「テレビ放送」はフリービジネスモデルの先駆けだと思うんだぜ


インターネットの登場を契機として、「フリービジネスモデル」(商品を無料で配布し広告などで儲けるビジネスモデル)とか「フリーミアム」(機能を限定した無料版でユーザーを集めてフル機能の有償版で儲けるモデル)とか注目されていますが、よくよく考えるとテレビ放送って要するにフリーモデルなんじゃね?とか思うわけです。


法律的な話をすると、テレビを視聴する=NHKに受信料を払う、なので、必ずしも無料と言うことではないのですが、実際問題として、テレビを見ることに使用料を感じている人がどれくらいいるかというと…いないですよね。多分。

帰宅してテレビのスイッチを入れて、ああこれでNHKにいくら払うんだ、とか人は思わないですし、普通は電気代を除けば無料で得られるエンターテイメント(もしくはニュース、教養)がテレビだと思っていると思うのです。
(というわけでこのエントリーでは受信料は考えないこととします)



どれか特定のテレビ局と言うことではなくて、CS放送を含めた「テレビ放送」を利用した媒体のビジネスモデルは、基本的には「フリービジネスモデル」か「フリーミアム」のどちらかです。

例えば既存の民放テレビ局の場合には「フリービジネスモデル」。視聴率を公表することによって、自媒体にどれだけ広告効果があるかをPRし、その広告効果が欲しいスポンサーがお金を出して広告枠を買う。それで得た資金でまた番組を作成し、視聴率獲得に努める。民放テレビ局のビジネスモデルはこれにつきるでしょう。これってまんまGoogleですよね。

一方でCS放送(例えばスカパー!)の場合、基本的には有料サービスです。ただし、期間限定や無料チャンネル・番組で「お試し」してもらい、その上で有料会員になってもらうという流れです。


「フリーミアム」については民放テレビ局、NHK双方であります。例えば、アニメの制作委員会システムなんかフリーミアムですよね。本編は無料で閲覧OK、それで得たユーザーにDVDや関連商品を買ってもらうというビジネスモデルです。

NHKでいうと、「今日の料理」なんかそうじゃないでしょうか。「語学講座」なんかもそうかもしれませんね。本編は無償で閲覧させて、それらをまとめつつより充実させたテキストを販売することで収益を上げるわけです。NHKの雑誌販売は局全体の予算から見たらわずかだとは思いますが、番組単位での収支で言えば十分に採算が取れているような気がします。もともと作りは簡素ですしね。



で、まぁ専門家じゃないのでこの「思うんだぜ」という気づきの先に何かがあるわけではないんですが、今もてはやされている(もしくは流行している)ビジネスモデルの先にはテレビ局の現在の姿があり、また、テレビ局の苦境の打開には、現在流行しているビジネスモデルの応用が有効ではないかと思ったりします。

テレビ局の「フリービジネスモデル」が上手くいかなくなった原因は、要するに、構成の問題ですよね。見た人の数が収入に繋がらないとか、そもそも見る人が減るとか。暇な時間の奪い合いに負けているとか。

「フリービジネスモデル」が成功した裏にはどんなマーケティング理論があり、どんな質の/タイプの商品を用意して客を集めたのか?そんなところはテレビ局のビジネスモデルともの凄くマッチする話題だと思うんですけど、あんまりそれに載ったような商売の話って聞こえてこなくて、「商売厳しいらしいよ」「人件費が高すぎるみたいね」的なニュースしか聞こえないんですよねぇ。あんまり儲ける気がないんでしょうか。



歴史上、こんなに成功した「フリービジネスモデル」は他にないと思うのに、それがコンパクトに活用できるようになった現代において、逆に衰退してしまうのは皮肉というか、なんとも不思議な感じがします。

電波を格安で独占使用できてる(アメリカみたいに入札で決めるとかもないんだし)時点で、ビジネス的に超有利なはずなんですけどねぇ。