「大半の同人作家は儲かってない」のは事実です。しかし、その事実をもって「だからあなたが同人誌書いても儲からないよ」というのは違うと思うのです。
現に、この数字が正しいとすれば、同人作家のうち20人に1人は年間20万以上儲けているわけです。同人誌の作り手が何万人といることを考えれば、20人に1人って結構多い数字じゃないでしょうか?
引用部分では統計学などと言ってますが、統計から読み取れるのは傾向であって、真理ではありません。統計では測れないイレギュラーの存在を忘れてはいけない(というか、一定の割合で成功者が出るのはむしろ必然と言える)。
「ラノベの電撃小説大賞には4000人以上応募者がいて、入選するのは10人以下。だから君が応募したって通るわけないよ」というのが間違いであるのと同じです。
「通るわけない」のではなくて、「通るのは非常に難しい(しかし不可能ではない)」なのです。
このエントリの前提
- 儲けを目的とすることの是非については議論しない。
- 儲かる可能性が重要かどうかについても議論しない。
- あるカテゴリを「儲かる」と判断するためにはプレイヤーの大多数が十分な利益を出しているか、利益を出すのが容易であることが必要であると考える。
- 「同人」に「儲け」という単語がそぐわないことを理解した上で敢えて金銭面から考える。
エントリのタイトルは、「「同人誌は儲からない」のウソ」となっているのだけど、一通り読んだ率直な感想は「可能性」の問題とかじゃなくて、ああやっぱり儲からないんだねーっていう。
「このエントリの前提」の3番目にも書いたけど、儲かるってのはさー黒字が出るってことなわけ?と思うのね。
年間20万円の利益は儲かっているのか
その辺の認識は色んな人の間で違うとは思うんだけど「同人」という世界に全く関与していない自分から見れば、一般的な「儲かる」ってのはそれを目的にしてやっていけることのことを指すのだと思うんですよね。「同人」なんだからそれで食うわけではないのは当然だとしても、それをやることによって金銭的利益を計算できる場合に儲かると言えるんだろうと。「一部サークルは儲かっている」という記述があるけれども、
そんなの全然多くないよね。金額だって十分じゃない。が・・・前も統計学でお話しましたけど、大半のサークルがコミケの売り上げ100部以下です(コミケカタログアンケート)年間通して赤字、あるいはトントンの収支がほとんどであるのに対して、所得申告が必要な20万円以上の黒字が出るサークルは5%。
「大半の同人作家は儲かってない」のは事実です。しかし、その事実をもって「だからあなたが同人誌書いても儲からないよ」というのは違うと思うのです。
現に、この数字が正しいとすれば、同人作家のうち20人に1人は年間20万以上儲けているわけです。同人誌の作り手が何万人といることを考えれば、20人に1人って結構多い数字じゃないでしょうか?
仮に儲かっているサークルが全て個人だとしても、20人に1人が年間に20万「しか」儲けられない。しかも多分、人件費は自分で働くからタダとかそんな計算で出したいわゆる「粗利」でしょ?年間粗利20万円って儲けとして十分だと思う?そんなの、社会的に言えば鼻くそみたいなもんですよ。しかも、それが20人に1人だけ。その数が多いという発想自体が「儲からない」という発想を基盤にしないと出てきません。それで成り立ってる商売なんか無いです。しかもそれ、id:ex_hmmtの指摘で気が付いたけど本文中では「サークル」ってなってますね。サークルがどんな規模で作られてるのか僕はよく知らないんですが、2人なら10万、5人なら4万、10人なら2万。「儲かる」っつーのはそんなレベルの話じゃないですよ。「儲かる」ってのは最後にお金が残ることを言うんじゃないです。おつりの話じゃないんですよ。
カテゴリとして「儲かる」「可能性がある」というのはバズワードを餌にしたマーケティングと同じ
僕は完全部外者なので、「儲けるな」とか「儲けを目指すな」とか全然思わないし、トライしてみるのは別に良いことだと思うけれども、でもカテゴリとしては「儲かっていない」。なぜなら大多数のプレイヤーが儲かっていないから。年間20万までレベルを下げてもたかだか5%しかいない。これを「儲からないというのは嘘」なぜなら「儲かってる人もいる」「つまり可能性があるから」なんて強弁するのは、殆どセカンドライフのマーケティングと同レベルですよ。儲かったところで20万そこそこじゃあ期待値が社会的に見て十分に低いんだから、それは「儲からない」んです。馬鹿「twitterやtumblrで爆発的な口コミをするから企業でもプロモーションで使いましょう」: 切込隊長BLOG(ブログ) Lead‐off man’s Blog
儲かるかどうかを口にするってのは、そういうことなんですよ。
ちなみに…僕は同人の世界とは全く縁がない人間ですが、儲けてようが儲けていなかろうが、自分の信じる領域に自分のエネルギーを注いでる人たちをリスペクトしてます。それが今後死ぬまで自分が関わらないであろうジャンルだとしても(笑)、それは素晴らしい事じゃないですかね?その対価に金銭を求めるかどうかというのはオマケみたいなもんだし、属人的な問題だと思います。
同人に限らず、様々な仕事ってのはそういう部分があってそれが大事だと思って日々働いてます。
はい。
追記
何度も読み返して何か変だなと思ってたんだけど、そうだよね、適当すぎるよね。なんかさー用語の設定がブレブレで何言いたいんだか自分でわからん。やー既存の議論の流れで書きたくなかったってのはあって、「儲け」「儲け」って言ってるその「儲け」に違和感を感じて書いたってことなんだけど、ならそれ焦点にして書けば良かったんじゃないかっていう。「あれほど自分が詳しくない分野について感想を真面目に書こうとするなと言っておいただろう」と自分にたしなめられた。慣れないことはするもんじゃない。うーむ。まぁ書き直す気力もないのでとりあえず放置で。
追記(その2)
もうちょっと追記。「儲け」の定義の差異が、話の行き違いの問題なんだろうなと思ったっていう話なんだよね、結局の所。趣味で20万なら儲かってるんじゃね?という意見もあって、まぁ確かに1ヶ月15,000円の臨時収入っていったらその辺のアフリエイトより全然儲かってるんだけど、でもなんかえばれる儲けじゃなくね?夏冬のスペース代2回分(実費10,000円×2くらいとのこと)出して、参加者4人として頭数で割ったら1人45,000円。で、交通費他(みんなが東京在住じゃないしね)出したら実入り30,000円とか?1ヶ月割りで2,500円なのよね(もちろん全部想像の上の設定ですが)。年20万でもやっぱり純利は鼻くそレベルじゃないかと。
収支黒か赤かで言えば黒だけども、そのくらいのレベルまでなっちゃうと趣味としても「赤じゃない」くらいの意味しかないだろうなと。もちろん、自分でDJイベントやってるんで「赤を出さないこと」がどれくらい大変なことかはよく解ってて(赤じゃないことなんかないっす…)、そういう意味で赤じゃなかったら「儲け」と考えちゃって良いんじゃないだろうかってのは理解できるんだけども、でもそれはあなただって儲かるかも知れない!とか書いちゃうような「儲け」とは意味違うよねっていう話。この原価だったら絶対儲かるだろJKとか書けちゃうような“美味しい”現実も、ここにはないなぁと思うわけで、そういう何かを補償するような「儲け」とか、ビジネス成り立つような「儲け」とか、そういうのはやっぱり同人にはないんだよなーと。