映画『ハリー・ポッター 炎のゴブレット』 マニア的ダメ出し

超遅ればせながら、
ハリー・ポッター映画シリーズ第4弾、『炎のゴブレット』を見た。


…酷いな。


そういう感想は、小説の映画化には付きものとはいえ、
マニア的視点による物足りなさ…
つまり、アレがないからダメ、これがないからダメ、
というディテールの話だけではなく、

ていうか、これじゃ何が何だかわかんないだろ、という、
映画として成立していない映画だった。

ナニコレ?


何か凄い腹立ったので(金もったいねー)、
ディテールではなくて、これないと話わかんねーだろ的な指摘をしておきたい。
なんだかなぁ。


あ、ネタバレです。
公開から、10ヶ月経過ってことで、気使ってません。
まだ見ていなくて、これから見る予定がある人は、絶対に読まないように。
20行くらい空けておきます。

よろしく。

 
以下、一応ストーリー順。

・オープニングの説明が不足

ヴォルデモートに二言、三言話させれば、それでわかるようなこと、
(ここが父親の住んでいた家で、父親はマグルで、自分は体を維持するのは精一杯で…など)を
省いてるもんだから、伏線になってない。
死んだじいさんが孤独な管理人…であることは分からなくても別に良いけど。


・ワールドカップの説明無し
・ポートキーの説明無し
・なぜみんながセドリックに冷たい視線を投げかけたかの説明無し
・チャーリー、ビル、登場せず。

セドリックに冷たい視線を投げたのは前年の最終戦で、
レイブンクローにこてんぱんに負けたから…なのだけど、まぁそれはいいや。
機微を伝えられていないところを上げるとキリが無いし、マニア的になっちゃうから。

でも、なんで古靴に触れたのか、とか、何で早起きしてんだとか、
何でそんなに楽しみにしてんのか、とか。説明全くなし。
それに、せっかくドラゴン出てくんのに、
ロンの兄貴(チャーリー:ドラゴンの研究者)の出番もなし。男前って書いてあんのに。
これがないから、ドラゴンの登場もまた唐突。


・ルード・バグマン登場せず。
・パーシー登場せず。
・ウィンキー登場せず。
・クイディッチの試合1つも無し(登場シーンだけ)

ルード・バグマン(元名プレイヤー)が登場しないことの影響はかなりでかい。
まず、これがないから、後の双子の『賭け好き』が唐突。
彼がいないから、VIP席で見るはずだったのに、辺鄙なところで観戦。
VIP席に行かないから、屋敷しもべウィンキーは登場せず、ドビーも出ない。ホグワーツにも来ない。
結局、いかにも不得意そうな大臣が試合の司会をしてる。
三大魔法学校対抗試合でも同じ。

パーシーが出てこないから、バーティ・クラウチが誰か分からない。
すごさも分からないから、息子登場時の苦悩も不明。伏線も無し。
その後のパーシーと親とのいさかいも起こらないわけだが、次回作どうすんの?

前半の派手なシーンの1つ、決勝戦の模様は1つも無し。
故に、クラムがどんなに凄い選手か全然伝わらない。
タダのごつい男だけで、キャラに全く深み無し。
同様に、フラーの魅力の理由も。
屋敷しもべに関する部分と、このフラーに関する部分、オリンペの巨人の部分がないから、
ストーリーの根底にあった、人種や種族に対する人々の態度…という視点がない。


・三大魔法学校の説明無し
・マッド・アイ・ムーディの説明無し
・チョウ・チャンが微妙(苦笑)
・パドマがなぜかグリフィンドール
・ファイアボルトの説明無し

三大魔法学校ってそもそも何なんだ、っていう説明がないので、
空飛ぶ馬車と船でやってきても意味が分からない。
てか、確か両校とも共学だったよな。別に良いけど。

マッド・アイ・ムーディの説明もないので、宴の時に登場して、
何かを取り出して飲んでる姿に、
『アレ何飲んでるんだろう』っていう間抜けなセリフを付ける羽目に。
敵に神経質になって自分の瓶からしか飲まない、と、読者は知ってるんだが。

