然で、だって彼らはそれが無くなったらご飯食べられなくなってしまうのだから。流行ってくれないと困るし、ついでにいうとちょうど良いところで廃れて次のものに移ってくれないと困る。利益を回収するまでは潰れてしまっては困るし、永遠に続く流行では新刊を出すタイミングがないしね。

そういうのは「流行」に付随する現実の一部ではあるけれども、その「流行」そのものじゃない。金の臭いがしようがしまいが、(自分がコバンザメでない限り)そんなことはどうだっていい話なんじゃないのかな。熱狂する必要はないけど、将来を予想して当たれば賞金が出るわけでも無し、興味がなければ流してればいいだけの話だよね。誰も損してないんだから、本質的にはエルシャダイ程度のことだと思うんだけどな。


もし、企業なら。

企業ならコストが掛からない範囲でとっかかりを作っておけば別に良いんじゃないか。
僕だって今後どこまで行くか全然見えない。1週間後に元通りに戻る可能性も十分あると思う。

早く始めれば有名にはなるけどそれで本業が儲かったりはしないよ。最後には質の良い使い方をしたところだけが儲かるんで、そのことは早く始めることと必ずしも同義じゃない。「先行者利益」は「先行者であること」だけが利益の要因じゃないよ。ひっくり返したこともひっくり返されたこともあるから、よく知ってる。

そういうのはTwitterでも、もう十分に証明されたんじゃないかな。