からいはうまい―アジア突撃極辛紀行 韓国・チベット・遠野・信州編 椎名 誠 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
椎名さんによる【辛い】をキーワードにした各地の食文化を紹介した本。
舞台は、韓国、チベット、岩手、長野。
登場する辛味は唐辛子、山葵、辛味大根。
辛い物好きにはたまらないw
文中、チベット人が唐辛子は全然平気なのにわさびが食べられないっていう話が出てくる。
確かにそういえば同じ『辛い』でも、唐辛子とわさびとカラシじゃ全然違うな…
僕ら日本人は言ってみれば“雑食”(中国人ほどじゃないけど)なので、
どれも有りだと認識してるけど、国によっては僕らが同じ辛いと言ってるものでも、
なんんじゃこりゃーとなるのもうなずけるかも。
日本語の語彙から考えたら違う形容詞当てはめても良いくらいなのに、
いつも全然区別して無くて確かにこれは不思議だ。
食べるときは結構きっぱりと分けてるのにね。
(寿司にカラシ塗るヤツはいないもんな)
ここ1年くらい毎月インド料理を習いに行ってる僕としては、
やっぱりここにもうひとつ、インドのスパイス的な辛味を加えて欲しかったかなーと思う。
インドの辛味で思いつくのはもちろんチリパウダーなんだけど、
結構唐辛子系の料理って韓国料理とかもそうだけど、
辛味の風味が結局どれも同じになりがちじゃない?
(いや韓国人には辛味の味わい分けが出来るのかもしれないけど僕らはそこまで鋭敏じゃないし)
インド料理やタイ、ベトナム料理…いわゆる『アジア料理』は、
スパイスの種類が半端じゃなく多いこともあって辛味の風味がもう少し奥深い。
香りも違えば後味も違うし、インド人は一方で甘いものが好きって言う面もあるし、
インド、特に南インドでは味の中の1つとしての辛味みたいなことが分かるんじゃないか…
…とここまで書いて思い出したけど、そういえば『インドでわしも考えた』っていう本もあったなー
当時は椎名さんも若かったし(1988年…20年前)、
インドは今よりずっと貧しくて今とは違う意味でカオスだったろうし、
また違うだろうけど。
まぁ何にせよ、世界に多くの辛味があり、
それぞれの料理(韓国料理屋チベット料理)における辛味の利用法も色々あり、
またそれに付随して様々な文化があるんだなぁ、ってのがよく分かった。
わさび生産日本一は静岡っていう表記があるけど、そうだったんだ。
どうりで普通にわさび漬けをよく食ってたわけだ。
小皿に醤油を少し落として、箸でわさび漬けを少しつまんで醤油をちょっと付けて、
熱々のごはんに乗っけて食べる…美味いんだなぁこれが。
そうか、全く意識してなかったけどアレもやっぱりそういう文化の1つなんだなー
ちなみにタイトルはもちろん、小泉武夫さんの『くさいはうまい』。
巻末には、その小泉さんを塾長に招いて世界の辛味に関する講義と、
ディスカッションが行われてます。これが凄く興味深い。
世界地図と、各地の辛味の図表が出てくるんだけど、これだけでも十分面白い。
唐辛子わさびカラシの他には、コショウとか生姜とか。世界に色々あるんだなぁ。
小泉武夫さんの本一覧を見るとなんか凄く魅力的なラインナップ。
『くさいはうまい』は以前買おうしたときは品切れだったけど、
今は在庫あるみたいだし、次のタイミングで買うことにしよう。
あ、『香辛料の民族学』(吉田よし子著)もね。