チョウ・チャンに関しては完全に好みの問題だけどね…(苦笑)
もうちょっと、可愛い子いたんじゃないか?
確かに、アジアン・ビューティな感じではあったけどさ…

パーバティ・パチルってインド系の名前だったんだね。
いかにもインドなキャラを見て初めて知ったよ。
それは良いんだけど、パドマ(双子の妹)って、レイブンクローだろ?
寮の広間を歩いてたらおかしいぞ。
…ディテールか。そうだな。

ファイアボルトに関して…世界最高とか、シリウスが送ってきたとか、
10秒あれば説明できるような…
その伏線がないから、ドラゴン戦も微妙。


・ドラゴン戦は盛り上げようと必死すぎ。
・風呂の説明無し。
・えら昆布がネビルから…になってる。
・ポイントがないから同点とか言われても微妙。
・シリウス・ブラック登場せず

ドラゴン戦は、冗長。
あんなに尺割く必要はないでしょ。前振りも不十分なのに。
もっと他に作り込むところあるはずだし、安易に盛り上がりを作ろうとし過ぎ。
編集が下手なのか?

風呂の説明無し…ゆえに、何で風呂?って感じ。
本当は、セドリックが監督生で、風呂は監督生だけしか使えないんだが。
それがわからんので、セドリックの親切さも目減り。

ドビーが出てこない影響で、ネビルがえら昆布を渡す…んだが、
だとしたら彼はどこからそれを?
ドビーなら、屋敷内どこでも行けるんだが。
ムーディが盗んだってことなのか?

てか、順位を発表するなら、ポイントも発表すべきだろう。
どんな感じで競ってるのか想像しにくい。
あと、審査員が誰かの説明もないな。

シリウスが登場しないんで、クラウチ家の事情がさっぱり分からない。
それとクラウチはいきなり死んでるんで、
ジュニアとの関係、またその苦悩が全く出てこない。
微妙に杖ついたりはしてるんだが。


・忍びの地図登場せず
・呪文練習無し
・迷路内の描写がおざなり過ぎ

忍びの地図が登場しないので、なぜジュニアが欺し通せたかがわからない、
それ故に回想シーンでカルカロフが『ジュニア!』と強調してるセリフが中途半端。

迷路内、本来は、多くのモンスター(尻尾爆発…とか)が出て、
スフィンクス(だっけ?)かなんかが最後の試練かなんかを出すんだけど
それが全然無くて、植物と戦ってるだけ。
呪文の練習もないというか、呪文の名前なんて全く出てこない。
それゆえに、森の中でも使える呪文はない。
だから障碍を無くしたのか…?
意味わかんね。


・リータ・スキーターの伏線完結せず
・賞金に関するエピソード無し

リータ・スキーターが実は違法な変身を繰り返して盗聴を続けていた…
という、読者がスッキリする結論がないから、
『嫌な奴』っていうキャラ設定が全然生きてない。
つうか、それなら別にいらない。

ハリーもセドリックの両親も賞金は要らないと言い、
結局それは双子のウィーズリーに出資する資金となるんだけど、
これも全くかけらも無し。
それって、次回作以降無理が出ると思うんですが。
自分が作らない映画の前振りなんか知らん、ってことか。



簡単に書いたつもりでもこれだからなぁ。

無くてもいいものは、書かないか、書いてもなくてもいい、と併記した。
書いてあるものは、これが先に語られないと意味が分からん、
または、
これを書かないならあの前振りはいらん、
(代わりに入れるエピソードは沢山あるだろ)
ということで。



毎回監督が変わっちゃって、
トータルで作品を見れる人がいないのが問題なのかなー。
世界観を作るのに、完全に失敗してる。
そこんとこ重要だよな…
ロードオブザリングしかり、スター・ウォーズしかり。
(スター・ウォーズは監督自体は変更になっている)


残念な映画だ。ホントに。