Number666号

いい加減しつこいので、一連のNumberに対する言及もコレにて最終回の予定で。

11/16に発売になった、最新号666号。
テーマは、『越境』。

国境を越えて、海外に挑戦し続ける選手、ライターなどにスポットライトを当て、
日本の外で活動することとはどんなことなのか、を描いている。

正直まだ、1/3くらいしか読んでないのだけど…これはいい。


例えば、巻頭のコラムが、杉山茂樹だというのが、
もうなんというか、これ以上の人選があるだろうか?と思うほどぴったり。

同郷であるというだけではなく(もちろん知人ではない)、
年間200日間以上を海外で過ごし、
日数に匹敵するような数のサッカーの試合を見続けている彼は、
ある意味で、僕の憧れでもある。
『サッカーの試合を見続ける』という点においてもそうだけれども、
それ以上に、多くのものを見続けている(そしてそれを書いている)という、
行動そのものが僕は好きだ。
(というか文章を読み始めて、うわ、久しぶり!と思って名前を確認してしまった。
本誌で記事が載ることは最近あんまり無い。
でも、文章を読めば分かるくらい、好きなんだなぁ)


その他、自分自身も23歳の時にアジアを旅し、同時に、
同じくアジアを旅する日本人達を見続けてきた、小林紀晴。

僕らが感じるよりもずっと遙かに軽やかに、様々なチームを渡り歩き、
『サッカーをしたい』という軸が全くぶれない男、三浦知良。

同じ年齢でアメリカに渡ることになる、
野茂英雄と松坂大輔とを重ね合わせるような、阿部珠樹のコラム。


前々号『黄金世代』と同じように、
あらかじめ決まったテーマがあり、それに沿って取材をしている点では同じだが、
今回のテーマが、ライターそれぞれにとって、
自分自身に身近なテーマであることが、違うのではないか、と思う。

杉山茂樹の文章にしても、
越境する選手の心理は…ではなく、
自分自身は何を考えていたか、今、何を考えているか、という、
テーマに対してより誠実な接し方をしているから、
こういうような、読んで何かが残る文章、として仕上がっている。



以前も書いた様な気がするけど、
Numberにしかできない、スポーツへの接し方というのは、
僕はこういうことなのだと思う。

スポーツ新聞、スポーツ専門誌は、基本的に、
スポーツ選手を中心にして、画を切り取る。
誰々が何をした、ないしは、誰々はこう考えている。
もちろん、そういうことを知りたいと言う思いは僕にもあるし、
それが情報誌というものの役目ではある。

でも、Numberという雑誌は、情報誌なだけではないのだ。
『Sports Graphic』と題されているとおり、Sportsを描き出す雑誌だ。
そこにはきっと、選手ではない、スポーツの側面も多く含まれているはずだ。
サポーターでも、裏方でも、今回のような共通した、哲学的、文化的な想いでも。

選手を中心にするのではなく、
スポーツという文化を中心に据えて、世界を切り取ることが出来る。
1つのスポーツの専門家から、スポーツ全般を見る人間、
スポーツ以外の場でも活躍する人、
全くスポーツとは関係のない人、
そうした多くのライターとのコネクションを持つ。
それこそが、Numberという雑誌の凄さ、ではないか?


やはり、僕は、この雑誌が好きだなぁ、と思う。

これからも買い続けることだろう。
多分。



…ところで、部屋の中のNumberの置き場所が無くて、えらいことになっているわけだが。
あれ、そろそろ、本格的に何とかしないとなるまいなぁ…

Number専用ファイル、買いに行こうかな。

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