【読書感想文】 田宮俊作 / 田宮模型をつくった人々



本を読んではいるんですがなかなか感想文を書く気になれず溜まる一方。
何となく気が向いたので最近読んだ田宮模型の本を。


「田宮模型」(現・株式会社タミヤ。以下便宜上、田宮模型と記述します)は静岡出身の僕にとってはもの凄く身近な存在でありまして、折しも僕が小学生の頃はちょうどミニ四駆の第一次ブームどんぴしゃの頃。小学何年生の時だったか、社会科見学で田宮模型の見学に行き、お土産にミニ四駆をいただいたのは今でも良い思い出です。


しかし「身近な存在」と書いた割には模型もしくはプラモデルとしては実はあんまり接点がありませんでした。僕も一時期プラモデルにはまったことがあり、近所の文房具屋の2階にあったプラモデル専門コーナーに通い詰めていましたが、僕にとってはプラモデルといえばすなわち「ガンプラ」のことであって、田宮のミリタリー・シリーズなどは少し難しいという印象があり、従兄弟の家に飾ってあった、綺麗に塗装された戦車を眺める程度でした。今思うとなんともったいない。

そういうわけで田宮模型のプラモデルが凄く格好いいことと、どうやら有名であることは知っていたのですが、田宮模型自体については全く知らず、どこかでこの本を見かけたときにそのことにはたと気づいて残念に思ったので読んでみることに。



読んでみての感想は……

苦労してるんだなぁ。。と。



「田宮模型」の創業

先代創業者からの田宮模型の歴史は、元々は運送業だったのが車の徴発と静岡大空襲で全てを失って製材業に転進→今度は漏電で火事が起きほとんどを焼く→残った機材で木製模型を始める→品質が評価されたところでプラスチックモデル到来。そのつど、努力とこだわりで評価され道を開いてきた様は、なんかもう正しい日本人という感じでちょっと胸が熱くなります。



でもタミヤの凄いところは、ただ作ってただけじゃないところ。

田宮模型が品質や技術など以外に他の企業と違っているところは例えば。

  • かなり早い時期から積極的に海外の市場にコミットしていた
  • 本社機能を静岡から移転する気がない

もしかしたら、この本の著者であり二代目、現在の会長である田宮俊作さん個人の意志によるものかも知れないけれども、早い段階から海外への出荷を積極的に行った上、それぞれの国に支店を出すのではなく1国1社の代理店契約でもって自社のリスクを最低限に抑えるなど、品質とビジネスとがきちんと両立していることに驚きます。

昨今よく言われる「ものづくり」には、ビジネスで圧倒的に負けているために品質を主張するしかないというスタイルが垣間見えますが(値段で負けても品質で勝つ的な)、良いものは売れるし実際に売ってみせるという姿勢がただの「ものづくり」とは随分違います。金を儲けることが最終目標ではないですが、品質の確保には金が必要だと言うことなんですよね。日本じゃあんまり受けの良くない考え方だけど、大事なことだと思います。


で、それだけの実力・実績があるから、静岡を動かずに戦える、と。「今やネットワークが発達したから会社なんかどこにあっても同じ」というのはそうでもありそうでないところもありで、実際の話、金が一番動くのは東京で、人が一番たくさんいるのも東京で、商談するには東京に拠点がないと始まらんというのが現実です。だからある程度の規模の規模の企業は本社機能を東京に移すし、仮に移せなくても事務機能を持ったりする。営業は東京、開発は地方とか。営業は東京、販売はwebでとか。

んが、タミヤは全機能が静岡にあるんですね。

株式会社タミヤ・会社概要

いやいや事務所くらいあるでしょと思ったんですけど、無いんですよね。あるのはオフィシャルショップである「タミヤ プラモデルファクトリー」だけ(横浜と新橋)。営業部の営業課、広報宣伝課、催事課、国際部も全部本社のある静岡に。うーむ。



webもきっちりやってます。

さらに本を読んだあとにタミヤのサイトを訪れて驚いたんだけど、webもきっちり作り込まれてるのね。

★★TAMIYA INC. 株式会社タミヤ

タミヤの財産である製品ラインナップは、過去のものや限定品も含めて数多く展示されているし、直販でも買えます。

★★TAMIYA SHOP

送料が気になる人向けには、取扱店を全店検索できるというきめ細かさ。

販売店ガイド

取り扱い製品の種類や、レースコースの有無なども記載されてます。


トピックスはJoomla!で設計されていてRSSも配信されてますし、

News&Topics

子供向け「ジュニアニュース」はPDFで閲覧可能です。

ジュニアニュース 1/ 5


ここまできっちり作るのってなかなか出来ないよなぁ…
学ぶところ多すぎ。



あらゆる点において、素直に感服いたしました。参った。



興味を持たれた方は是非一度読んでみてください。
幸い、Amazonマーケットプレイスでは激安価格で販売されています。




あ、久々にプラモデル作りたいなぁ…
もうニッパーも接着剤もないけど。もちろん塗装もできないけど。

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